陰暦七月十一日。朝、大雨のなかタクシーで紅磡站。Ｚ嬢と広州に一泊二日の旅。07：25発のT812列車。今回は、この廣九鉄道で
新型の客車RZ25Tに乗るのが目的。一日に12本運行のうち香港側（MTR）の運行するKtt（九廣通)列車が三本あり二階建てで人気、それに対して残りが中国側（広鉄）運行の旧態然とした客車（RZ25Z）で人気薄。ソファのやうな座席で竹の刺繍のレースカーテンもアタシの好み。それが昨年の国慶節の頃に新型車両RZ25T導入されたといふだが９本の運行に「順次」で、問ひ合わせたがどの列車と特定できず（日によって違ふ）。それが既に全て新型車両になつてゐるやうなので今回の試乗……と完ぺきに鉄ちゃん。旧型が懐かしいが快適は快適。座席に電源ソケットありトイレも清潔。香港出て深圳に入ると速度上がるはずが心なしか低速運行。で途中の站で臨時停車一時間余。雨強まる。平行する和諧号は運行。後続列車に抜かれたらショックだが、下りも走ってない様子。アトになってわかったが広東省北部で台風余波の暴雨で広東省東北部の増城流れる増江といふ川（東江の支流）は水位が1974年以来最大の9.8mに達し（警戒水位は8.5m）午前八時半に広州市で今年初めてのIV級警戒態勢となつた由。広州から乗り換への客、午後イチで広州から航路の客など焦る。それに比べて今回はこのRZ25Tに乗ることだけが目的のアタシは乗ってゐられる時間が長くなるのを厭ひもせず読書と居眠り決め込む。一時間過ぎて動き出してやつと常平に着き、石龍の手前で東江渡るがかなり水位高し。それにしても凄い水嵩だね、と眺めてゐた川がアトで気づいたが前述の増江。雨も病み列車は速度上げたが定刻（09：24）より１時間48分遅れて11：12に広州東站着。後続の列車（Ktt）に抜かれたらショックだが後続も遅れ遠くはハルビン！や華北からの列車も４〜６時間の遅れ。深圳との和諧号も走ってはゐたが遅延。
站に荷物預けバスターミナルから45系統のバスで小洲村へ。珠江新城の新都心南下し珠江渡り海珠区に入り迷路のやうに集落回り45分ほどで小洲村に到る。バス停近くの村の外にある蘭州料理屋で刀削麺啜る。もともと廣府第一水郷と称されるほどの、まるで蘇州小さくしたやうな小鎮だが、こゝに文人墨客住み始め狭い村にアート系のショップやカフェなど増へ四、五年前に広州で若者に人気のアート系エリアでブームに。中国各地に閉鎖された国営工場跡地などにアート空間出現はあるがＺ嬢の説明によると小鎮がアート系と脚光浴び住民もそのまゝ住んでゐるのは珍しい、と。確かに。小鎮に何本が走る狭い水路に柳條垂れ風情あるが、こゝ数日の雨模様でも水位低く臭泥溜まり小舟がいくつも埋まつて朽ちてゐるのは周囲の乱開発、地下水汲み上げなどの影響なのかしら。小巷に数多あるショップもアート系の若者や数奇者が営む素人商売。確かに週末で訪客少なくないがカフェも乱立。家賃もそれなりに高くなるなか、まだ貸店舗に改造中の物件かなりあるが、もはやピークも過ぎ状況宜敷くもないのでは。こゝまでアート拠点化してゐるのなら水路のヘドロや泥を掬い美化すべき。45系統のバスで東站に戻る。国語、英語、広東語と続く運行案内だけでもアナウンス賑やかなのにバス車内でのマナーにいち／＼「中華民族の誇りとして」と流れるのが耳障り。体育路過ぎて站近づくとかなりの渋滞。大雨。東站往く際は珠江新城で地下鉄に乗り換へるべき←覚書き。地下鉄一号線で黄砂。地上に出ると森ビルが開発したやうな巨大な広場囲む高級モールと半円形にそれ取り囲む高級マンション
（バルコニーに洗濯物が目立つが）あり。かつては場末の問屋街。不思議と歩いてゐるときは雨に見舞われず歩いて沙面に亘り勝利賓館（Victory Hotel）西樓に下榻。バルコニーのある古い洋館で客室は数年前に改装。暫し寛いでから沙面から珠江沿岸漫歩。沙面の旧租界街でファッション雑誌がジンガイのデルモのナオン雇ひ秋冬物の撮影中。そのデルモと目が合つたら微笑まれ一瞬「ん？」と思つたら香港からの列車の同じ車両で切符見せられ座席はどこ？と尋ねてきた女性。珠江沿岸かなり美化。かつては遠くからでもランドマークだつた南方大厦や愛群大厦が今では周囲の高層ビルに隠れるやう。十八甫南路の労働者諸君の夕飯で賑はふ北方小吃で餃子など飰す。旅寓に戻り部屋で（紅磡站で購つてきた）Ch. La Croix Chantecaille飲む。かなり久々に雲の合間に月を拝む。
▼晋三が任命の内閣法制局長官小松某日経のインタビューに集団的自衛権行使につき「法制局として積極的に惨禍」「内閣と熟議し結論を出す」と宣ふ。「日本をめぐる安全保障環境は非常に厳しくなっている」とマッチポンプ。日経といへば今日の社説「原子力委を再生し平和利用の監視役に」（こちら）で「日本の原子力利用が平和目的に限られることを国内外に保証するため、有識者の委員会が原子力政策や事業を監視する必要がある」って……だから平和利用だけの原子力開発なんてあり得ないんだって。さすが日経さんだ。
