富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

ジュラシックワールドと集団的自衛権

fookpaktsuen2015-06-21

農暦五月初六。雨雲のような雲がどんよりと覆ふなか昼前に暑いなかジョギングで鰂魚涌公園走るとハーバー対岸の啓徳客船埠頭にQuantum of the Seasといふ巨大客船(こちら)停泊中。香港開埠以来訪港で最大規模の客船の由。大洋をかうして船旅も憧れるところだが、このRoyal Caribbean系の客船は何だかエンタメ性強烈すぎ。午後になり天気予報通りの下雨。家人と夕方、油麻地。Cinematiqueで映画“Jurassic World”見る。普段なら見ないエンタメ映画だが映画券貰ひ2名無料なので、だうせなら普段見ない映画でも、といふことで「深夜食堂」もなんだし、これ選んだが3Dはダメといふので2Dで同作品上映で此処に来たが突然、怪獣が出てきたりスペクタルは怖いので2Dで良かった鴨。スピルバーグの映画は単なる娯楽作品と侮つてはいけないのは当然。恐竜を現代に蘇生させるのにDNA組み換へなど神をも冒瀆する「科学」主義は前作からの流れとして、テーマパーク経営といる市場主義重視で怪獣たちもAsset(資産)と呼ばれるネオコン世界。(以下、ネタバレあり)かつてのジュラシックパーク経営で失敗した会社(インジェン社)をば買収したのがマスラニといふインド財閥なのも当世「いかにも」な話。インジェン社の研究部門率ゐる遺伝子学者は野望抱く呉博士といふ中国人なのも「やっぱり」な設定。正義と平和のため立ち向かふのは当たり前だの白人(米国人)で主人公のオーウェンの有能なアシスタントはいつも律儀な黒人。では日本人は?といふと、怪獣が暴れ出しジュラシックワールドの警備部門下のAsset Containment Unit(資産管理部隊)が怪獣退治に向かふが最初に怪獣の餌食となつたのは浜田といふ、いかにも自衛隊上りのやうな日本人(さういふ役回りか、韓国人も同様)。あれこれ手に汗握る奮闘あり、だうにか騒動落ち着くが旧インジェン社の役員と呉博士はテーマパーク崩壊前に島をヘリコプタで脱出……(続く)。こゝまで適材適所でインド人、米国白人、黒人、日本人と出て来て、では呉博士らに遺伝子研究させ人類の将来に大きな投資しようとする本当のボスは誰なのか……ユダヤ人か(笑)。ところでそも/\今回のこの島での騒動は(諸悪の根源はインジェン社の遺伝子工学だとしても)具体的にはハイブリッド恐竜を閉じ込め飼育する防壁から出してしまつたのは主人公のオーウェンとクレアの二人だし、テーマパーク参観客が命落とす事故となつたのはサイモン・マスラニ社長自身による恐竜退治のヘリコプタ操作ミス。そのへんが問はれぬまゝハッピーエンドはいかにも米国的。晋三は集団的自衛権でかつてチープなパネル用ゐて朝鮮半島で有事の際に半島から邦人救ふことも日本はまゝならず米国戦艦で邦人母子が不安さうに輸送される絵を使つて見せたが、今回のジュラシックワールドでは米軍出動までの事態には至らなかつたが次作では間違いなく国家規模の惨事であり我々日本国民同胞それに巻き込まれた場合、日本はカリブ海コスタリカ近海のこの島でも後方支援なり邦人救護で自衛隊を遣ることができるのかしら。ハイブリッド恐竜は正面きつて攻める米軍躱し間違ひなく支援経路断つために後方支援の自衛隊襲ふだらう。今回のジュラシックワールドで最初に餌食になつたのが日本人の浜田隊員であつたことは暗示的ですらある……なーんてね、でも笑つてゐられないよ、まったく。廟街のネパール料理屋Manakamanaに飰す。南京街の甜品・明記覗くと卓下に猫が寝てゐてお腹一杯だつたが猫愛でるために紅豆沙啜る。運輸K氏から貰つた週刊金曜日5/15号で「戦後「ゼロ」年の沖縄」読む。本当に沖縄のこと何も知らないと反省。