富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

槌穿ち鉄あらはなる橋野すら緑深き野辺となりぬ夏ぞよ

fookpaktsuen2015-07-29

農暦六月十四日。雨。昨日、三人で三鞭酒と赤ワインを1本ずつ、食後にジャズバーでモルトウヰスキーをシングルで2杯、水で薄めて飲んだだけなのに宿酔ひはないが身体の倦怠感甚し。アルコールの消化に体力が全部回つてしまつたやうな。それで、いつも冷え性がさらに悪寒感じカーディガン羽織りGastroenteritisのやうな症状。老い感じ入る。晩は好物の大根おろしと韮の鍋で豚肉のしゃぶしゃぶ。
香港大学で副学長選出で中共の息かかつた人物の就任につき反対意見高まりごたごた。昨日の理事会校務委員会開催に学生ら開場に雪崩れ込み抗議。そのなかで体制派の副学長校務委員の医学部教授某が突然倒れ(てみせて)膝を強く打つたとかで反対派の暴力的行為か?と救急車呼び入院する一件あり。明らかにインチキ(笑)だが中共系紙がそれを「文革」「紅衛兵」と非難することが可笑しい。
佐藤卓己先生の論壇時評(東京新聞)より。晋三支持率急落。それでも4割近くの支持。小泉以降のどの政権も一年前後で支持率2割台の賞味期限切れになつたのに比べれば殊勝。その「消極的」支持支へるものはアベノミクスよりも軍拡続ける中国への漠然とした不安、と佐藤先生。晋三の日米同盟強化以外に野党がどんな対応策示せるのか、自衛隊出動の具体的例として中東のホルムズ海峡挙げるが現実性に欠け本当は中国、北朝鮮想定した自衛隊出動なのだが、それが封印される争点隠し。沖縄の基地問題も争点隠し、として保守=佐伯啓思先生の主張を紹介:平和=護憲は実は日本守つてくれる米軍の存在が前提、米軍の存在で平和憲法の欺瞞性が暴露される、それでも9条の戦力不保持と日米安保の米軍駐留が必要で、そのしわ寄せが沖縄の軍事化、つまり沖縄の現実こそ戦後の平和日本の欺瞞の象徴、と。

平和主義を装い、しかも現に、平和を享受しつつ、その背後に米軍という軍事力を用意しておくという欺瞞であり、主権国家を装いつつ、その主権の一部を自ら放棄し、アメリカに委ねるという欺瞞である。

とさすが保守のシニカルな佐伯先生、米軍基地を本土に分散させ可視化するか憲法改正自衛軍を持て、と(佐伯先生は後者)。
水戸市の広報誌8月の戦争特集が立派(こちら)。水戸二連隊でペリリュー島の激戦から生還した94歳の元兵士、水戸大空襲を小学2年で経験した女性、戦争の悲惨さを見聞きした小学生と、それぞれの立場からの記憶を綴る。水戸にこんな感性があつたこと、そしてそれを市役所が広報誌に載せること、とくに後者は今日日さうした「平和の大切さ」語ることすら過剰に神経質に、自主規制になる自治体多いなかで水戸っぽの、なのかしら気骨あり。
▼釜石で世界遺産に登録された橋野鉄鉱山・高炉跡。立入り制限されてゐる鉄鉱石の採掘跡と運搬路のエリアに畏友P君撮影に入つたといふ。IBC岩手放送で8月1日(土)15:00〜15:30の放送は「鉄の夜明けは釜石から」ご覧あれ。制作の畏友P君に橋野の画像見せてもらつたが橋野鉄鉱山の採掘跡が鬱蒼と。
槌穿ち鉄あらはなる橋野すら緑深き野辺となりぬ夏ぞよ