富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

秋時雨入谷根岸のささの雪

fookpaktsuen2014-11-30

農暦十月初九日。昨晩の徘徊に寝不足のまゝ上野驛。蕎麦啜り母と待合せ。赤羽。S従兄の葬場祭と繰上げでの十日祭。昨晩に続き本日も多くの方の参拝あり。弔辞を聞くに仕事では果敢に難儀に取りかゝり部類の勉強と努力で成功させ人想ひも格別で部署変はつても多くの方との交誼忘れず「こんなのスポーツドリンクだ」とピッチャーでビールぐびぐび飲む酒豪は多くの方と酒酌み交はし周末はラグビー、また一人旅から読書まで、毎日四、五時間の睡眠でこんなに多くの事に携はり充実した日々とは、そりゃ半百余の生涯で他の人の何倍のそれに匹敵するのか、と改めて思ふとともに、それゆゑ二日間で千人もの方に送られるのだと敬服の極み。
いきいそぎうしなふ いのちもひとのため
斎場で百人超える方に見送られ霊柩車とともに戸田の火葬場へ。「十九歳の地図」の舞台は北区でも十条から王子だが葬列の通る赤羽台も、すつかり整備されてゐるがどこか戦後彷彿させるところもあり。公園か、と見間違ふ東京北社会保険病院の敷地、紅葉も鮮やか。大川を渡り荒川放水路の土手に沿ひ浮間。火葬。斎場の職員に「大きな骨から骨壷にお納めください」といはれても大柄のS従兄らしく大きなしつかりとした骨ばかり。だてに崩れる身体にあらず。赤羽の斎場に戻り直会。夕刻、親族らと別れ母と赤羽から上野経由で銀座へ。松屋前で母と別れ有楽町まで漫ろ歩き。中国人観光客多し。鶯谷。根岸の笹の雪。桐生でのやはり葬儀帰りの築地H君と旧交温めつ酌を交す。根岸といへば、で子規の句を捩り
秋時雨入谷根岸のささの雪
酒は荒武者。線路沿ひに鶯谷から上野に抜けるが東都屈指のラブホテル街で常磐線の列車からアタシら見下ろせば「まるで世を忍ぶ中年の男色ものね」と笑ふ。入谷で通りすがりのバーに一見の客で飲む。小雨。二更に入るころH君と入谷口で別れホテルに戻る。旧知のR君より連絡あり自転車で行けるから、と三更に上野広小路サイゼリヤ←初めて入る、でジュースバーの味薄い色水飲み少し近況語らふ。雨は本降り。まさに秋時雨となる。