富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

生まれて始めてのサッカー見物

fookpaktsuen2013-07-29

農暦六月廿二日。漸く雨歇む。先週初め知己の方から「来週月曜日は行きます?」と電話あり「えっ、何かアポが?」と慌ててスケージュール見たが大した予定もなく一瞬、また何か失念したか、と焦ったがサッカーの試合だと聞き、昔、突然、仕事会話が途切れた時に相手がふと「ところでスコアは?」と尋ねられイントロなしにゴルフの話題に面食らったことがあつたが(ゴルフはしたこともない)、今回は「まんゆう」だといふ。まるで地方の万友スーパーのやうだが漫遊でもなし、それがManchester Unitedなる蹴球チームの名前の符丁だと気づく。新聞は日本の新聞も毎日三、四紙には目を通してゐるがスポーツ欄はまづ読まぬのでManchester Unitedといふチーム名は知つてゐても日本でそれを「マンU」と呼ぶとは知らず。マンUが地元のKitcheeなるチームと対戦で、もう半年も前だか折角の王者来港でも一般発売のチケットが端席ばかりで全体の数割だけ、殆どスポンサーと関係者招待だけといふ新聞記事読んだ記憶あり。それが今日の試合。招待チケット2枚いたゞける、といふのでこれまでの生涯で蹴球の試合など中学のサッカー部の試合ですら見たことのないアタシも人生で一度くらゐ冥土の土産に蹴球試合の見ておこうか、とチケットいたゞく。マンUファンの知己のC君誘ふと大変喜ばれ早晩に天后の寺田屋で夕餉済ませ歩いて香港スタジアムへ。「今晩は香川が来てゐない」といはれても香川なる選手がマンUに属してゐることどころか香川君が誰かも知らぬアタシ。観衆の多くがマンUの赤シャツ姿。大変な人出。マンUがトーシローのアタシが見てゐても圧倒的なスピードと試合運びは4対0で前半終了。これで後半も得点重ね8対0とかでコールドゲームか、とすら思つたが後半になり地元のKitcheeもだいぶ落ち着いたか1点入れると観客は「まさか!」のやうに欣喜雀躍。更に追加点も入り4対2で、その後も2度ほど「あはや」のチャンスあり。かなり盛り上がる。後半終了10分前だかに観客がゴールの向かふの方を見てやんやの喝采。試合に関係ないことでアタシは、またウケ狙ひのストリーキングでも現れたか、と思つたらゴールの裏側でウォーミングアップする選手への喝采。それがマンUの主将さんで試合の最後で登場なのだ、と知る。なるほど。試合は結果、マンUが1点追加で5対2でノーサイド。なか/\面白く見物させていたゞく。試合跳ねる数分前にスタジアム出て銅鑼湾まで歩く。車道まで歩行者専用で途中の道も車両長く止められ観衆優先で銅鑼湾まで立ち止まることなく7、8分で着き銅鑼湾MTR站も徹底した一方通行で制御お見事。スタジアムから30分ほどで帰宅。ちなみに今晩のゲーム、マンU誘致のため政府(旅遊事務署)はHK$8mもの公金用ゐたさうで数ある地元チームからKitcheeが選ばれたのはこのチームのスポンサーの力だと聞く。チケットは発売数時間で売り切れたが1.8万枚のみで結果、マンUやスポンサーのチケット余り数日前に慌てて追加発売の由。今日もHK$790のチケットをダフ屋がHK$500で売つてゐたといふ。この香港スタジアム、柴の保養の悪さで先週末から大きなサッカー試合続いたが雨でグランドは泥濘さ甚だし。こんな状態では今後、国際級クラスのサッカーチーム招聘は無理とプレミアリーグ高層からも苦言あり - “Paolo Di Canio warns of "killer pitch" as Barclays Asia Trophy is threatened by torrential rain” Daily Mirror こちら)。もはやサッカーが世界のスタンダードスポーツで紐育時報の“Soccer, Faith and Technology” (こちら)も面白い。
▼新界東部開発につき香港政府でこれに当たる發展局の局長陳茂波(の妻と息子)が該当する市街化調整区域の農地所有し住宅地開発で政府が土地接収の場合にかなりの利益得ること発覚し、これまでも何かと醜聞多き(飲酒運転まで)この局長に辞任求める世論高まる。昨日その市民デモあり。主催者発表が3千人参加で警察発表は2.1千人。通常デモ参加人数は主催者と警察で数倍以上の開きあるものだが今回は30%の差とは。深読みも面白し。
▼洗練されたコラムはその何よりも書き出し。ロラン=バルトも指摘する挑戦的な書き出しこそ大切。
As Americans, we’ve been raised on the notion that any child could dream of becoming president. But when you see how much ‘‘fun’’ Barack Obama and his immediate predecessors have had in that job ― and when you look at where the most exciting innovations in governance are happening ― how long will it be before our kids, when asked what they want to be when they grow up, answer: ‘‘I want to be a mayor.’’ Except in Detroit, mayors today have more fun.
は紐育時報の名物コラムニストThomas L. Friedmanの“I Want to Be a Mayor”(こちら)。読み手の関心をぐっと引き寄せるその筆致。