富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

婦女蹴球世界盃皇国娘子軍米国ニ惜敗

fookpaktsuen2015-07-06

農暦五月廿一日。婦女蹴球世界盃決勝我ガ皇国ノ娘子軍奮戦米国ニ惜敗。屈強なる運動選手に「なでしこ」は如何?と久が原T君。準優勝は「頑張った」でいゝのに、また猫も杓子も「勇気をもらった」か。続けてT君「御器提げたおこもぢゃあるまいし「勇気」など人さまからおもらい申すものに非ず」と。御器提げたおこも、なんて表現も今ではとんと聞かなくなつたが昔は祖母の世代までは丁寧な悪口も言葉には澤山。だから喜怒哀楽が何でも「……をもらった」だの、自分のこと話せば安直に「……な自分がいる」にならず。路傍で「勇気あります」と幡たてゝぼんやり坐つてゐると通る人が勇気買つてくれて最後は勇気が売り切れてしまふ……つげ義春ならそんな漫画がありさう。晩に豚肉のスペアリブを蘿蔔と胡椒、大蒜の鍋で飰す。二更過ぎる間に早寝。
▼昨日、国会で初のテロ対策訓練さすがに自衛隊参加なしだが衆参両院の警務部が警視庁テロ対策部隊と合同訓練。制服警察官(っていふか重装備で制服どころぢゃないだろ)議事堂参入は1960年の安保以来55年ぶり。銃と爆発物持つた国籍不明のテロリスト3人が衆院に立て籠もり……ってリアリティがゼロの正しく平和ボケ。どこの国のテロリストが攻撃相手の国の国会占拠するかしら(嗤)。爆撃の方がまだリアリティあるが911で終はつてゐる。だうせならカルト宗教背景の議員が御国立て直し祈願で玉座祭壇に見立て祈祷始めたとか、安保法制強制立法で血走った現政権が「絶対に成立させるんだもん、僕たち!」と議事堂占拠したとか、さういふリアリティのある?筋立てに出来ないものかしら。いずれにせよ警視庁のテロ対策部隊の投入など不要で国会の警務部で十分な話。安保法制立法化進展せぬので「国会も狙はれるのです」でテロ対策部隊の訓練は陳腐、石原の自衛隊銀座お練りの如し。
朝日新聞文芸欄の「今こそ」で大西巨人氏取りあげたのが面白い。他国の戦争に協力する法律が平和安全法制で異論は「レッテル貼り」とされる時代、大西巨人の「神聖喜劇」は有効でないか、と。戦後レジームからの脱却説く晋三がポツダム宣言すら「つまびやかに読んでいない」と宣ふ、もはや滑稽ですらある反論理・反知性主義に対して執拗な思考性と濃密な言語で読ませる大西作品は確かにこの時代にこそ必読。敢へて東堂二等兵のやうに全力的な精神の物語を語り続けるべき。この記事の書き手、近藤康太郎記者は諫早支局長なり。

たまちゃんの英訳は“Little Treasure”なのか。