富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Shinzo is getting dangerously close to...

fookpaktsuen2014-02-20

農暦正月廿一日。晴。朝の気温摂氏八度。粉嶺では摂氏一度とR君の顔本にあり。夕方、久しぶりに小一時間の独演会あり高座に上がる。原稿もネタの仕込みもなしの、ほゞ即興、行き当たりばったりの話だつたが本筋から外れた小ネタも含め涌き出だす泉の如し、で時間ぴったりに落ちに持ってゆくことが出来て我ながら上出来。大したもの。早晩に佐敦で打合せ済ませ、初めて「らーめんチャンピョン」の暖簾潜る。らーめんチャンピョンといふより「豚骨チャンピョン」とでも呼びたいくらゐ世の趨勢で豚骨スープばかり。もう食傷気味で「どてちん」なるブースで和風淡麗海鮮拉麵なるラーメン見つけ飰す。尖沙咀の文化中心まで歩く途中、突然、甘味欲して珍しくマクドに入りマックシェイク求め、店内で空席探すとマクドではかなり珍しくZ嬢と邂逅。コンサートまで時間なしでマクド寄りの由。最近はコンサート前に飲むと完ぺきにコンサートで寝るので禁酒。今晩はスコットランド室内管弦楽団(指揮はロビン=ティチアーティ)とマリア如庵ピレシュ女史の演奏会。会場で元政府高官で京劇好きのT氏に邂逅。明晩も?なんて気軽にお尋ねしたら今年の香港芸術祭の開会日から毎晩、と言はれ、T氏この芸術祭の実行委員会の理事であること今更ながら気づく。失礼。劉健威兄も二晩ださうで。今晩はメンデルスゾーンのOverture in C Op101で始まりピレシュさん登場でシューマンのピアノ協奏曲イ短調作品54となる。ピアノが鳴つた瞬間に、もうピレシュさんの世界。Z嬢にいはせれば「草原にゐるやう」と。本当に。今更いち/\このピアニストのシューマンをアタシが語る必要もないでせう。アンコールはシューマンの小曲「予言する鳥」は「なんでこの曲を!」と驚くほど普通のピアニストなら唐突な選曲だがピレシュさんなので、これがまた美しいこと、美しいこと。中入り後はWebernのFive movements for strings, Op 5といふアタシには全く理解できない現代曲とシューマン交響曲2番。この演目、たゞ/\ピレシュさん狙ひで参つたのだが(アタシはなにせピレシュさんを生で聴くのが初めて)スコットランド室内管弦楽団のまぁ音の確かなこと。ファゴットの音が美しければティンパニーも上手、古楽器のホルンも聞かせてくれる、がコントラバスの殊に首席奏者の音色が見事。ティチアーティといふ、まだ三十歳だが、もう五年だかこの楽団の指揮をしてゐるさうで、ピレシュさんとも、会場であつたA氏の言葉借りれば「まるで座つきのピアニストのやう」に相性もぴったり。アンコールはシューマン……ではなくフィガロの結婚序曲。この公演、日本でもされてきたさうでサントリーホールでは同じ演目で15,000円だとか。香港の文化中心ぢゃ明らかに音響は劣るし観客のマナーも悪いが(でも今晩は楽章毎の拍手なし!)料金でいへば3分の1也。
▼漫画太郎昨日の衆院予算委で晋三靖国参拝につき「各国からいろいろな話があると聞くが外務省に正式に抗議が来たという話を聞いたことがない」と宣ひ毎日(本日)の記事は「批判しているのは中韓両国など一部に限られるとの認識を示した」といふ。晋三靖国参拝を外交ベースで正式に非難してくるとなつたら一大事、それを「いろいろな話」と済ますのだからさすが漫画太郎の反-知性。中韓両国を世界百数十カ国の「一部」と言へれば大したもの。衛藤某は舌禍に懲りず「私としてはあまりにもがっかりだねという皮肉のつもりだ」と言ひ張り「補佐官として言うべきではないというなら申し訳なかった」と反省もない上に開き直り。呆れて言葉もなし。今日の同委も昨日に劣らぬ珍説暴言続き。晋三は集団的自衛権行使容認の憲法解釈変更につき「閣議決定して案が決まったら、(国会で)議論頂く。それに沿って自衛隊が活動する根拠法がないから、自衛隊法を改正しなければならない」と宣ふ。朝日によれば「閣議決定によって解釈を変更すると明言」で「さらに決定後に自衛隊法を改正する方針を表明したものだ」だといふ(アタシにはそこまで晋三の発言から読み取れないのだが……)。また晋三の件の憲法解釈の「最高の責任者は私だ」につき「私は『たった1人で決めて良い』とは今まで言ったことはない。今までの積み上げもあって国民の理解も大切だ」と釈明の由。「三権分立で言えば、私と法制局は同じ行政府だから、その責任者は私であることを明確にしなければならない」とも答弁したさうだが今日のFT紙も香港からDavid Pilling記者が“Washington regrets the Shinzo Abe it wished for”と題して“The US fears that Japan’s departure from postwar pacifism will provoke Beijing”の記事(こちら)あり。昨日の紐育時報の社説“War, Peace and the Law”(こちら)も
Prime Minister Shinzo Abe of Japan is getting dangerously close to altering a cornerstone of the national Constitution through his own reinterpretation rather than by formal amendment.
とまで明確に指摘。角さんのときのやうなロッキード疑惑的な脇の甘さのない晋三に宗主国から、どんな天誅が下るのか。野中広務先生も昨日、参院の調査会に参考人として招かれ晋三の議会軽視、偏つたブレーンによる政策決定、立憲主義についての理解のなさ、靖国参拝など批判されたさうだが、これを現役の議員さんたち、だう受け止めるのか。「もう晋三は明らかに賞味期限切れ」と判断できない日本(国民も含む)が晋三に続き国際社会から見放されてゆくのかしら。
▼話題にするのも低レベルで馬鹿/\しいがNHKの会長。連日国会に招致されるなか、昨日は特定秘密保護法の廃止や修正の声、文化人の反対運動があることを知つてゐるか?といふ共産党(吉良よし子議員)からの質問に「承知していません」と回答(笑)。
蘋果日報「糖水、牛雜統統收爐 雞蛋仔掙扎求存 不敵貴租 北角美食人龍漸失」(こちら)と北角で行列が出来ることで評判だつた三軒の小食店、ゆゑに「三龍條」と呼ばれてゐたが、甘味の王記糖水、牛のホルモン煮込みの十三座牛雜が近々閉業、北角雞蛋仔も支店閉め縮水の由。家賃高騰が直接の原因だが十三座牛雑も歐陽應霽君紹介のころは長蛇の列だつたが牛雑一串が十数元となり今では行列も見られず。鶏蛋仔だつて「子どものころよく食べた手軽なお菓子」で評判になつたがチェーン店化なんて所詮、無理。所詮「小食」は小食、「小販」で屋台商売が似合ふのに商売多角化など欲を出すから。