富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

アベノミクス最後の打ち上げ花火

fookpaktsuen2014-11-01

農暦閏九月初九。二年前にグッピーネオンテトラさる事情から世話し始めグッピーの繁殖に驚いたが二度目以降は繁殖がずいぶんと減り最近は全く繁殖も見られず。一つの水槽で同じ種で育て続けると繁殖能力落ちるのは成る程。日本人の少子化もこの結果か。少し寂しいのでグッピーなど湾仔の金魚屋で贖ふ。土曜日だが午後まで官邸で書類整理。午後遅くFCCでフィリピンサンミゲル小瓶二本。バスで香港大学。大学の美術館でピカソの陶磁器展。1950年代のものにはかなり魅了されるが60年代となるとポピュラーな作品の大量生産のやうで最近の草間彌生と一緒で面白くない。それにしてもこの(写真の)顔の形の瓶なんて中学の美術室に放つてあつたら誰も絶対にピカソ作とはわかんだろ。坂を下り光記食店。少し常連みたいに扱はれる。帰宅してジャック=タチ監督の“L’École des facteurs” (郵便配達の学校、1947年)や“Cours du soir”(ぼくの伯父さんの授業、1967年)など短編いくつか見る。
▼日銀が追加緩和……もう最後のカードか。電撃緩和で「その日は」突拍子もない緩和に市場が驚き円安株高が見られたが週明けは、たゞの迷宮なり。円安でも輸出拡大は限りあり寧ろデフレ脱却どころか物価上昇で景気回復(それも幻想だが)すら吹き飛ぶだろ。追加緩和って日銀がまとまつたカネで緩和出来るのはもうこれが最後のカードでせう、手詰まり感を日銀も感じてしまつたのか、これ以上の円安になつたらだうするのか、「未知の領域」の迷宮に入り込んで今後、金融を平時に戻せるのか……まるで満州事変からの日本の軍国主義の始まりのやう。とても簡単なことなのだが、市場にカネが撒かれ所得があがれば物価上昇とインフレ前に消費するか、といふと別に欲しいものもないしインフレでこれからおカネが要るから、と財布の紐を〆てしまふのが今の日本。小林慶一郎先生が朝日の『Journalism』11月号で「異次元の金融緩和」の出口戦略を真面目に考えれば財政再建は避けて通れず、それには消費税率35%への引き上げが必要で、その厳しい現実を直視して、短期的な景気動向よりも長期的な経済政策を論じることが切実に求められている……と指摘してゐたが、日銀のやつてゐることはまさに「今日の料理」。毎日新聞の記事が上手くまとめてゐるので引用。

劇的な株高•円安を演出した追加緩和だが、景気回復後、金融政策を平時の状態に戻す「出口戦略」はますます描きにくくなった。
日銀は昨年4月の異次元緩和の導入後、大量の国債を買い入れ、お金を市場に供給すると同時に、国債価格を押し上げ(金利は押し下げ)てきた。景気が回復すれば、バブルや急激なインフレを防ぐため、買い入れ規模の縮小などで量的緩和手じまいし、「出口」に向かう必要がある。
しかし、政府が大量の国債発行を続ける中、日銀の買い入れ量が減れば、国債価格が急落(金利は上昇)し、低水準で推移してきた金利が跳ね上がりかねない。金利が上昇すれば、先進国で最悪水準の借金を抱える日本の財政が一層、悪化する恐れがある。黒田総裁は31日の記者会見で「出口が困難になるとは考えていない」と述べたが、市場では「日銀は財政に配慮し、出口に向かえなくなる」との見方も出ている。
日銀は追加緩和により、長期国債の買い入れ額を現在の年50兆円から年80兆円に引き上げる。財政法は日銀が政府から直接、国債を引き受けることを禁じている。日銀は市場を通じて国債を購入するため、直接引き受けできないものの、日銀による財政赤字の穴埋めとの批判が強まる可能性もある。

金融緩和でこれほどのことを「賭け」のやうにする。それが効果あれば儲けものだが、かりに救ひやうのない失敗となつた場合、誰がだう責任をとるのか。政治家や官僚の仕事は現役時代の更迭でもないかぎり事実上の免責なのが怖い。信報は「日本於萬聖節為全球金融市場帶來驚與喜」と揶揄した上で社説「擴大量?解救不了安倍政經困局」で危険さ指摘した上でやはり必要なのは外国人の移住受け入れや雇用緩和で内部需要を刺激し中国や韓国との関係改善で孤立状況からの脱却だらう、と。御意。

顯而易見,安倍政府正需要額外的經濟強心針來紓緩政經困迫,日本央行突然放水,正是期望發揮這樣的作用。問題是量?政策就像吸「鴉片」止痛一樣,帶來的貨幣貶值刺激出口、提升物價效果非常短暫,而且效力不斷遞減,劑量則不斷筯加,隨時衍生更多經濟後遺症及扭曲。安倍政府要走出政經困局,實在不能再依褚央行提供「鴉片」,他們必須認真推動經濟改革,包括開放受到過分保護的消費市場,放?移民及勞工政策,激活內部需求。政治及外交上則必須認真調整鷹派作風,改善跟中國、南韓的關係,打破現時被孤立之窘。

日本に必要なのは過剰に保護された消費市場の開放、移民受け入れと外国人労働の緩和、中国、韓国との関係改善、と指摘。御意。
朝日新聞が社説で晋三の「撃ち方やめ」発言←じつは晋三側近議員の事実誤認、で新聞各紙これを報道したのに「朝日の捏造」としたこと見過できない、と反論(こちら)。朝日も元気ないより元気な方がいゝが批判の仕方があまりにストレートといふかネット論壇での攻撃のやう。もう少し皮肉込めるとか朝日嫌ひが読んでも「くすっ」と苦笑できるやうな晋三への揶揄とか含ませられぬものかしら。
▼来春、常磐線特急が東京駅乗り入れとなるが特急で「ときわ」復活とは。かつてのL特急ひたち本数増え651系のスーパーひたち、とE653系フレッシュひたちに二分されたがE657系に統一され二者の違ひが不明朗。それを停車駅少ないのを「ひたち」、「フレッシュ」の停車駅多いがかつての急行ときわに近似といふことで特急「ときわ」。「ときわ」というと小学生の頃の思ひ出ばかりだが1985年まで走ってゐたことに寧ろ驚く。この東京駅乗り入れでさらに上野が寂しくなる。写真は上野駅でまだ常磐線の特急「ひたち」や急行「ときわ」が10〜12番線で上層ホームにあつたころ(Dazhao氏提供)。「ときわ」といふと一編成だけ気動車急行で、水郡線を走る急行「奥久慈」と併結してゐたのも懐かしいが、その「ときわ」7号が昭和55年のお盆に水郡線に乗り入れてゐた、しかも奥久慈にはない指定席、グリーン車もある7両編成って、こりゃ凄すぎ(こちら)。……すみません、鉄道ネタでw