農暦五月十一日。朝まで雨。午後晴れる。早晩に北角の市場街抜けると天気好転で店先に出る猫多し。日本酒で甘味強いのは苦手で「辛口」好むが所謂「辛口」とは何か。「辛い酒」ではなく「甘味の少ない酒」のこと。……とそんな当たり前のやうで言はれてみれば「さうか」な答へが国税局のサイトにあるのだといふ。「それを辛口と表現するから、おかしな方向に来てしまった、そしてそれを日本酒度で判断するという悪循環、「辛口、辛口」って日本酒が他の酒と違う一番の特徴は甘味と旨味」と、さくら酒造のT君のコメントもなるほど。ちなみに日本語では唐辛子のやうな英語のホットも酒の甘味の少ないドライも「辛い」といふが、これは中国語でも一緒で、やうするに酒のドライを指す言葉がないことに今日気づく。
▼自民党の文化芸術懇話会と名乗る若手議員=愚連隊の昨日の初会合で沖縄の新聞について「左翼勢力に完全に乗っ取られている、沖縄の世論の歪み方を正しい方向に持っていく」等と発言(朝日)、さらに会合に呼ばれた作家・百田某が沖縄の新聞社を「潰さないといけない」と語り今日の衆院安保法制特委で野党の抗議に自民陳謝(毎日)。国会議員らが新聞の論調を是正云々といふ憲法にも抵触する事が「血の気の多い人たちが血の気が多くなりすぎて発言が右であり左であることは時々ある、クールマインドでやっていただきたい」幹事長の谷垣、さういふレベルの問題か。若手議員から幹事長までこゝまで低レベルとは。晋三は「事実なら」遺憾とコメントしたが、その発言者に代はつて「勝手にお詫びすることはできない、発言する人物のみが責任を負うことができる」と謝罪回避。それなら集団的自衛権で日本が危機に面したら責任はおまえ一人かよ、だうせ「国会で承認したこと」とか逃げるくせに。このファッショ会合は開催できても反対に宏池会(岸田派)系ハト派若手議員らによる会合は小林よりのり氏招き勉強会開催の予定が執行部から「時期が悪い」と注文つけられ急きょ中止。よしりん「執行部への抵抗勢力になるのが怖くなり負けたんだと思う、自民は全体主義になっている」と。もはや中共なみの一党専制か。自民党の暴走続いてゐえてもNHKのNW9は冒頭はフランスのテロで二人怪我、チェニジアの銃撃戦、梅雨は九州は長く東北はさっぱり……と続いてやつと自民党のファッショ懇話会について。また事実経過と自民党のコメント流すだけか、と思つたら流石にマスコミとしての矜持もまだ残つてゐるやうで2月までNHKの経営委員だつた百田らの発想に「マスコミとして見逃すわけにはいかない」とキャスターが非難(画面はこのときキャスターをかなりズームアップ)。「見逃すわけにはいかない」がぎりぎりの表現なのか、NHK的には。それに比べて例へば神奈川新聞は
言論の自由への無理解だけでなく、立憲主義が求めるところを歯牙にもかけぬ。いや、首相からしてそうなのだ。安保法案に対して憲法学者がそろって「違憲」の声を上げても「合法性を確信している」と繰り返し、「決めるときは、決める」。おさらいをしておく。権力はかくも暴走する。そのためにできないこと、国民の権利のためになすべきことを憲法に明記し、縛っておく。それが立憲主義の要諦である。民主主義に対する為政者の反逆は既に始まり、加速している。
と「速報社説」発表。晩に琉球新報と沖縄タイムスが「百田氏発言をめぐる共同抗議声明」発表(こちら)。趣旨は神奈川新聞と同じ言論と表現の自由弾圧への反対だが
百田氏の発言は自由だが、政権与党である自民党の国会議員が党本部で開いた会合の席上であり、むしろ出席した議員側が沖縄の地元紙への批判を展開し、百田氏の発言を引き出している。その経緯も含め、看過できるものではない。
さらに、米軍普天間飛行場は「もともと田んぼの中にあった。基地の周りに行けば商売になるということで人が住みだした」とも述べた。戦前の宜野湾村役場は現在の滑走路近くにあり、琉球王国以来、地域の中心地だった。沖縄の基地問題をめぐる最たる誤解が自民党内で振りまかれたことは重大だ。その訂正も求めたい。
戦後、沖縄の新聞は戦争に加担した新聞人の反省から出発した。戦争につながるような報道は二度としないという考えが、報道姿勢のベースにある。
と、これを「左翼」とされたのだから。それにしても自民党は一体だうしてしまつたのかしら。晋三を領袖に余りの破綻ぶり。