富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Maria João Piresのショパン

fookpaktsuen2014-02-21

農暦正月廿二日。曇。昼に通りがかりで中文大學に寄り学食で昼餉。何気に注文した麻辣肥牛麺で簡単な学食メニューながら本格的な麻辣ぶりに驚く。たしかにキャンパスは大陸からの学生の普通話がかなり目立ち麻辣ぶりも本格的なのかしら。かなり多忙な日が続くが強制終了で早晩に整体按摩。かなり久々。身体が悲鳴を上げてゐるのがわかる。昨晩に続き尖沙咀の文化中心でスコットランド室内管弦楽団(指揮はロビン=ティチアーティ)とマリア如庵ピレシュ女史の演奏会。今晩も初っ端はメンデルスゾーンで 序曲「フィンガルの洞窟」。ピレシュさん登場で今晩はショパンでピアノ協奏曲2番。あなたはどこの星から来た、誰なのですか……とピレシュさんでしか行き着けない境地。何の欲も飾り気もなく、たゞそこに音が並んでゐるのみ。だが、その音が誰が奏でるにもまして美しい。香港文化中心ですらピアノの音がきれいに聴こえるのだから。満場の拍手のなかアンコールはショパンノクターン9の3。このまゝずっとこの空間に漂つてゐたい私。中入りで「もうショパンが細胞の隅々まで行き渡った」から後半のベートーベン「運命」聴かずに帰途についた、といふ香港大N姐の判断はよくわかる。がアタシとZ嬢はこのオケなら「運命」も1楽章で、どんな音を鳴らしてくれるのか、2楽章も独立した曲として聴けるよね……と中入りで珍しく赤葡萄酒傾ける。養和病院神経科のL先生に邂逅。頭痛もだいぶ回復してお礼述べる。本当に立派なお医者様。「運命」はホルンもファゴットも昨晩と同じで美しい音色。ティンパニーの演奏ぶりだけで聴く価値十分にあり。下手なオケだとやたら鳴らしっぱなしになる曲が、ほんと余計な装飾なしに削ぎ落とされた感じ。それでも3〜4楽章はN姐の言葉借りれば「脂浮いてるビーフシチューみたい」といふのは言ひ得て妙。今晩もアンコールはフィガロの結婚
▼昨日の衆院予算委で河野談話につき官房長官菅某が証言検証見直しに言及。石原信雄翁の「証言の裏づけ調査は行われていない」といふ発言受けてのこと。本当に知性の欠如。尖閣で日中両国が領土問題棚上げしたのと同様、慰安婦については日韓両国で謂はゞ認識の手打ちが出来ていたものをわざ/\蒸し返したところで日本に利するところ無し。自民党の「台湾関係法」(仮称)の策定も同じ(こちら)。政治家のクズが政治をしてゐるのだからだうしやうもない。同じ場で晋三は「教育基本法は占領時代につくられたが衆院両院で自民党単独で過半数となっていた時代も手を触れなかった。そうしたマインドコントロールから抜け出す必要がある」とまた/\暴言。当時はマインドコントロールではなく自民党ですら、この法律を結果的には許容。自分が安倍ちゃん内閣1期目で無理矢理に改悪したくせに。晋三のやり方(とても政策や思想とは呼べず)こそ陳腐なマインドコントロール。晋三の経済ブレーンだといふ本田某が壁街ジャーナルで晋三靖国参拝擁護の発言あり本田某「真意が全く伝わっていない」と発言内容否定だかしてゐるが、その発言にあつたといふ「日本の平和と繁栄は(神風特攻隊など戦争で命を落とした)彼らの犠牲の上にある」といふ表現、これは「戦争で亡くなった方の尊い命が今日の平和を」的によく右翼、左翼問はず用ひられるフレーズだが本当にさうなのかしら。侵略に対するレジスタンスならさうなのはわかるが中国侵略や太平洋戦争での日本のそれは違ふはず。むしろ、そんなパラドックスが怖い。
朝日新聞(オピニオン欄)で米国在住の作家・冷泉彰彦といふ方が「米国から見る安倍政権1年」語つてゐる(こちら)。非常に「当たり前」のこと述べられてゐる「だけ」なのだが、それが珠玉といつてはいひすぎだが立派な見方と思へるのは、それだけ日本が異常だから。この冷泉なる方、初めて名前を聞いたが「海外」といふのは森巣博、古くは大橋巨泉など相手にされないのが日本。