富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

東京暮色

fookpaktsuen2013-11-10

農暦十月初八。小雨。朝から終日出先仕事。一旦帰宅して食事済ませ仮眠して晩八時にZ嬢と湾仔の芸術中心。久々に来たら地下の映画上映する小劇場いつの間にか改装で座席数減らし客席は少し楽になる。小津安二郎『東京暮色』見る。Z嬢は初めてみる映画でアタシは三十年ぶりくらゐ。小津の作品のなかではいつもの小津のカラーから外れ下手に家族や人間関係の暗い部分描いたところで失敗作とかともいはれるがアタシは嫌ひぢゃない。ストーリーは別にしても兎に角、出てゐる役者がいつもの小津作品以上に絶妙の配役。何といつても杉山(笠智衆)の前妻役の山田五十鈴が素敵。ベルちゃん唯一の小津作品。杉村春子もいゝが同じ大女優でも春子が市井の女性なのに対してベルさんは超越的人格。雀荘に出入りする卯建の上がらぬ男役の高橋貞二が「それは、まぁなんと申しましょうかぁ」と明子(有馬稲子)の境遇を語るが、あの口調が野球解説の小西得郎の真似だとは、もう若い方はご存知ないこと。チャンそば屋!の親父役の藤原釜足、ベルちゃんの旦那役の中村伸郎宮口精二の刑事、一杯飲み屋の女将の浦辺粂子、婦人科で堕胎もちょちょいのちょいの女医は三好栄子……とまぁ立派な配陣。そのなかで改めて「菅井の旦那」役の菅原通済が、いかにも遊び人の商店街の大店の旦那役のニン。雀荘で新聞眺め「売春防止法施行か……」と呟くウィット。いや/\大人の映画。小津54歳、笠智衆53歳。笠智衆は銀行本店の役員だが晝からパチンコってのがあの時代。監査役がそれじゃ今なら一発でアウト。映画見終はつても、あの明るいテーマ音楽が耳に残り困る/\。
▼本日、台北に比べたら小規模だが5千人だか参加で香港同志遊行2013(Hong Kong Pride Parade)あり。