富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

10年ぶりの大阪

fookpaktsuen2014-07-09

農暦六月十三日。昨晩三更にZ嬢と香港空港。網上で搭乗確認済ませてゐたがZ嬢がiPhoneのpassbookで搭乗券受け取ると、あら不思議、Cクラスに格上げ。involuntary upgradeの由。まさかアナタだけぢゃないですよね、とアタシも見てみると同様。台風の影響か韓国済州行きの便取り消しとなり、その客が関空経由となつたことで客溢れアタシらがC格上げになつた由。今回はマイレージの無料航空券なのにCにまでしてくれるとはキャセイもご立派。出発は午前1時45分と遅い。出発後に夜食あつたやうだがテイクオフの前から四国上空まで熟睡。台風の影響で台湾から九州にかけ気流悪しく、かなり揺れる。早朝に関空到着。2004年11月以来の大阪(こちら)。SIMカードの自販機で(それがあるだけでも進化だが)500MBが5,000円って……香港では日本SIMが5GBでHK$299だと思ふと日本が10倍以上高いことになる。大阪市内との空港連絡バス、乗客はわずか5名、で上本町の近鉄駅、シェラトン都ホテル大阪。さすがに朝八時前で部屋の用意できず。ヘルスクラブあれば着替へとかさせてくれ給へ、と請ふがプールもジムも経営が別で別料金になります、と……お話にならず。洗顔だけ済ませ出街。黒門市場。築地の場外ではないので朝も遅い。やつと店が開け始めたくらゐで歩くのは香港や台湾の観光客がぽつぽつ。さくら食堂といふ食肆が開いてゐて浅蜊汁とご飯で朝餉。傘や下駄の製造販売の見世を眺めながら堺筋の裏道下る。歩くオッチャンたちの雰囲気が徐々にDeep Southっぽくなるから。恵美須町通天閣。初めて攀り大阪市街から生駒山、六甲山まで眺める。天王寺動物園に遊ぶつもりがZ嬢が眼下の小さな始発駅見つけ「あれ、何の電車?」と眺め下ろすと阪堺電車。「新世界の旧世界」ディープな新世界市場のアーケード街抜け阪堺電車のえびす町駅。1時間に3本の運行が丁度出発で老人が数名乗つた市街電車でがたごと、と住吉まで。堺まで乗つても200円と良心的。住吉は阪堺電車のえびす町往きと天王寺往きの分岐あり線路好きには垂涎のポイント。天王寺往きに乗る。天王寺でも阪堺電車駅は昭和30年くらゐの風情、だが目の前には「あべのハルカス」聳へ、その対象のちぐはぐ。谷町線でホテルに戻ると正午で部屋宛てがわれる。急いで着替へ一人で難波経由で新大阪駅。新幹線で着た母迎へる。御堂筋線淀屋橋吉野寿司。「生憎、もうお終ひです」と入り口の店員に言はれ時計を見ると午後一時半から五分過ぎ。昼は三時までのはずだが一時半で注文終ひだといふ。折角来たのに……と思ふが笑顔で「すんまへん」と店員言ふばかりで埒あかず。御堂筋でも淀屋橋と本町のちょうど間で半端な場所、タクシーで心斎橋。大丸本店。御堂筋の向かひ側のホテル日航の地下に美々卯の支店あり昼餉に鱧の天ざるうどん。本福寿司で押し寿司の折り詰め購ひ心斎橋筋下る。台風の影響でほんの少しの雨。台風はいぜん九州にも至らぬが新潟など遠方で記録的大雨の由。道頓堀のスタバで珈琲好きの母と四方山話。小学生のころによく母に連れられ地元で藤田屋珈琲店に珈琲飲んだこと思ひ出す。松竹座。Z嬢と待合せ三人で歌舞伎見物。山城屋(藤十郎)の沼津。呉服屋の商人十兵衛と街道筋の老齢の雲助平作、その娘お米の因果話だが(こちら)本筋の三人の実の関係にもまして演じるのが老人平作が山城屋の長男翫雀で、その娘役が山城屋の次男で翫雀の弟の扇雀のやゝこしさ。中入りで松嶋屋仁左衛門)の奥様にロビーで久々にご挨拶。相変はらずおきれいでお元気。香港から持参の燕窩を贈る。松嶋屋の身替座禅。太郎冠者は橋之助、妻の玉の井翫雀、で侍女に児太郎と梅枝(時蔵の息子)。昨年十一月から病気療養で六月に歌舞伎座「お祭り」で復帰の仁左衛門丈すっかりお元気。身替座禅といふと中村屋勘三郎)の当たり役だが仁左衛門といふ上背のあるこの美男がまた笑ひのとるもお上手。夏は怪談、で累ヶ淵は豊志賀は萬屋時蔵)の初役で好演←豊志賀といふと神谷町が親子二代で萬屋は先代による昭和28年の演舞場以来。新吉は音羽屋(菊之助)。孝太郎の女伊達でお終ひ。酔客あふれる道頓堀。法善寺横丁。「たこ政」に飰す。こゝの穴子焼など実に美味。まだ台風の雨が降らぬ。法善寺参拝してホテルに戻る。
▼蹴球W杯の準決勝でブラジルが独逸に歴史的大敗。強豪独逸との試合では接戦になると思つてゐたが真坂の7対1。ブラジル優勝ならエコノミーで日本往復の航空券買へるくらゐの配当あつたのに……。