農暦二月九日。春分。羅馬法王フランシスコ一世就任式に台湾馬英九総統夫妻元首級として参列（蘋果）。梵蒂岡は台湾国交もつ21だかの国の一つで欧州では梵蒂岡のみ。総統夫妻が気さくに米国副大統領と語り合ひ独逸メルケル首相とも歓談。英語堪能なだけで「政治家として羨ましい」と思ふ日本の悲哀。馬総統どさくさで羅馬にある台湾駐イタリア代表処視察。総統が国交のなき国にある台湾代表部訪れたのは歴史上初めては見事。台湾の蘋果日報で総統バチカン訪問扱ひやけに小さい（こちら）と思つたら考えてみれば台湾蘋果日報は今では親中財閥が所有。香港映画祭で韓国のLeesong Hee-il監督の同志映画三部作見る。ロビーでScud監督に邂逅。１作目지난여름, 갑자기（去年の夏、突然）はバーで高校の担任教師と邂逅してしまひ、その教師に恋いこがれる高校生と担任との夏のソウル、午後の葛藤、といふ短編。次のこの３部作上映の表題作「백야（白夜）」（予告編）はドイツの航空会社でパーサーになつた韓国出身の青年が勤務でたつた一晩のストップオーバーでソウルに戻つた晩の物語。元のツレに会つたが気まずいまゝ、そのツレが足を引き摺るのは……で何だかよくわからないが徐々に明らかになる物語は数年前にソウルの繁華街종로で「狩り」に遭つたからでパーサー君は町の愚連隊にその仕返しを、と奮るのだが、人恋しさでネットで呼んだone night standの青年には精神分裂的に当り……かういふ「たつた一晩」とか扱つた映画は個人的に好み。当たり前だが夜明けで何もなかつたかのやうに終はるのだがone night standが一期一会になるところが切ない物語。最後の남쪽으로 간다＝Going southは軍隊内での兵士間の恋、すでに除隊した同僚を忘れられぬ青年兵が休暇でその元同僚に遭ひ、すでに過去のことは「軍隊での椿事」と済ませやうとする彼をどうにか自分にもう一度引き寄せやうと軍隊に戻る門限破つてまで……といふ話なのだが青年兵役の何の変哲もない彼が薬と酒に酔ふに従ひ常規逸し、の演技は見事。三本で157分。映画館のある尖沙咀 iSquareの丸亀製麺ではじめて讃岐うどん、ぶつかけ飰す。香港でこんな本格的なうどんが食べられるとは……。今晩もう一本の映画“The Last Time I Saw Macao”は二人の共同監督のうち一人Joao Rui Guerra da Mataが生まれ育つたマカオを30年ぶりに訪れLost in Translation的に独特の目線でマカオを撮るのだが……。またiSquareの「錦丼」で三崎丼飰す。
▼米国のイラク征伐から10年を伝へる朝日一面に大量破壊兵器「我々に情報はなかった」と当時の官房長官福田二世。英国政府からブレア首相の議会演説直前に支持を打診されイラクに大量破壊兵器がある前提！で支持した日本だが判断材料得ようにも「手も足もでないという感じ」（福田）。なんてこった！ しかも大量破壊兵器については米国内でメディア、世論に対する「情報操作があった可能性」にまで言及。そんな国なのだ、日経は米国のマスコミを「正義」なんて讃へたが。それでも（さすが）福田二世らしく淡々と
「開戦望まぬ気持ち強く攻撃回避を米国に働きかけた」と弁明しつゝ開戦支持の理由は日米同盟重視に加へ米国の北朝鮮への抑止力に期待、開戦決めたならいち早く支持表明は小泉三世の政治的勘、結果的に正しかつたのは日本のプレゼンス高め小泉ブッシュ関係強化の決め手になつた、と……まったく何ってこった。こんな茶番で命落したイラク市民の悲劇よ。TTPも失敗したらアトになつて「当時、参加条件について我々に情報はなかった」なんて言のかしらね。
▼都新聞専属か、と思つらドラルド＝キーン先生、朝日で歌舞伎、文楽について「いずれ情熱にあふれる若い人が現れ継がれてゆくでしょう。それが芸術の強さ」と仰るが古典の作品が読まれてゐない現実に触れ近松も、現代語訳でいゝから源氏も読まなければならない、と。そりゃさうだ。京都大学留学中に茂山千之丞師に狂言習ひ能楽堂で「千鳥」太郎冠者演じたときの客席には谷崎潤一郎、川端康成もゐた由。昨年から歌舞伎界に悲報続くが「私が一番打撃を受けたのは女形芸を極めた中村歌右衛門が亡くなったときでした」。
▼日銀の白川総裁退任。
-過去の欧米や日本での数字が示すように、マネタリーベース（お金の量）と物価の関係は断ち切れている。
-期待に働きかけるという言葉が、中央銀行が市場を思い通りに動かすという意味なら、私は危うさを感じる。
-日本の就業者が減っているため１人あたりの付加価値は高いのに潜在成長率は１％以下。不都合な真実だが、しかし真実だ。
-通貨の信認を維持するには、財政の持続可能性が大事。
と、この方の信念に間違ひがあるのかアベノミクスの結果でる数年後に検証すべき。
