富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-07-27

農暦六月二十日。朝から書室の整理。書架をはみ出し床に侵蝕し始めた書籍を捨てるものは捨て香港の歴史関係などは他所に移し兎にかく床に本が積んでゐないやうに。例外は昔の月刊『東京人』と中上健次全集十五巻←これはだう仕様もない。昼すぎまでに今日の朝刊←ネットで見る新聞も含め、とThe Economisit誌とFTとIHTの周末版まで読み終はつてしまふ。昼に明太子のスパと、まるで麦茶に見えるウイスキーマック。午睡。昼前に久々に陽光拝むが午後も幾度となく驟雨。午後遅くZ嬢と中環のミッドレベルから散歩。オリンピアグラエコ埃及珈琲店。街市の果物やに梨が出てゐて日本のもののやうに丁寧に紙で包み日本への輸出なのか、さう見せると少し高級品になるのか「独特の香と甘さを誇る」と書かれてゐるが、よく見ると「誇ゐ」。「し」と「レ」や「ツ」と「シ」、「い」と「リ」などの間違ひは珍しくないが「る」と「ゐ」は初見。だいたいよくぞ「ゐ」なんて字を見つけてきたもの。ハリウッド道の馴染みの額縁屋に掛け軸の表装を頼む。今日、書棚の上に巻紙あり開いてみると「春眠不覚暁……」の見事な草書で私に贈すと名前まで認めてあるのだが、これがいつ、誰にいたゞいたのか全く記憶なし。字体と風格が気に入り、まずは表装。ハリウッド道の骨董品屋冷やかし上環。源興で胡椒など購ひZ嬢に誘なはれ蘇杭街(蘇州と杭州で蘇杭だが英語の街道名はJervois Stといふ)の兆成行なる香油の問屋。白檀はさすがに値が張るが更に超級、特級、並級でその香しさも千万の差。アタシは愛用の扇子の柄に塗るための白檀なので水で薄めたやうなのは用ゐられず超級品の小瓶購ふ。西營盤まで漫ろ歩き何年ぶりかしら、でSammy's Kitchenに飰す。齢八十五になられるSammy氏の尊顔拝す。