富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-12-18

農暦十月廿七日。早晩に散髪。散髪のとき理容師I氏といつものやうにお洒落から体臭とか加齢臭の話になるのだがファブリーズって香港で売つてゐないねぇ、P&Gの産品だがP&G香港は扱つてをらず、あつても輸入品なのかCitysuperに往つてみるが車の皮シート用はあつても衣類用のスプレータイプは無い。帰宅しておでん。
小林よしのりといふ人は昔はゴーマニズム宣言が「危ない」イメージだつたが世の中が狂しくなるにつれ何と常識的で、むしろリベラルの論客のやう。今日の朝日でも小選挙区といふ制度、世論調査では与野党伯仲がいゝとしつゝ野党に投票せず北朝鮮や中国の脅威といはれるとタカ派頼りで弱者の味方せぬ国民、政権延命のためだけに選挙した改憲命で、強者には反対意見には耳を貸さぬ尋常ならぬ狭量の首相、アベノミクスも元を正せば、の小泉構造改革を一切批判してこず資本主義そのものの行き詰まりに「成長が無理」と言へぬ、民主党に代替案がないと非難するだけの報道に「ワシは腹を立てている」と。

こんな時代は経済成長を考えるんじゃなくて次の世代にどのように引き渡すのかが大事なのよ。成長の種をどう撒くか。その答えの一つは脱原発。地域ごとの産業構造をがらっと変え、次世代の果実になる芽だと思う。でも庶民はすぐに欲しがるんだから。もっと長期的な支店で、自分自身が歴史的な存在なんだと自覚しなくちゃいけない。もっと自分の子供のことを考えなさいよ。

東京新聞社会時評吉見俊哉東大教授。衆院選での自民党勝利につき「科目もなき抜き打ち試験」と。言ひ得て妙。アベノクスについての賛否で、これが目先の利益巡る争ひならカネをあふれさせることで一部に生じた余剰をどう社会全体に再分配するかが問はれるべきだつたが企業の内部留保が増えるばかり。

当然問われるべきは再分配の仕組みである。最大の問題は既得権益の構造を変えられていない点だ。むしろ既存の構造に乗ってマネーが流れるので、ますますその構造が強化される。あらゆる主要産業で日本を身動きできなくしてきたのは、まさにこの構造なのだから、これと徹底的に戦う姿勢を見せる党があれば一定の支持は得られたであろう(今回の共産党がそれか:富柏村)。第三極の崩壊は、この点での合意がなかったことの証明といえる。他方、目先のリスクを争点とするなら集団的自衛権特定秘密保護法から日中関係改憲まで、目の前はリスクだらけである。ところがこれらは民主主義や平和を価値として全力で守る意識が根づいていて初めてリスクと認識される。戦後日本に本当にその意識が根づいていたのか、疑問符が生じている。

北星学園大学元朝日新聞記者U氏の非常勤講師としての雇用継続の由。U元記者に久々に手紙送る。
▼米国とキューバの国交正常化。キューバが米国化するのでせうね、嗚呼。このキューバの米国接近は、冷戦中はソ連の支援、今世紀に入つてからはカストロを師と仰ぐチャベスベネズエラから破格の安さで原油輸入してきたキューバチャペスも亡くなり原油価格下落でベネズエラに頼ることもできず、これまで米国とは「つかず離れず」が最適だつたのに、もはや米国との国交正常化以外に道がなくなつた……と山岡加奈子・アジ研主任研究員(キューバ研究)。