富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

香港クレージー作戦

fookpaktsuen2014-01-31

農暦甲午年正月小初一。恭囍發財。行政長官測量梁の新春賀辭、見たい方だけどうぞ(こちら)。行政長官の写真が逆様になつてしまつたが画像処理上の問題で何かを意図したわけではない。マンションの守衛やミニバスの運転手「あなた非番では?」の衆まで挙つての待機?に利是配り恐れて、といふわけではないが外出せず。アバド指揮の維納フィルでマーラー交響曲聴く。午後遅くDVDで『香港クレージー作戦』見る。クレージーキャッツの香港ロケはチンドン屋シーンで有名な尖沙咀のMody Road周辺と香港島では動植物公園、それにビルの屋上は恐らく当時は他より高層の萬宜大厦。内容的には2日くらゐでロケ済みさう。戦争終はつて17年目、日本軍佔領の香港で、まだ戦争の記憶も確かな時代によくぞノーテンキに映画ロケなんぞ出来たな、と今はさう思ふが、これは(間違つても「日本の東南アジア佔領は各地の民衆の支持を得たもので日本はアジア独立に貢献した」なんてことではなく)戦争を実際に体験した世代といふのは戦争お終ひで日常生活上のリセットは経験知として出来るといふことなのかしら。
▼「今年もロンドンでエコノミスト誌の恒例の新年予測レポート“THE WORLD IN 2014”を手に入れた。ここで示される見方は……」なーんて書き出しは岩波『世界』2月号で寺島実郎氏の連載「能力のレッスン」。一昔前なら、この書き出しだけで尊敬だが、このレポート、倫敦ぢゃなくてもネットで誰でも気軽に読め〼(こちら)。そのなかで日本経済分析した“Trials of a superhero”(こちら)読んでおくべき。この号で永田浩三NHK会長その政治的で不可解なるもの』がタイムリーで面白い。

NHKの新会長がまもなく決まる。この原稿が読まれるころには、決まっているだろう。なぜNHKのトップの人事がこれほど注目されるか。それは経営委員に安倍総理の「お友だち」が次々と送り込まれ、その帰結として、会長もまた政権の意向が強く反映されるひとになることへの危機感があるからだ。

ってまさにさうなつたのだが更に新会長の舌禍まではさすがに誰も期待しなかつたが……。で、これを読むとNHKの会長職が政権寄りなんてことは今に始まつたことぢゃない、と改めて納得。戦後、進駐軍によつて放送の民主化NHK発足にあたりNHKの方法委員会が作られたが、そのメンバーがなんと滝川事件の滝川幸辰、加藤シズエ、宮本百合子荒畑寒村岩波茂雄……と「当時の人選を安倍総理が見たら腰を抜かしただろう」の左翼メンバーで選ばれた会長はマル経大原社会問題研究所所長の高野岩三郎。それが教育委員会などと同じく民主化から「逆コース」で今日に至る。ところで、この書き手、永田氏はNHKの「クローズアップ現代」やNスペのディレクター、プロデューサー務めた人でNHK辞める原因となつたのがプロデューサーをしてゐたETV2000で晋三が番組内容に介入、当時は海老ジョンイル会長だが、放送総局長に面会した晋三は「お前、勘ぐれ」と宣つたといふ。その晋三が今ではNHK経営に強く力を発揮、その上で衆院本会議(廿八日)で「新会長をはじめ職員の皆さんはいかなる政治的圧力にも屈することなく中立公平な放送を続けてほしい」とまで宣ふのだから。晋三の勝手よりそれを赦す国民の政治的責任の無さよ……救はれずはずもなし。
▼今日の紐育時報の社説“United Against China?”(こちら)は日印の対中国強調外交で晋三に説くことは当然のやうに華府への歩み寄り。
Mr. Abe should realize that India is not about to weigh in on Japan’s differences with China. He needs to coordinate his China policy with Washington, which sees little gain from confronting China.