富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2013-04-10

農暦三月朔日。六月の歌舞伎座のチケット発売(歌舞伎会一般会員)。朝十時(JMT)でネットは「大変混雑しております」が30分。母の依頼は漸く繋がり中旬で夜の部、一階席はロクな席がなく二階の東6扉の桟敷席2枚確保。夜の部で高麗屋の幡随院長兵衛で「鈴ヶ森」と海老蔵助六は総角は無表情な福助、通人が三津五郎、白玉が七之助で意休に高島屋、くわんべら門兵衛が播磨屋、白酒売が音羽屋で何故か口上に高麗屋播磨屋も面白さうだが福山かつぎの菊之助が見てみたい。それにしても三部制で晩六時開演の三時間にも満たぬ夜の部で一等席が二万円……単純にたかだか歌舞伎で「高すぎる」。だが今月の播磨屋の直実、松嶋屋の盛綱、五月は播磨屋と大和屋の吉田屋……やはり見てみたい、が一等席二万円は高すぎる。今月の日生劇場のピーター還暦記念のレビューも素敵かしら。花冷へ。大根おろしの鍋で韮を煮て豚肉をしゃぶ/\。いたゞきもので長岡の小倉山荘の百人一首に因むショコラのあられ煎餅。
音にきく たかしの浜のあだ波は かけじや袖の ぬれもこそすれ 祐子内親王紀伊
藤島大氏の都新聞連載「スポーツが呼んでいる」はスポーツ観戦嫌ひのアタシも好きな連載で昨日夕刊のバンタム級チャンピョン亀田興毅についての記述が興味深い。亀興を悪くいふのはいくらでも簡単だが自分の実力、身の丈知り「危険を察知する能力」でぎり/\判定に持ち込む、その力。同じ都新聞夕刊に木之下晃氏の「音楽写真の夢」連載も昨日のカラヤンも面白かつたが今日のバーンスタインの「おお、マーラー!!」も秀逸で1974年に横浜の団地の風呂場で夜中に現像作業中だつた木之下氏曰く
その日はバーンスタインを撮影できて興奮しすぎたせいか現像中に疲れがぶり返し居眠りをしてしまった。温度が30度近くに上がった現像液にフィルムを1時間も浸けてしまった。大失敗だ。大切なフィルムは真っ黒になった。だがよく見ると根がは白と黒が反転する「ソラリゼーション」を起こしているではないか。粒子の荒れもあいまってバーンスタインの得意中の得意だったマーラー交響曲5番の白熱した演奏を、そのままに写しだしていた。79年に再度来日した時に見せるとマエストロは「おお、マーラー!!」とひと声叫び写真を周囲の人たちに次々と見せては「マーラーマーラー」と大はしゃぎしていた。
戸板先生的に「ちょっといい話」。ふと久々にこのバーンスタインマーラー5番を聴く(1964年の紐育フィル)。1楽章は第一主題を北島さぶちゃん、展開から五木ひろし……なんて余興で歌はせたら面白い鴨。
▼香港の港湾ストについて。(以下、左丁山氏の昨日だつたか蘋果日報の連載より)香港の海運貨物取扱量、アタシもずつと「世界一」と思つてゐたが2005年当時は確かに香港、新加坡、上海、深圳、釜山、高雄、ロッテルダム、羅府、ハンブルグアントワープ……と続いたが、そんなのは昔の話で2012年には上海、新加坡、香港、深圳となり香港は世界第3位、で深圳に抜かれるのも時間の問題の由。上海は浙江省までの世界に冠たる工業地帯で他に上海ほどの港がなく新加坡は東南アジアの海運の要、それに対して香港は珠江デルタ深圳、東莞と港の大規模化進み、香港は海運の貨物船の航班こそ多かれど海運費用高、東莞からの貨物を香港のトラック輸送に委ねるが日に一往復が限度で深圳鹽田港なら二、三度の往復が可、貨物埠頭のコンテナ扱い料金も高いのが難。それでも香港に立ち寄る貨物船の多さ、荷揚げ荷下ろしの効率の高さと管理能力、安全性は深圳よりも依然評価高いが、そのCompetency Gapも香港と内地で徐々に格差縮まり、この格差が10%以下になつた場合に深圳に貨物が集まることは必至で、さういふ環境考へると香港の港湾労働者ストは近日中に合意となれば良いが長期化した場合の香港海運貨物業に与へる影響少なからず、と。また同じく昨日の信報林行止専欄がNY Timesの三日の記事“Hong Kong Strike Clogs Shipping Traffic”(こちら)引用し、そこから、が真骨頂だが儒家の『大学』からの話。以下、こんなの和訳も難儀だが

儒家經典「四書」之一的《大學》有這段發人―尤其是權貴和財主―猛省的話。孟獻子曰:「……伐冰之家,不蓄牛羊;百乘(以現代語言,是有飛機遊艇汽車)之家,不蓄聚斂之臣,與其有聚斂之臣,寧有盜臣!」這即是說,閥閱之家不可豢養刻薄遑論搶掠下屬(和天下人)的「近臣」(招之即來叱之即去的「親信」),這比豢養打主人財富主意的「盜臣」更不如。這段話的意思至為明顯,貪婪的臣子(現在當然是行政總裁總經理之屬)魚肉僱員(子民),除了中飽自肥,許能為主子帶來一點額外經濟利益,卻會敗壞主子的名聲、讓他留下惡名(為僱員、人民咒罵以至遺臭商業史),那比他們「盜取」主子的財富更差,因為主子有的是錢,給他們佔點便宜,無關痛癢,滿足他們的私心而可令他們賣命工作,這總較讓他們「在乞丐兜中搶食」自肥優勝,這樣做雖對主人沒有金錢損失,卻令主人招罵名!

と。亦た林大人が信報創刊当時から「經營者的唯一責任在法律許可範圍內替股東謀取最大利益」と提唱してきたが

筆者雖無意修正數十年來的觀點,但深感香港情況特別有利商人(稅項少、稅率低、沒有遺產稅、多種行業屬半壟斷性等),既得利益階層實在應加強管束下屬,以免他們專心致志為主子(全體股東!)盡力榨取利潤而反令受惠者(大股東)招惹刻薄、剥削的罵名!筆者多次提及,工業革命開始後,商人以低廉的薪金聘請女工童工,雖然被有「社會主義」意識的論者痛斥,但回心一想,商人若不這樣做,主婦便難有下炊之糧而滿街都是流浪小孩。在饑寒交迫的世界,商人這樣做一點都沒錯(今日他們利用第三世界國家低薪設廠亦然),但他們獲利之後,便應酌情加薪及提供福利……,這樣的資本主義社會才會進步(和不會爆發打倒資產階級的暴力革命)。

と、このへんの主張はアントニオ=ネグリにも一つ通じるところあり。