富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-10-21

農暦九月廿八日。快晴。OS Xの「ヨセミテ」、今日は官邸のMacBook Proでこれに入れ替へたがアイコンのデザインとか配色にかつての蘋果電脳の感性や知性が感じられないね。昨日の朝日新聞、香港騒動の写真とキャプション「占拠が続く香港•金鐘で、民主派学生団体の呼びかけに応じ、両手を挙げて非暴力をアピールするデモ参加者」は正確。その朝日新聞に日曜の国際面記事で旺角の現場写真のキャプションは不正確では?とメールしたら返事あり出向部からのコメントとして

旺角では17日早朝に警官隊がバリケードを撤去し、その夜から翌朝にかけて再びデモ隊が押し戻す衝突があり、占拠範囲を再び拡大させたことはご承知の通りです。写真はその状態が続いていた18日午後に撮影したものです。写真の奥に映っている通りのバリケードの最前線には、ヘルメットをかぶったり傘を持ったりしている人々はいなかったものの、デモの参加者や支援する人たちが長時間にわたって陣取っていました。またその奥にも、座り込みを続けている人たちがおりました。写真説明は字数の制約もあり、デモ隊と警察がこの日も旺角で対峙を続けたという全体状況を簡潔に伝えるため、このような表現にした次第です。ただ、ご指摘の通り、手前のバリケードの側に映っている人々はほとんどが様子を見に来た一般の方々で、全体としてデモ隊以外の人たちが多く映っているのも事実です。この点、誤解を招くおそれがあったかもしれません。今後は、できるだけ誤解を招かないよう、表現に一層気をつけて参ります。

ださうな。写真に写つてはゐないが、その奥にデモ隊がゐました、って読者に透視能力はないよ。誤解を招く「おそれ」どころか誤解を招くのは必至。本多勝一的作文の技術で言へば「できるだけ誤解を招かないよう、表現に一層気をつけて」ではなく「誤解を招かないよう、できるだけ(できるかぎり、の方が望ましい)表現に一層気をつけて」でせうに。午後遅く養和病院。先日は曼谷での検査結果で腫瘍マーカーCEA)の再検査で消化器科だつたが今日は腎臓と膀胱のエコーで結石とのことで泌尿器科。エコーでは右の腎臓と膀胱を結ぶ尿路の管に7mmの結石があるさうで、膀胱や尿道ならまだしも、この部位の尿路で、この大きさの結石としては大きい(管が詰まる大きさ)ださうで早速、除去しなければならないが先ずは香港の私立病院お得意のCTスキャンを今すぐ、と。その上で薬で流すのではなく日を改めて超音波使つた手術することに。CTが終はつて出てくると受付のテレビがニュースで香港政府と抗議学生たちの「対話」もうすぐ開始、と。帰宅するのに、ふとUberのアプリ開いたら病院の近く(ジョッキークラブのクラブハウス下)に珍しく空車がゐたのでHK$100のクレジットがあつたしアプリで呼ぶとSクラスのベンツが2分で到着。快適。運転手の話では香港でUberのリムジンは20数台なのだといふ。事前予約できないところが不便だが逆に言へば上手い具合に見つかつた時は気が楽。ラジオから「対話」のニュース刻々と流れる。運転手に「この運動、支持しますか?」と尋ねられる。「心情的には支持だけど中共がこれに折れるはずもなし、結果は何かいゝ方に向かふかしら、道路封鎖は佔中の計画では夜半、周末だけ、と思つてゐたので仕事でも影響あつて堪へたね」と答へると運転手君は仕事柄「彼らはとんでもない奴ら」なのか、と思つたら、だうやらさにあらず。帰宅して「対話」の中継眺める。本当に頭脳明晰な、このまゝ卒業して香港政府のAO(上級公務員)になれさうな学生たち、と、そのパターンで政府高層になつたのに今では中共の「ぱしり」の如き香港政府高層たち。学生らのかなり勉強重ねた主張と展開に対して政府側は何週間前からの公式見解繰り返すばかりで、目新しいことといへばせいぜい学生たちの要求を北京 (香港の出先期間)に伝へる(実際にはすでに知つてゐるが香港政府から公式的に)と、その程度。行政長官測量梁はFT、紐育時報ら相手に今回の香港での抗議活動に「中国の介入ないのは幸運」「今回の民主化運動に外国政府の介入あり」なんて宣つてゐるし。新潟M記者曰く25年前に趙紫陽はこれを天安門で口にして失脚したのだが。その中共は4中全会北京で昨日開幕。新たな改革の旗印は「法治」。法に基づく国家統治なら、それはいゝが問題は法の上位に「党」のあること。法治より党治で党は一切の法の制約も受けないのだから困ったもの。その党が法を如何様にでも操られるところが問題。今日の信報林行止専題が

中共以民主集中為名,行一黨專政之實,經過數十年經營,已把四分五裂的國土,從一個爛攤子,改造為一個國力膨脹的「強」國。統治者情難自禁的得意,在所難免;其有權盡攬盡用的黨性,利用財權一把抓的「購物力集中制」,在國際間擺出「大款」闊氣,國家以大國自況、國人亦欣然隨之揚眉吐氣,只是在外人看來,行止間少了一點大氣,絕非泱泱大國國民所應有的小器。

と嘆くのは一国両制が実は一党両制になつてゐること(林行止:一「國」兩制是原意!一「黨」兩制揭新章?)。SCMPのLai Seeは「外国の介入」って中共による革命運動だつてソ連の介入なくしては為し得なかつたのだし、陶傑は蘋果日報の連載で中共が「英国が香港統治150年のなかで民主化を求めず何故に今なのか?」と言はれても今回の運動の主客たる学生たちは二十代で英国統治すら知らぬのだ、と。そりゃさうだ。山東省出身の母親は纏足させられたといふ測量梁がなぜ娘を英国に留学させるのか、纏足させないのか?とは問はれぬのと一緒、と。
慰安婦をめぐって展開される議論には、日本の名誉回復を求める情熱があっても、戦場の現実を知ろうとする姿勢は見ることはできない。それを私は恐る。……と藤原帰一氏。
▼政治的にはスハルト的独裁か脆弱な共和制と思はれてきたインドネシアが今ではアジアで立憲政党政治ではどこよりもマシ。タイは軍政での国家評議会が民生復帰に向け始動ださうだが下手なタクシン的民生になるなら軍政の方がマシ。アジアの政治は面白い。