富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-11-12

農暦閏九月二十日。曇。年内の総選挙がいきなり現実的に。前回の総選挙で自民大勝、このまま晋三が任期満了するのでは?と思つたが今回、多少議席減らしたところで自民も晋三の対抗馬もなく、むしろ安倍政権長期化の布石か。反自民と思っても反自民の受け皿がないのが今回の選挙。だから自民も強気。いっそのこと反自民票は共産党にすべて投じる、といったことが面白い鴨。さうしよう。
小熊英二さんの思想の断層(朝日新聞)で香港民主化運動「占拠の背景、単純な「反中」ではない」読む。格差増大や雇用不安、グローバル資本主義批判、自己決定権の希求など香港に限つたことではなく日本の脱原発の動き(すでにまるで衰退のやうだが)、台北での立法院占拠から波動し世界は連動してゐる、とそれは指摘の通りだが香港訪れた小熊先生の細かいコメント、例えば「金融業はごく一部の高所得層を生んだが、大部分の人は観光業やサービス業で、時給数百円程度の不安定雇用や自営業に就いている」とか「大学を卒業しても、不安定雇用を綱渡りするか、高い家賃を払って自営業を起こすしかない」「繁華街には真新しい高層マンションが建っているが、建設したのは大陸の業者で、買うのは大陸の金持ちだという話もよく聞く」など、さういふケースもあるが、それが主であるやうに読めるのが一寸。「占拠が行われている立法会周辺も、近年の再開発でビル街になった場所」で「昔の街並みが消え、風景がどんどん変わっていく。香港はどうなるんだ、と不安になる」といふ民主派議員の声を紹介する。これを読むと、まるで古い町並みが壊されて再開発で立法会(正確には政府総部だが)が建てられたやうだが、そこはTamarと呼ばれた英国海軍の停泊地を埋め立てた場所。古い町並みの解体と再開発は続くが、それと「香港がどうなるか」の不安は別のもので、無理やり絡ませる修辞は好ましくない。そして何よりも誤解なのは「香港の人々にとって、これらの変化は「返還後」に起こった」「生活面でも政治面でも、未来を自己決定できる範囲がどんどん縮小している」といふ指摘で、アタシはアグネス=チャンのやうに「英国統治より返還後のほうがマシ」なんてデマローグは用ゐないが、英国統治時代こそ将来が不安定だつたのであり生活面でも政治面でも未来を自己決定できないことは返還前も後も大して変はりのないことなのに。