農暦六月十四日。朝に雨が歇み１ヶ月ぶりに5kmほどのジョギング。午後、油麻地のCinematiqueで西班牙喜劇映画“Los amantes pasajeros”（Pedro Almodóvar監督、英題：I'm so excited）見る。西班牙から大西洋越へ墨西哥に飛ぶペニンスラ航空（この名前だけでも可笑しいのだが）の飛行機が出発前のアクシデント（これぢたい下らない）で着陸時に主脚が出ぬことわかり最寄りの空港への不時着しか選択肢なし。が機内は、といへばテキーラ飲むパイロットからゲイのスチュワートたち、ビジネスクラスの個性豊かで破廉恥な上客？たち、機内サービス厭ふスチュワーデスはエコノミークラスの乗客の飲み物に安眠薬飲ませ機内は爆睡……で機内で繰り広げられる奇妙なハプニングはセックスどころかドラッグまで陽気に用ゐられ西班牙はやはり大人の個人主義の世界。映画館出て夏銘記麺家で紫菜四寶粉飰す。帰宅してテレビを見るのも久しぶりだがNHKで参院選挙開票速報眺める。「衆参のねじれが解消されることになりました」といふが「ねじれ解消」を何故それほど良しとするのかアタシはわからない。自民大勝だが、この国家社会主義政党の単独過半数はなく、自み維の改憲勢力は三分の二を占めず。アタシの地方区での投票は二人区で民主党を二人目に入れ「みんな」候補落し比例区では共産党の１増に反映される。アタシは民主集中制には与せぬものの「今回は共産」と支持したいが共産党の東京、京都、大阪の地方区勝利も民主党候補蹴落としの結果で（地方区で最後まで開票結果待たれた神奈川でも民主と共産の争ひとなり）結局、反自民にはならず。東京の山本太郎君当選は共産党善戦で反原発票食い合ひにならなかつたのは幸ひだが良識ある反原発リベラルの方たちの間では「デマ太郎」の当選に福島が彼の発言にどれだけ傷ついてゐるか、反核に一分の利も無し、何が出来る、と苦言多し。それもわからぬでもないが東京５議席で自民２（得票率約30％）に対して公明、共産と太郎が３議席（約40％）で、後者はこれに落選の民主党（鈴木寛）加えると５割、自民に落選の維新（小倉某）加えても４割で、反自民維新が過半数だと思へば慎太郎４期、猪瀬に340万票の時に比べれば都民の民意は今回はまだマシだった、と思ふべきか。アトは次の衆院選までに衆参で巨大政党化した自民党内での晋三路線と反発での混乱、維新の分裂、リベラルなミニ政党乱立全滅で政界再編成期待するばかり。The Economist誌（July 20th）は“Man with plan”と題して晋三の安定政権化を記事にするなかで
For the time being, Japan seems to have paused on its journey towards a truly competitive two-party system, which the DPJ’s victory in 2009 had appeared to promise. Since the war no Japanese prime minister has faced so weak an opposition as Mr Abe does now, says Gerald Curtis of Columbia University. But if Abenomics fails to live up to its promises, voters in some future election may yet treat the prime minister they seem to like so much as harshly as they did back in 2007.
と指摘はしてゐるが、この先余っ程のことでもないかぎり衆院解散も無ければ下手すると三年は晋三に国政委ねることに。今日の都新聞「本音のコラム」で山口二郎先生が伊丹万作の
造作もなく騙されるほど批判力を失い信念を失い家畜的な盲従に自己の一切を委ねるようになっていた国民全体の無反省、無責任などが悪の本体なのである。
といふ言葉を紹介。「自民党なら景気も回復、民主党政権のやうな混乱も無し……」と、311でのあの核禍も忘却の彼方、憲法改正も軍事力増強も明らかに騙されてゐるTPP参入にも一切疑ひもなく、これぢゃ70年前の万作の憂ひと今は何も変はり無し。日本といふ飛行機に乗るLos amantes pasajerosたちよ。
