富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

日本=瑞穂の国といふ誤謬

fookpaktsuen2014-01-25

農暦十二月廿五日。週末になつたが官邸でお仕事。昏刻にハッピーヴァレーのパブで麦酒一飲して帰宅。東京行きでは不足する生野菜や乾酪を肴にブルゴーニュのAloxe Corton 1er Cru Les Fournières 2006年飲む。噂とおりに超あつさりな赤。香りはそりゃ豊かだが個人的にはやはり物足りない。
▼写真(右)は上水で大陸客に大量に買はれる香港製の日清「出前一丁」。
▼晋三任命の内閣法制局長小松某体調不良で一ヶ月の入院で休職の由。集団的自衛権行使容認の為の憲法解釈変更は今の通常国会会期中に結論出すのは困難、と公明党山口代表の弁。
▼豊葦原瑞穂の国の日本が高温多湿「だから農業に適してゐる」とアタシも信じてゐたが実は高温多湿こそ農業に不適といふ主張を橋口公一なる農業工学の研究者がされてゐる、といふことを都新聞(十七日夕刊)池内了教授の文章で識る。高温多湿は作物ばかりか雑草や害虫も育ち細菌による被害もある。日本の稲作が直播きせず苗代で育て整地した田圃に田植へ=移植する。この雑草害虫対策は、その後も収穫まで農薬、肥料、草取りと「米」といふ字の通り八十八もの手間をかける。また光合成に必要なのは光エネルギーであつて熱エネルギーではないのだから高温であることより日射しこと大切。だが肝心な夏の前に梅雨があり日照率低く光合成には実に不向き。さらに収穫前の初秋に台風が襲ふ。農業に向いてゐるのは低温少湿で晴れ続き。日本の農産物が高いのは農家の怠けてで、その農家守るために国が高い関税をかけてゐるのはおかしい、だからTPPにも一理ある、と思つてしまひがちだが、実は日本の農業は大量の農薬や肥料必要とし多大な労力かけねば収穫得られぬもの。放つてをけば瞬く間に雑草生ひ茂り害虫飛び交ひ荒野に戻る日本で美しい田圃の景観保たれるのは農家の苦労の賜物。日本はまさに農業に不利な国、だからこそ食料自給率をばこれ以上下げぬことが国の将来に大事、ならば農業への強力な支援こそ必要、と池内先生。御意。日本人自身も、この稲作同様に天敵も害虫もゐない守られた環境で育てられた作物か。