富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

ほんま胡散臭いやろ?

fookpaktsuen2013-05-10

農暦四月朔日。気温は摂氏28度で湿度90%とすつかり不快指数高き初夏。午後から大雨。冷房もきつくなるので、これから夏はマフラー、カーディガンが離せない。倫敦のDrake'sから夏物のリネンとコットン混合のマフラー届く。これで秋までは生きていようと思ふ。三日続きの外食のあと今日は休肝日と思つたが早晩に帰宅して先ずはドライマティーニ。鮭の炊き込み御飯。いいちこ。疲労甚しいが七日の夕刊から読み始め滞つた日剰も三日分綴る。
▼96条改正先行はかなり疑問といふ輿論も高まるなか「憲法96条改正 発議要件緩和の論議深めたい」と黄泉売新聞の社説(こちら)も焦り隠せず。橋下さんは「護憲派ほど胡散臭いものはない」とイラ/\。橋下君ほど胡散臭いもの輩はゐない、のだが。

改正のハードルさえ下げれば、あとは政権党の思うがままに改正できるという下心があるのなら、見過ごすわけにはいかない。日本国憲法の三大原則は国民主権基本的人権の尊重、戦争放棄だ。これは太平洋戦争という大きな犠牲を払って日本国民が手にした人類普遍の原理でもある。発議要件を緩和すれば、その時々の多数派により、こうした不可侵の原則にも改変の手が及びかねない。(略)改正を繰り返す他国に比べ、日本が改正に至らなかったのは要件の厳しさではない。憲法を変えるよりも変えないことによる国益の方が大きいと、先人が判断したからにほかならない。もし改正が必要という政党があるのなら、その中身を国民に堂々と訴え、衆参両院で三分の二以上の議席を得る王道を歩むべきだ。改正の中身を棚に上げ、手続きだけを先行して変えるような邪道にそれては、決してならない。

と都新聞の社説「憲法96条改正論ハードル下げる危うさ」。池澤夏樹の「憲法をどう論じようか」(八日、朝日新聞「始まりと終わり」)も面白い。「日本を孤立と軽蔑の対象に貶め、絶対平和という非現実的な共同幻想を押し付けた元凶である占領憲法を大幅に改正し、国家、民族を真の自立に導き、国家を蘇生させる」と言ふ日本維新の会の綱領について「これこそいわゆる自虐史観ではないのか? 日本は本当にこの世界で孤立と軽蔑の対象になっているか?それが日本国憲法のせいなのか?」と夏樹さん。自民党憲法草案の「我が国は、先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて発展し、今や国際社会において重要な地位を占めており、平和主義の下、諸外国との友好関係を増進し、世界の平和と繁栄に貢献する。」も「……重要な地位を占めており」までは現状分析で、その後の部分「……に貢献する」のところは意思の表明……この二つを一つのセンテンスに押し込めては自民党の諸君の嫌ふ現行憲法前文に勝るとも劣らぬ悪文だが夏樹さんは、このセンテンスは意味的にも「先の大戦による荒廃や幾多の大災害を乗り越えて」といふふうに「大戦」と「災害」を同列に置くのは「歴然たる責任回避。災害は否応なく到来するものであるが戦争は主権国家がその意思をもって引き起こすのだ」と指摘、自民党の草案には「民主国家として克服したはずの問題がゾンビーのようにうごめいている」といふ。さうなのだ。じつは日本は敗戦もしてゐないのだから。