富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2012-10-28

農歴九月十四日。午前中、西環のホテルにH氏お迎へに往きタクシーで(ってH氏にとつてタクシーは下駄かはり)西隧道潜り九龍站の圓方。ICC超高層ビルの101階だかに飲食店街あり食肆「龍吟」は夜のみの営業だがH氏がマネージャーと懇意でご挨拶兼ねて見世を参観される、といふのでZ嬢と同行。このビルに登るのも初めて。高級な懐石料理で私には無縁の世界だが六本木の本店はミシュランで三ツ星の由。同じフロアに六本木の高級炉端「田舎家」もあり。こちらは四半世紀も前にZ嬢と一度だけ「さういふ店とは知らず、ぶらり、と」行つたことあり。まぁ101階からの絶景。それでも、感動も「地上の自動車が小さく見える」のも幼い頃に東京タワーや霞ヶ関ビルに連れていつてもらつた時とあまり違つて見えないのは何故かしら。タクシーで上環。皇后街の熟食中心。老北方餃子館に食し、向かひの陳財記からも炒麺や干炒牛河など注文しようとしたら餃子屋に「ダメだ」といはれ日曜日の昼はこのフードコートでこの二軒のみ営業だがきつちりと見えない境界線敷かれ反目なのかしら。普通なら熟食中心など客が驚くほど営業は一緒、なのだが。仕方ないので老北方餃子に食したあと陳財記の方の卓に移ることに。タクシーでH氏のホテルに寄り旅荷積んでH氏はそのまゝ空港へ。ホテル前でお別れ。アタシは午後、按摩。晩に「平清盛」は大河ドラマ史上最低の視聴率記録したさうだが実験的な演出が年寄りに嫌はれたか。これを見ようとした頃に「そごう」の東京眼鏡店より眼鏡の修理終はつたと連絡あり遠近両用の眼鏡なしで近眼だけでかなり辛い生活をこゝ数日強いられてゐたので「今晩、受け取ります」。デパートが午後十時閉店なのはこんなとき便利。ジャスコCoco壱番館なるカレー屋に食してから銅鑼湾へ。眼鏡受け取る序でに誠品書店に寄る。開店祝儀のころに比べまぁ閑か。文房具売り場に「ほぼ日」の手帳あり驚いたが台湾では誠品が「ほぼ日」販売で、香港もその流れ。台湾の晟星出版は台湾の古道散策や郊外山歩きなどのガイドブックに特色あるが、そのシリーズで「台湾舊鉄道散歩地図」購ひ帰宅。
▼新潮社『考える人』今年の夏号、特集「笑いの達人」読む。新潮社新刊の広告で『持ち重りする薔薇の花』といふ小説に吉田秀和さんが推薦を書いてゐるのだが広告の隅に小さく「*吉田秀和氏は五月二十二日に逝去なさいました。謹んでお悔やみ申し上げます。」とあるのだが、この『持ち重りする』の作者は丸谷才一氏で、この夏号が出たあとにやはり他界してゐる。不思議な広告となつた。
▼英国のNew Statesmanといふ政治雑誌が面白いが、ここが特別発行したデジタル中文版は艾未未を編集人に迎へ大胆な内容で当然、中国では閲覧禁止。その網の目潜りpdf版はブロックもされてをらず大陸で流布された由(こちら)。
日立製作所が英国の原発会社買収。もと/\ドイツ系の会社が所有してゐたものだがドイツは政府の脱原発方針で今年3月に英国でのこの事業も売却を表明。日本国内での原発事業の停滞嫌つた日立製作所は海外での原発事業に熱心だがリトアニアでは国民投票の結果、原発反対が優勢、で英国のこの事業は米国のGEと提携とか。福島第一であれだけの核禍となつても恐れ知らぬ日本、それに対してドイツの潔さ。
秋の天皇賞は五番人気でデムーロ騎手のエイシンフラッシュが優勝。天皇皇后両陛下の天覧あり勝利後に馬から下りて陛下に向かひ跪き礼をするデムーロ騎手。東京新聞ではこれをデムーロ騎手のこの礼法にご夫妻が立つて手を振つた、と記事にしてゐたがビデオで見るかぎりレース後は両陛下ともすでに立つて手を振つてゐられたのでは?