富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

Step 2000 For Tohoku

fookpaktsuen2013-03-02

農暦一月廿一日。朝八時半まで朝寝貪る。濃霧。気温下がる。午後まで陋宅書室にて机に凭る。Z嬢と銅鑼湾経由でリパルスベイ。昨年三月にH家族が中心となつて始めたStep 2000 For Tohokuなるイベント(こちら)、リパルスベイから標高363mと386mの双頂まで登る、といふイベントで階段が延々と続き二千段あるからStep 2000なのか、昨年は上り口にあるHK Int'l Schoolで開催されたチャリティイベントとカップリングで、このStep 2000だけでHK$175Kも集めて桃柿育英会に贈られた由、今年はその昨年に続きの二度目。子どももいれて40〜50人集まつたかしら、で濃霧のなかTwin Peaksへ直に登り尾根を歩きスタンレーに転がるやうに下る。一昨年の地震のこと思ふと、かうして山を皆で歩いてゐるだけで、これがなんて幸せなことなのかしら、と思ふ……で、なぜ日本では晋三なのかしら、全く理解できず。終はつて皆さんで一酌といふ趣向もあつたやうだが何かと雑用多く失礼。晩飯の時間には未だ早かつたが湾仔の北方餃子源に久々に飰す。店内が見事に改装され「さすがに儲かつたか」と思つたら食肆仕切る若夫婦も見慣れぬ顔で、香港にありがちだが見世も繁盛で、あの経営者のオヤジ、店の経営権売り逃げか、中国的、香港的にはいつまでも薄利で餃子屋経営ってのが評価されるほうが稀で「上手いことやったな」と褒めるべきか、いずれにせよ食肆が繁盛して店内改装して経営者変はつて味が良くなつたためしなく「不味くならない」だけでも御の字かも。すでに店内でフランチャイズ計画なのか新規出店に興味あるらしきカップル来店で今の経営者の若夫婦から「これだけ簡単に儲かる」の指南授かつてゐたがチェーン店化された餃子屋など誰が往くものか。銅鑼湾香港映画祭のパンフレット入手、東京眼鏡で検眼と遠視レンズ交換、気がつくと底がすり減っツル/\になつてゐたトレイルシューズ買ひ替え。「そごう」前で法輪功のいつもの情宣活動がいつも以上に濃厚、と思つたら元々の法輪功の反中共キャンペーンの宣伝看板などがすつかり香港青年關愛協會の横断幕などで覆はれてゐるからで、それを法輪功は敢へて除去せず、その上に看板立てたり、の活動。さういへば香港で、反北京中央、反香港政府の感情を英国統治下での香港植民地旗を掲げることで「我哋係香港人,唔係中國人」*1(自分たちは香港人、中国人ぢゃない)と運動してきた社中が明日の銅鑼湾「そごう」前での示威活動を前に主要メンバーのうち6名が抗議活動が過激すぎるとして脱退の由。さもありなむ。明日の行動は、この香港青年關愛協會の横断幕を英国植民地旗で覆つてしまふといふ。もはや法輪功、關愛協會、香港人社中で泥に泥を塗るやうな状況。帰宅して、香港映画祭こちら)は24日からだかネットでチケット先行発売になつてゐたことすら気づいてをらず慌てゝネットでチケット購入試みたが『桐島、部活やめるってよ』のイースター連休中の上映が満席だつたくらゐで、それ以外は希望通りの日時で問題なし……といつても嘗てこの映画祭で50本も見てゐたアタシが今回はたったの7本だけ。なんでこんなに香港映画祭の上映作品に興味がないのか、この映画祭の総合プロデューサーRoger Garcia氏がこれに就任したのが2010年なんださうで、これが偶然にもアタシが「香港映画祭が詰らないなつた」と思ふやうになつた時期に重なつてゐるのも偶然なのかしら。今回この映画祭に『変態仮面』上映あり?と思つたのだが(笑)。
▼晋三の経済指南役の浜田宏一センセイ、朝日新聞の取材で物価上がつても賃金上がらずスタグフレーションの危惧あるのでは?と質されると企業収益の改善、設備投資や雇用増加につなげ「それから賃金が上がるようにすべきだ」と、それぢゃ自民党の見解そのものでアベノミクスの脚本家なんだから、もつと具体的に賃金上がる根拠でも(って、そんなのないのだが)示すべき。さらに既存の就労者より「若者の新規雇用優先がGDPといふパイを増やせるし日本の潜在成長力高めることにつながる」……ってそも/\「GDPってパイ」ってGDPを今更「パイ」で考へる発想が乏しいし高度経済成長期ならまだしもGDPが増えても国民一人/\が豊かにならないことが今の日本の問題なわけで「日本の潜在成長力」って「それが具体的に何か、100字で述べよ」といふ問ひに浜田センセイ答へられるかしら、ないだらう、そんなもの。浜田センセイは消費増税について悲観的だつたこともあつたが「景気回復が順調に進めば可能になるかもしれない」って景気回復したら寧ろ消費税なんて増税しなくてもいゝくらゐで景気回復見込めないから国は消費税くらゐしか国民から貪れぬのに。センセイと晋三、日本銀行バッシングは熱心だが、これで本当に経済回復なんてあり? 同じ朝日に内橋克人先生がTPPについて「お互いよきものを交換しあう限り自由貿易の拡大はそれぞれの国に利益になるもの*2だつたが米国掲げる自由貿易は「市場のルールや規制を米国ルールに統一しようとする覇権型」で従来のTPPとどれだけ様変はりしたか、と。311をきつかけに日本は大規模な東京一極集中の経済社会を転換する動きが強まり食料、エネルギー、医療福祉などそれぞれ地域で自由する循環型、地域主権型の社会でそれで、米国スンタードの経済効率や市場原理史上主義と決別し人間生存と環境主軸に据へた共生社会がそれ。「TPP参加で被災地はじめ小さなコミュニティで始まつた社会転換の動きにもブレーキかかり」「TPPは日本が変わろうとしている方向とは真逆にあるという危機感」をもつ、と内橋先生。ご指摘の通り。だが更にいへば、そんな共生社会だのロハスだなんて経済体系になつてしまふと企業利益優先の市場資本主義=新自由主義が困るから米国主軸としたTPPなんてのが生まれたわけで、自民党が政権復帰するなかで財界といふタニマチの顔色伺ふにはTPPが手っ取り早いから晋三もその方向。内橋先生の主張は正論だが晋三や平蔵には「だからリベラルは」と言はれるはず。だが上述のやうに浜田センセイの主張ですらあまりに「脇が甘い」ので晋三のアベノミクスなど、もう二ヶ月で限界なのではないか?と思ふ。ならばTPPも、と思ひたいがTPPはもはや自民党から民主党まで、読売から朝日まで戦略的従米の発想で固まつてゐるから。

*1:劉健威哥が「どんな反中央、反政府であつても植民地時代支持は、当時の抑圧的状況、不平等の現実を知らぬから」と猛烈に批判は真っ当。

*2:米国が参入するまでのTPPがさうで、新加坡の金融、新西蘭の農製品、チリやブルネイの鉱物資源……など水平型の交易圏。