富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

安倍近修憲一步

fookpaktsuen2013-07-22

農暦六月十五日。大暑。夏恒例で湾仔展會中心の「書展」に往く。朝十時過ぎ狙つたがMTR站からの歩道橋渡りきつたところで行列が渋滞。これから小一時間か、と思つたがその先は少し迂回させられたものゝすんなり会場へ。時間なかつたので予め欲しい本はリストアップしてゐたので(それだけ新聞、雑誌に書展関係の記事多し)会場に入るなりパンフレットの地図で目的の書店に○をつけて最短距離で七軒ほどの書店ブースまわりアトは後ろ髪引かれる思ひで無視。先ず三聯書店で高添勉君の『九巴同行八十年』、続いて萬里出版で鄧達智兄の『元朗四季好日子』と歐陽應霽君の『味道台北』、香港街道地方指南の通用図書は年々出版物が減少なのはスマフォに都市地図が押されてゐるから、で次文化堂で陳雲『香港遺民論』サイン入り、皇冠出版で蔡瀾自選集五冊揃、花千樹出版で陳雲『寫好中文』、學聯関連の出版でかなりの人気の黒紙ブースで白巻出版社の『大愛同誌』の六冊、一組購入。僅か三十分。問題は去年、一昨年とこの書展で購入の本が陋宅書室で未だ一冊も読まずに書架と床に積んであること。晩に金鐘某所で某社パーティあり末席汚す。終はつて港大N助教授とFCCに軽く食し四方山話。例湯、茄子煲と菜芯で幸せ。天候悪しく夏の夜の十五夜の月にも遭はず。
▼ふと三年前の夏、八月卅日の拙日記読み返す(こちら)。衆院選での自民党敗北で民主党への政権交替決まつたのがこの日。

その歴史的敗北を目の当たりにして、それぢや自民党崩潰が嬉しいか、といふと複雑な気分。戦前の独逸でもワイマール体制の崩潰とか、日本では対米戦争開始での知識人の間での近代の超克観・感であるとか終戦での「新しい日本」の始まりとか、改革へ向けてのなにか祝祭的な開放感に包まれる社会が、実は悲劇的な結末への序章であつたりする(終戦での「新しい日本」は米国庇護の下、奇蹟的なやうにその体制がずつと続いてはゐるが)。残り四十議席くらゐまで開票速報観たところでさつさと寝る。

……と。我ながら三年前のこの思ひは杞憂に非ず。やはりあの政権交替は悲劇の始まり。たゞ何が三年前と違ふか、といへば「米国庇護の下、奇蹟的なやうにその体制がずつと続いてはゐる」と書いてゐる戦後レジームが晋三によつて(なんでこの程度の輩にそんな日本を大袈裟に変へるほどの力と幸運があるのかわからぬが)まさに自民党の目指す国家社会主義体制に変革されやうとしてゐること。もはや頼みの綱は米国と公明党だけ、だが米国は反米でさへなければ平成の自民党のこの国家社会主義体制も容認かしら。となると公明党だけが頼りか。昨日の参院選自民党圧勝はわかつてゐたことで驚きもしないが投票率が52.6%で戦後3番目の低さとは。晋三支持する輩よりアタシはこんな選挙でも投票に行かぬ輩に呆れて言葉もない。彼らがまさに日本を動かしてゐるのだから。

天の監督を仰がざれば凡人墜落、国民監督を怠れば治者盗を為す

は今日の都新聞「筆洗」(こちら)にあつた田中正造のことば。同じ紙面で深田実・名古屋本社論説主幹が

いわゆるアベノミクスは金融経済の息を吹き返させ、海外の反応もよく、自民党高支持率の源になっている。それはいいとしても世論調査などを見ると、原発を減らすことへの期待は多大だし、改憲論議に至っては多くの国民が時期尚早だと考えている。そうならば、自民党への投票者は公約の全部を支持した人ばかりではなかろうし、野党への投票者はおおむね反対者である。(略)原発にせよ、改憲にせよ、国の未来を決定づけるような政治課題は、政治が投げかけるよりも、むしろ国民の方からわき上がってくるのを政治が受け止めるべきなのである。政治とは政治家だけのものでは無論ない。

と。御意。信報社説「破短命內閣厄運 安倍近修憲一步」と題し(こちら

中國在東亞崛起、日本則在失去二十年頽氣深鎖之下,國內民族情緒波動,安倍對外拒斥中國;對內則對經濟沉疴重藥治療,民望飆升,從今次選舉結果看,安倍這屆內閣是迄今距成功推動修憲之路最接近的政權。(略)可以說,安倍政府難得重奪參眾兩院控制權,政權擺脫短命厄運,有利安倍進行經濟結構改革;也因為日本一直遵從和平憲法的制約,才能取得中韓等受日本侵略國家的基本信任,一旦安倍撕破和平憲法,也無異進行一場政治外交賭博,甚至把國家帶上歧途,重蹈當年對國家大戰略作出重大錯誤決定的悲劇。

さう、現行平和憲法こそ軍事的な最大の抑止力なのだ。
▼今日の朝日の記事「原発回帰へ拍車 自民勝利「原子力ムラ」は歓迎」(こちら)より

震災後、東海村は東海第二の廃炉を求めてきた。だが、日本原電は村に事前の断りなく工事を始めた。今月11日には、原子力規制委員会に再稼働を申請する方針を示すなど、地元を無視して再稼働に突き進む。「原子力政策は先祖返りする。事故の課題を先送りしたまま、政権は思いのままやっていくだろう。世界的な事故を起こして、日本が変わらないのは情けない」。東海村の村上達也村長は21日、こう語った。

と、これも東電が、自民党が悪いのではなく、これを許容する民草が悪い。