富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

河上變村

fookpaktsuen2014-11-20

農暦閏九月廿八日。毎朝当たり前田のクラッカーで朝刊各紙下載し新聞読みするのだが、今朝はその新聞満載のiPadをば出がけに陋宅に忘れ仕方なく北角のコンビニで珍しく信報など新聞数紙贖ふがコンビニの新聞棚に昔はあふれるほど、蘋果日報など地下鉄站の売店では床から積み上がつてゐたものだが、今では各紙とも店置きの数がかなり減らされてゐるのを見て驚く。アタシも昔は4、5紙買つてゐたのが今ぢゃiPadである。バスのなかで新聞広げてみて、けっこう窮屈だし昔はよくこれに慣れてゐたもの、と思ふ。東京より客人あり何年ぶり?で湾仔の美利堅飯店に飰す。老給仕らの慇懃な仕事ぶりは立派。客をホテルに送り芸術中心へ。楼上のカフェで赤葡萄酒注文した瞬間に遅れるか時間ぎり/\のはずのZ嬢から「到着」とメッセージあり葡萄酒一気飲み。香港のドキュメンタリー映画『河上變村』見る。監督は曾翠珊(Jessey Tsang Tsui-Shan)で彼女が生まれ育つた西貢の蠔涌村で客家の老婆を主人公に、10年に一度の道教の祭り「太平清醮*1」に蠔涌村は欧州への出稼ぎ、移民多く、その親族たちが家族引き連れ10年に一度の大祭に戻つてくる、その祭りと遠方での彼らの暮らしを見事に映像にした作品。この老婆の、まるでオリュウノオバか、『ユリシーズ 』のブルームの妻モリーか、マルケスの『百年の孤独』の老婆の如き存在感、コメントの妙、立ち振る舞ひの凛々しさよ。この映像作品、実写だけでなく昔の写真やフィルムの処理も実に見事。かうした大禮と一族郎等の結集はアタシにとつては父方の金砂神社の磯出大祭礼など実に72年に一度!だが十年余前にそれがあつたがアタシも興味あれど万難排して香港から駆けつけるほどにも覚へずに過ぎたところ。この家族、親族の形にすつかりそれを忘却した余は羨ましく、これぞ未来への力なのかと痛感するばかり。帰宅途中にショッピングセンターの入り口で聖誕説仕様の「ロボコン」に遭遇したが、何よこの体格。昭和のロボコンは今ではメタボすぎてダメなのかしら。
▼師走の総選挙「晋三の勝手」でいろ/\言はれてゐるが築地H君と話題になつたのが公明党の立ち位置。橋下が公明党を敵に回してゐるおかげで「公明党と対立」といふことで維新は野党にとどまらざるを得ず。これは公明党側の戦略の一つかも。また公明党は今回の選挙では適度に手を抜き、自党は全員当選させるが自民党にはあんまり票を回さず「公明党を与党に取り込まないと過半数割れ」になるのが理想的か、と。自民党に対しては「勿論うちの組織は全力をあげた、が末端の学会員からは「平和の党なのに集団的自衛権やら秘密保護法やら言われたら力が入らない」といふ声があがつてゐる」と言へば自民党内では「安倍ではまずい」といふ見方も出てきたり、とか。

*1:太平清醮については http://zh.wikipedia.org/wiki/香港太平清醮 等参照されたし。