富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

農暦十二月大晦

fookpaktsuen2014-01-30

農暦十二月大晦。朝、北角埠頭通りかゝると今日も舊北角邨の再開発工事。昔ならとっくに工事現場など春節休みに入つてゐたものだが。重機が朝から忙しく動く。ふと思つたが一葉が大つごもりは明治27年、已にこのころ大晦日新暦だつたのかしら。この小説の発表が同年12月(新暦)の「 文學界」第24号なので新暦正月意識した作品か。春節前に恒例で米英両国の香港総領事が賀辭のビデオ公開。昼に養和病院で物理治療。神経科L國手の診療は已に一先ずお終ひで、物理治療も今日が最後。頸から後頭部の按摩と頭部牽引で一時間。昨晩あまりよく眠れずすっかり眠りに堕ちる。この病院の飯堂は「美味い」と評判で、とても病院の食堂とは思へぬ立派さ、其処で海南鶏飯飰す。確かに美味。夕方早めに仕事済ませ帰宅。大晦とあつては市中出街の衆、團年飯に家路急ぐ者多く混雑。夕餉に韮のパイ焼く。Robert MondaviのMerlot 2010年飲む。
▼都新聞(昨夕)に「対日非難で中国に乱れ」(上海、加藤直人記者)といふ記事あり。晋三靖国参拝程永華駐日大使人民日報に寄稿。「坚决阻止日本右翼势力开历史倒车」といふ題で「私と館員は最後の最後の一刻まで阻止に全力を掲げた」と弁明してゐるが(こちら)、その翌日、香港の明報が「中日関係の悪化で知日派は咎を避けられぬ」と中共外交批判。香港のマスコミが持論展開はけして驚きもせぬが加藤記者は「明報の報道は「足並みの乱れ」とも受け止められ……」と(嗤)。明報のリベラルな編集長更迭で明報も中共の「党の息」かゝるか、と懸念されてはゐるが腐っても鯛、で明報は未だ独立紙。それの報道を中共外交と御用マスコミの「足並みの乱れ」と言つてしまふとは……都新聞、加藤記者とも勇み足では?
▼もう五日も前の都新聞読者投稿だが森本サンゴなる漫画家の「愛国心は義務なのか」

私とて大いにわが日本を愛したいものだが、それが国民の義務であると言われると、がぜん面白くなくなる。(略)相手が人であれ国であれ、愛するという情感は自発的に現れるもので、義務などとは一番遠い心情だ。要は愛される方にそれだけの魅力があるかどうかの問題で、政府は愛国心を養うなどという厳めしい看板などを掲げずとも、ひたすらに国民に愛される国づくりを心掛ければ良い。国民が誇りに思える国を造れば良い。

と。全くその通り。晋三は今日も国会代表質問で

右傾化などでは決してない。国民をとりまく現実を直視した責任ある政治に他ならない。

と嘯くが、森達也監督曰く

一部の指導者にのみ戦争責任を押しつけた観点において、東京裁判史観は明らかな過ちを犯している。責任は天皇と当時の国民すべてにある。だから(靖国が適当かどうかは措く)A級戦犯も同じように祀る。そう宣言して自分たちの加害性を直視することで、ようやく戦争のメカニズムが見えてくる。歴史上ほごんどの戦争は、自衛への熱狂から始まっている。指導者やメディアは平和を願うなどと言いながら、結局は危機を煽って、国民の期待や欲求に応えようとする。とくに安倍政権誕生以降、自衛の観念が肥大している。大義になりかけている。ならばこの国は同じ過ちを犯す。積極的な平和主義を唱えながら。

▼フォーク歌手Pete Seeger氏逝去。紐育時報の“Pete Seeger is Gone, but His Circles of Song Ring On” by Andrew C. Revkin、この追悼がいゝ(こちら