富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

高山劇場

fookpaktsuen2015-07-30

農歴六月十五日。早晩に鵝頸橋から九龍行きのバスに乗らうとしたら早くも帰宅ラッシュで爆満のバス通り過ぎるばかり。金鐘まで行きホームで3本目の地下鉄で尖沙咀。路線バスで土瓜湾。高山劇場。大規模改築とは聞いてゐたが旧館も改装されたが傍に立派な新館あり。1996年落成だといふから20年近く没来。昨日から京崑劇場と山東省京劇院の合同公演。昨日は通しで「状元媒」も見たかつたが今晩は折子戯で京劇の「将相和」と「八大錘」に続き崑劇で「琵琶記」の「描容、別墳」あり、これの趙五娘演じる香港在住の名優・訒宛霞の崑曲じつくりと聴きたく。「描容」の出のシーンからの独唱の(夫が都・洛陽に科挙の試験に(まさに)上洛してから三年不明で義父母も亡くなり埋葬まで済ませ夫探しに出る妻の)まぁ悲しみに耽る独唱が見事。これだけで今晩は幸せ。「八大錘」で武生役の宋柏瓏といふ若い役者、端正で難しい動き見事にこなす。芝居の前に巧興麵食店で餃子飰すつもりが時間なく芝居のあと行つてみると店終ひ。蛇王濤といふ店で季節外れの蛇羹啜る。海底隧道バスで帰宅。高い空に白い十五夜の月が見事。
▼FT買収で調子に乗る日経、FT特約の翻訳記事でチョンボ。24日付け日経の記事「英、香港の政策を批判 「基本法改正、議論再開を」と(こちら)。

英国が香港と中国政府に対し、経済を優先し政治課題が後回しになっている香港の政策を批判し、旧英国植民地である香港の基本法改正の議論を再開するよう呼びかけた。

えっ、今更?と疑はれたのは香港政治研究の倉田先生。この記事をアタシもFTで見てみたら23日付けの記事(こちら)で
The UK has called on the Hong Kong and Chinese governments to restart talks over constitutional reform in the former British colony, in a rebuke of their policy of prioritising economic over political issues.
とあり、これの直訳で“constitutional reform”が「基本法改正」となつてしまつた。正確には「政治制度改革」で、constitutionは大文字で始まると憲法だが小文字の場合は「政体」とか……これは大学の一般教養レベルでせうに、日経さん。右の画像は日経のその記事ではなく東京新聞こち特「日経FT買収」の記事にあつた写真。サーモンピンクのFT紙がこの画像では紙が白い(笑)。ちなみに倉田先生によれば英国政府のコメントは7月下旬に出した半期刊の香港報告書(こちら)で
While there is an understandable desire in some quarters to refocus the political agenda away from constitutional reform to livelihood issues, it is improved governance which will help those issues to be addressed effectively in the longer term.
といふフレーズの“constitutional reform”の部分、これは「香港の文脈では基本法の改正ではなく「行政長官や立法会の選挙制度の改革」を指す言葉で」「基本法の明記する手続きによってなされる作業ですから基本法の改正ではありません」と倉田先生(改正なら“amendment”となる)。