富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2014-06-26

農暦五月廿九日。酷暑。銀行T氏と早晩に中環で待合せまでFCCで書類整理。T氏と銅鑼湾。日本料理の「安半」に飰す。バーSに独酌。長蛇の列が出来てゐたラーメンの一蘭も店舗拡張で繁忙時間除けば行列もなし。
▼信報の社説「安倍「第三箭」乏勁 改革陷強弩之末」(こちら
可以說,「第三支箭」似呈現強弩之末;在農政改革等爭議性領域,改革內容點到即止,難怪市場對安倍政府推動結構改革的成效,始終缺乏充足信心。雖然今年首季度日本經濟表現相對理想,但隨着消費稅提高後,第二季度筯速明顯放緩,若政府明年再將消費稅率上調至百分之十,勢必打擊國民消費意欲,使經濟有再次陷入通縮循環之虞,而安倍政府所提出新筯長戰略和長期政策藍圖的措施,恐怕亦遠水難救近火。
と日経でこそ書かせたい、こんなシビアな内容。その日経の社説といへば「中国をにらんで東アジアの「合従」進めよ」(こちら)。気分はもう戦争。社説はひどいが文化欄の、ウクライナの国立バレエ団で21年、田北志のぶ「キエフに舞い続ける」は読みこたへあり。
▼信報の林行止専欄が何十年も香江第一筆と称される知性と健筆誇るが領土や歴史のことになると「中国第一」に陥るのが不思議。蹴球W杯語る昨日の専欄でも蹴球の歴史説き中国が発祥の地といふ説から「如果說「以腳踢球」為我國「古已有之」的蹴鞠或塌鞠是現代足球的元祖,那麼說我國發明足球,便如同釣魚島及南海諸島屬於我國所有一樣,是不必爭論、更不必交由國際法庭裁決!」と、一瞬、反語的に「何でも中国」の中華思想皮肉つてゐるのかしら、と思つたが左に非ず。釣魚島や南洋諸島の島々が中国に属するのと同様に国際司法裁決も必要なし!と、何故さうなるのかしら。
▼行政長官測量梁が環球時報の社評「香港非法公投人再多,也沒十三億人多」につき「我是不同意這個講法,任何人都不應該將香港市民和中國人民對立起來,無論是香港市民或是內地居民,都不應該將香港市民和中國人民對立起來」と反論のやうな反論でもなき火消し言論発表(こちら)。台湾の自由時報に掲載された林鴻達「香港吃祖國 祖國吃香港」(こちら
香港的主權從英國轉移至中國,是基於一份在聯合國備案的《中英聯合聲明》,白紙鄢字訂明「國防外交以外全是香港自治權範圍,五十年不變」的大原則,中國就連這樣的國際文件也不遵從,服貿協議之類的兩岸協議,別幻想中國會遵照執行!
についても反論(こちら)。
▼今日の朝日新聞の論壇時評、高橋源一郎の「「アナ雪」と天皇制 ありのままではダメですか」。映画「アナと雪の女王*1」を見た源ちゃんは中森明夫の「実在する雪の女王」の話、そのうちの一人、雅子妃殿下の話をする。

彼女は「外務省の有能なキャリア官僚だった」が「皇太子妃となって、職業的能力は封じられ」「男子のお世継ぎを産むことばかりを期待され」「やがて心労で閉じ籠ること」になる。(この映画のテーマ曲「ありのままで」に触れながら)「皇太子妃が「ありのまま」生きられないような場所に、未来があるとは思えない。

と書いた中森明夫のこの原稿は、結局、中央公論から掲載を拒否されたといふ。そして赤坂真理敬宮愛子様についての言説。

「生まれてこのかた「お前ではダメだ」という視線を不特定多数から受け続けてきたのだ。それも彼女の資質や能力ではなく、女だからという理由で。(略)ゆくゆくは彼女の時代となることを視野に入れた女性天皇論争も(略)秋篠宮家に男児が生まれた瞬間に、止んでしまったのだ!(略)彼女は生まれながらに、いてもいなくてもよくて、幼い従兄弟の男児は、生まれながらに欠くべからざる存在なのだ。なんという不条理!それを親族から無数の赤の他人に至るまでが、(略)ごくごく素朴に、信じている。この素朴さには根拠がない。けれど素朴で根拠のない信念こそは、強固なのだ。

そして三つ目、雑誌「群像」に連載されてゐた原武史「皇后考」が間もなく終はる、といふ。

わたしたちが知っている「天皇制」は近代に生まれたもので、たかだか百数十年の歴史しかなく、それに先立つ2千年近い「天皇制」の中に、近代のそれとはまったく異なる原理が混じっていた。

……といふ原武史の指摘。そも/\女神であるアマテラスを始祖とする古代天皇制には現在のそれとは正反対の「女性優位」ともいうべき思想が底流としてあつた、として「ある意味では天皇より上位の存在に、皇后はなることができるのであり、実際に、歴代の皇后の中に、いや近代になっても、それを強く意識し、その地位に上ろうとした者もいたのである」と、ははーん、といふ話。「男系男子のみを皇位継承者とする「皇室典範」の思想は「男性優位」社会のあり方に照応している」わけで「その思想も、人工的に作られたものにすぎない」といふ源ちゃんの見方は正しい。「近代」天皇制と<人権>の矛盾。

*1:雪の女王とは何か?自らの能力を制御なく発揮する女のことだ。幼い頃、思いきり能力を発揮した女たちは、ある日、『そんなことは女の子らしくないからやめなさい』と禁止される。傷ついた彼女らは、自らの能力(=魔力)を封印して、凡庸な少女アナとして生きるしかない。王子様を待つことだけを強いられる」