富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-07-22

農暦六月廿六日。信報の記事で知つたが、香港の古い茶餐庁で紅茶に「西冷紅茶」といふ名称あり西洋茶にしてもホットでも「冷」とはこれ如何に?と思つてゐたが「西冷」は錫蘭、Ceylonの音訳の由。香港の行政長官のポスト測量梁で前金融管理局総裁の任志剛の名が浮上。商人で董建華失脚、官僚上がりで文革曾は汚職の疑ひ、現任の測量梁は親共で低人気……となれば政治的には無色、香港は国際金融都市と思へば任総が適任といふ見方も成る程。早晩にFCCで独酌。バーのギャラリー壁にBob Davis氏(こちら)1980年代初頭に中国の北京や上海で撮つた写真展示あり(こちら)。それを見てゐるとBD氏←このバーの常連、から「どう?」と声かけられる。白黒写真は独特の印画処理されてゐるやうで何かと思へば、これを撮つたBD氏、北京からシベリア鉄道で巴里に向かふのに中国でのフィルム30本以上携帯を避け北京の豪州大使館に勤務する知己にフィルム託したといふ。それがBD氏に香港宛で届かぬまま数年が経ち、その知己が離任の際に公寓で片付けのなかフィルム見つけBD氏に届けたは幸はひ。だがプリントしたところフィルムの劣化著しく、それが印画に出たのだといふが、今になつて眺めると、いかにも当時の中国の風景らしく何とも趣きあり。FCC樓上のダインでZ嬢と晩餐。Z嬢が珍しくメインをガルーパにしたいといふのでワインはSancerre Le Chêne Marchand 2010年、で前菜はパルマハム、メインはガルーパのグリルと前菜メニューにあつたムール貝のクリームソース和へをシェア。我ながら若いときには出来なかつた料理選びと思ふ。チョコレートムース。
毎日新聞野坂昭如「七転び八起き」第184回「原発再起動 何も解決していない」より

福島第1原発廃炉に向けての工程は先が見えない。先どころか事故ばかり。故障を重ね、近頃では世間もまたか、といった具合。多少のことでは驚かなくなっている。今後、何十年と付き合っていかねばならぬのに、事故を告げておしまい。楽観的に考えても廃炉まで40〜50年といったところ。技術者をどうやって確保して維持していくのか。除染にしても追いついていない。人手不足もあるのだろう。さらに深刻なのは水の汚染である。これをどうするのもりか。(略)事故から月日が経つにつれ報道は減り、放射能による影響も減ったかのような錯覚に陥る。日本の経済とやらのためにと、原発再稼働を急ぐ。帰りたくても帰れぬ人々がたくさんいる。戻りたくても戻れぬ人達がいる。時間の経過は月日を重ねるだけ。問題を解決するわけじゃない。

ドナルド=キーン翁は集団的自衛権について

私は反戦主義者です。憲法9条のすばらしさは、戦後の日本が一人の戦死者も出していないことに表れています。政府は、戦争をしても日本は負けないと思っているのかもしれませんが、武器を持って戦場に行くのですよ。70年近くの長きにわたって平和であったことは、歴史を振り返っても、とても珍しいことです。

▼「中国、倹約へ海外演奏制限」と日経の記事。何か?と思へば維納フィル本拠地である維納楽友会「黄金のホール」は使用料(2〜3万ユーロ)払へば誰でも借りることが出来て中国の音楽団体が昨年だけで130超の演奏会。地方政府が芸術振興といふ名目で資金援助もしてをり、どうせ地方政府関係者の出張も含みか。此処だけでなく国連本部や巴里のユネスコ本部のホールも人気。日本のバブルでもこれほどの隆盛は聞かず。