富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

従軍慰安婦

fookpaktsuen2014-08-05

農暦七月初十。某銀行からの“the FATCA implementation of the US Government”の関係で、銀行口座もつ法人格の代表者が米国籍かどうか、の書類提出について通知あり。なぜ香港の金融機関が香港の銀行口座で米国政府の介入受けるのか、呆れて言葉もなし。寧ろ香港で必要なのは大陸漢のとても私費とは思へぬ巨額口座の取締りでは?と思ふ。四日続きの外食ミッションも済み今晩は自炊。
▼朝刊で朝日が突然に従軍慰安婦報道総括の特集。慰安婦で朝日とNHKが右民から目の敵にされるなか朝日は報道当時に慰安婦と女子挺身隊の混同あつたことは認めたが所謂「済州島連行」の吉田清治証言は虚偽としたものの「当時(それを)見抜けませんでした」で(済ませ)記事は「取消し」。慰安婦報道で焦点となるU記者(すでに退社)の慰安婦報道については「意図的な事実のねじ曲げはありません」と断言。その上で慰安婦報道「捏造」改めて否定し1面に編集担当役員による論説(慰安婦問題の本質直視を)を掲載(こちら)。

被害者を「売春婦」などと貶めることで自国の名誉を守ろうとする一部の論調が日韓両国のナショナリズムを刺激し問題を拗らせる原因を作っているのです。(略)戦時中、日本軍兵士らの性の相手を強いられた女性がいた事実を消すことはできません。慰安婦として自由を奪われ、女性としての尊厳を踏みにじられたことが問題の本質なのです。

と、これが紐育時報の言論なら「良識的」で済むが朝日なので当然のやうにネット右民たちからは、韓国の今日の反日感情の高まり、日韓対立はこの朝日の報道によるものなのに、まるで他人事のやう、誤報責任に触れず謝罪もなし……と絶賛?の嵐*1。結局のところ「外圧」で欧米のマスメディアの論調を待つばかりかしら。
▼「古事記」の現代語訳を終へたといふ池澤夏樹天皇について語つてゐる(今日の朝日「終わりと始まり」にて)。今上と皇后の両陛下が七月に国立のハンセン病療養所全てをまわり終へ、六月には沖縄で沈没した学童疎開船「対馬丸」の記念館を訪れてゐる。昨年の十月には水俣東日本大震災では直後から何度となく避難所を訪問して被災者を慰問。かうした姿に「我々は史上かつて例のない新しい天皇の姿を見ているのではないだろうか」と池澤夏樹憲法のもとで天皇にはいかなる政治権力もなく、ときの政府の政策についてコメントせぬ。折に触れての短い「お言葉」だけ。行政の担当者に「鋭い質問」を発しても形ばかりのぬるい回答への感想は口にせぬ。言論といふ道具を奪われてゐる天皇。思ひを言論で表すことができないが行動で表すことは出来、国民はそれを読み解くことが出来る。高齢の両陛下が頻繁に、熱心に日本国中に御幸。訪れる先は「みな弱者」のゐるところ。

今上と皇后は、自分たちは日本国憲法が決める範囲内で、徹底して弱者の傍らに身を置く、と行動を通じて表明しておられる。お二人に実権はない。いかなる行政的な指示も出されない。もちろん病気が治るわけでもない。
しかしこれほど自覚的で明快な思想の表現者である天皇をこの国の民が戴いたことはなかった。

……と。御意。

*1:翌日の産経新聞も「主張」で「朝日慰安婦報道「強制連行」の根幹崩れた」(こちら)と題して「朝日の報道が日韓関係悪化の発端となったにもかかわらず、「自国の名誉を守ろうとする一部の論調が、日韓両国のナショナリズムを刺激し、問題をこじらせる原因を作っている」と、ここでも責任を転嫁している。」と当然?の指摘。