農暦二月廿四日。夜明けも六時前と早くなつた。眼下の成功大学運動場で朝七時前から籠球の練習する学生たち。ふと思へば台湾映画で青春といふとバスケの場面多し。朝九時半過ぎの自強號で一路、台北へ向かふ。一昨日この列車の切符購ふ際に台南の站の窓口で「台北往き」と言つたつもりが窓口の站員に「さすがに北京には往ってないけど台北でいい？」とニヤッとされる。とんだ言ひ間違へをしたやうだ。自強號、かつての台鐵の花形列車も新幹線の時代では車両も老朽化する一方だが、やはり八十年代までの（新幹線が出来るのは更にアトだが高速バスにお株奪われる迄）優等列車はシートピッチなど日本のグリーン車以上で快適。八十年代初頭に初乗りの頃は列車に麗しき服務員からおしぼりサービスなどあり。四時間余も列車に乗つてゐられるなんて、なんて幸せ。たゞ猛烈な冷房に閉口して凍えるばかりで新聞読むのも難儀。昼前に台中に着くが停車時間に台鐵便當買ふのも慌てるかしら、と台南で乗車前に買つておいたら台中で運び込まれた弁当の車内販売あり。列車に揺られ車窓の風景楽しみながら相変はらず栄養バランス考えてゐない臺鐡便當頬張る幸せ。台湾近くの樹林の車両基地で莒光號（急行）の編制で食堂車？あり。台鐵の食堂車といへば「美少女イラスト満載な萌え萌えキュン仕様」（こちら）の所謂「痛車」で去年話題（酷評）になつたが普通の車両塗装にしたのか……乗つてみたいが台湾一周とか観光列車に連結らしい。台北着。捷運（地下鉄）で忠孝復興站乗り換へで木棚線の六張犁站。歩いてShangri La Far Eastern Plaza Hotel Taipeiに往く。台南と同じ系列でも宿泊費が台北は倍もするから。シャングリラの会員特典で33階のクラブフロアにある客室宛てがはれ下榻。
夕方、捷運で雙連站。Ｚ嬢が馴染みの胡麻油屋や干し果物の店など食材購ひつゝ迪化街へ。今でも日本語堪能なのは昭和一桁が最期の世代のはずで、となると八旬だが矍鑠と店頭に立つ老人たちの元気なこと。「これ、美味しいから食べてみなさい」「台湾のマンゴーで、少し高いけどマズいはずがない」と、どこか旧制中学的な律義な日本語が聞いてゐて心地良い。迪化街の古い商業街の街並はこのまゝ残すのかしら。圓環。全面ガラス張りのモールと化したロータリー中央の圓環はかつて此処がどれだけ悪所だつたか知らぬ大陸観光客相手の閉じ込め式の土産物屋やレストランになつてゐる。問屋が並ぶ太原街で試薬瓶や試験管、ガラス瓶等とんでもない種類揃へる専門問屋あり。路地を入つたところにある鉛活字の専門印刷店・日星鑄字行に寄る。昔ながらの活版印刷で名詞でも作つてみたいものだが。台北でも活字扱ふのは此処だけの由。南京路をバスで東行。吉林路の好記に浅蜊料理や担仔麺飰す。捷運で松江南京から東門乗り換へで信義安和。臨江街觀光夜市。観光客多いかといへば殆どが地元民。台北の友人に尋ねると、やっぱり少しでも涼しくなつた夜に何となくぶらついてしまふのが夜市なのだ、といふ。仙草の美味いデザートに出くわす。夜道歩いて旅寓に戻る。
▼大阪出直し市長選橋下様当選。投票率は24％（前回61％）で過去最低。橋下の得票率36％から18％に下落。無効票は過去最多７万票（うち白票５万票）で投票総数の14％と一人相撲で得票率と無効票率が４ポイント差。府民も橋下に三行半。
@fookpaktsuen: 「人生初の棄権」公明支持層、橋下氏に複雑な視線 - 朝日 URL この視点での記事は興味深い。
