富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

九月圓臍十月尖

fookpaktsuen2014-10-22

農暦九月廿九日。中環に用事ありお会ひした御仁がオフィスビルから道路選挙を見下ろしながら「最初の頃は迷惑だな、とかと思ったりもしたのですが彼らがこんな苦労してまで民主主義、選挙民の意思が反映される選挙を切望してゐるのを毎日見てゐると、日本人って選挙権なんてあって当たり前で、その選挙権すらしっかり行使しないってことがどれだけ間違ってゐるか、を痛感しましたね。僕は日本に帰ったら選挙で棄権なんて絶対にもうしないし、周りにも選挙権があるってことがどれだけ重要なことなのかを説きたい」と。御意。晩にFCCで毎年恒例の大閘蟹。金融A氏と弁護士S嬢、Z嬢と蟹を頬張る。陰暦九月末だと思ふと、まさに「九月圓臍十月尖」には丁度いゝ頃合ひ。約束通りA氏と早めの待ち合わせでフィリピンサンミゲルの小瓶、Lansonの黒と泡で始まり皆さんで乾杯のあと紹興酒。食事の途中、ヴェランダの屋根のガラスに雨が当たり始める。何ヶ月ぶりの本降りの雨かしら。雨傘革命に雨。恵みの雨どころか金鐘や旺角でテントに寝泊まりする諸君には仕打ちのやうな雨で、あのテントでは大雨には持ち堪へまひ。雨を降らすも空を晴らすも自由自在の中共ゆゑ道路解除目指し雨降り爆弾でも天で炸裂させたのかしら。携帯で香港天文台の雨量図見ると香港で本当に中環から金鐘、旺角と道路占拠地域に局地的な大雨なのである。天をも恐れぬ中共ならこれくらゐ出来ても不思議でなし。それにしても歇む気配もない。Z嬢と私はいつも傘携帯だがお二人が傘なしで「雨の歇むまで飲み直しますか」のA氏の一言でFCCのバーでスペインはリオハのFaustino V Reserva 2008年。一本飲み終はる頃には三更になつて未だ雨止まず「これだけ酔ってゐれば雨に濡れるのも苦になりませんかね」と二人で一本の傘ではかなり濡れて中環の站へ。帰宅すると半夜三更となりぬ。港島でも陋宅のある東区は道路もすっかり乾いてゐて通り雨があつた程度。