富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

草蜢森巴大戰軟硬FANS演唱會

fookpaktsuen2012-10-26

農歴九月十二日。早晩に散髪。紅磡の香港体體館。草蜢森巴大戰軟硬FANS演唱會。一人でかうした歌謡演芸のコンサートに行くとかなり孤独感あり。席で両側の者が「なんでこの人、一人なの?」といふ視線。しかも一人で麦酒をロング缶で二、三本飲んでゐるし。ちなみに紅磡火車站のコンビニではアルコール飲料売つてをらぬこと初めて気づく。慌てて向かひのメトロポリスだかに往き此処のコンビニは酒類あり。で香港のかつてのアイドル「草蜢」(Grasshopper)三人組と芸達者な軟硬天師の二人組のコンサート。昨日から三十日まで六日連続で確か追加公演もあり。今晩も12千人の会場が満席。天井桟敷でもHK$380の大繁盛。あまりかうしたコンサートは見ぬが彼らには多少の面識もあり五人の平均年齢は四十五、六歳かしら。で三時間もまぁよく歌ふは踊るは、の敬服。草蜢もアニタ梅艷芳の賞識得て彼女のバックから頭角現し八十年代後半は田原俊彦、吉川晃司ら日本の黄金の八十年代ポップスのコピーでかなり人気のアイドルグループ。アタシが初めてステージ見たのは1990年に中文大学の学生会が大学ホールで企画したコンサートだつたが、二十代半ばの彼らは数年前のヒット曲を歌ふ元アイドル、その後かなりパッとしない時期が続いたが四十代になつた頃から徹底した妖艶な演出でリベンジし数年前にデビュー25周年のコンサート成功させ今日に至る。ほんとご立派。で軟硬天師はラップからバラエティ、ラジオ番組の司会、コメディからアートまでマルチタレントぶり発揮する芸人組合。「軟硬天師」といふ名は畏友Craig歐陽應霽君が名づけだとは今日まで知らず。アタシはこの二人組のうち林海峰はほんとマルチタレントとして面白いと思ふ。歌つて踊る今晩の五人のなかでも踊りの、エノケン的な巧みさが目立つ。今晩は草蜢と軟硬の競ひ合ひといふ形をとつたが衣装の奇抜さや歌唱力では草蜢は力量あるが軟硬天師は持ちネタ、芸がかなりアップデートしてをり、殊に中共文革をば模した演出で「まさか、ただの紅衛兵?」と思つたら曲の歌詞が中共、大陸の風潮をば嘲り笑ふ文革パロディで観客には大受け。お見事。晩八時半に始まりアンコールの途中、晩十一時半にまだ続いてゐたが帰宅の交通混雑厭ひアンコール途中に辞す。それにしても半夜三更に一万人余が此処から公共交通で帰宅できるのだから、なんて便利な香港。

▼紐育時報中共十八人大前に突然(といふかタイミング合はせたのだらうが)中共の良心、「災害あれば首相あり」で中共の全ての悪さもその温かさで抹消することが売りの「涙の人」温家寶首相につきUS$2.7bに及ぶ巨額の資産あり、と報道。報道は今更……なところあり物欲なんて欠けて〼、が売りの温首相があまり同行させぬ夫人は宝石好きが常規逸してをり派手過ぎて清廉ぶりが売りの首相は夫人を表に出せず、北京でも中心部の公安部や最高人民法院などに囲まれた東交民巷の一等地に広大な四合院を入手し首相引退で中南海の公邸出てからの居住のために大規模改修中との噂もあり。江澤民でも朱鎔基でも引退後は郷里に戻り中央への睨みきかすが天津出身の温首相は北京に居残り不安定な中共の党中央で中央弁公庁のご意見役でも自認されてゐるのだらう。それにしても周恩来に次ぐ温伯伯に巨額の裏資産でジュエリー夫人ばかりか愚息、さらに齢九十の老母まで生保などUS$120mの株式資産といふ。香港から李嘉誠や鄭裕彤などが贈賄といふ名もあり。
石原都知事辞任、国政復帰につき読売が社説でも意外と都知事任期中の辞任に冷やかで国政で何が出来るのか、に疑問と諭してゐる。産経は相変はらず石原に改憲自衛隊の国軍化願ふ一人一芸。日経も社風として相変はらず主要紙のなかでは何が言いたいのか一番わからず。東京新聞はさすが東京の地方紙で9頁に関連記事並べるが社説ではこれも「都政投げ出して」と否定せず石原新党に「政策本位の第三極に」なんて期待含む注文。たゞ「筆洗」では

息子が総裁になれなかったことで事情は一変したということだろうか。親バカという「我欲」から四期目の知事選に出馬した石原さんが昨日、任期半ばでの辞職を表明した。(略)突然、言い出した尖閣諸島の都有化によって結果的に日本経済は巨額の損失を被った。憲法の廃棄を訴え、ナショナリズムを煽る石原新党に果たして支持は集まるのだろうか。

と手厳しい。「こちら特捜部」でも石原が「購入するなんて言わなかったら今日の混乱はなかった。一方で尖閣問題によって石原氏は久々に国政の話題で注目を集めた。尖閣で騒がなければ国政に復帰できるような状況の人ではなかった」「日本の自動車メーカーの生産台数が大幅に減などしており日本全体の経済被害は一体どれくらいになるのか。石原氏は日本経済を悪くしているのに自分ではそれを自覚していない(孫崎亨・外務省元国際情報局長)、「国政復帰したところで尖閣問題を解決することができるのか。自分で種を撒いてトラブルを作って放り出しただけだ。次のステージを目指すなら日中間の問題の解決の足がかりを作ってから辞めるべきだ」「尖閣問題についても、都知事として発言するのと国会議員として発言するのでは中国側の反応は変わるだろう」(角谷浩一)、天木直人・元レバノン大使は石原の中国をシナと呼ぶやうな差別的体質が問題であるとして今後かりに石原が政権政党の幹部となつたら今までのやうな中国に対決姿勢をとる発言が出来るのか、と訝しがる。結局のところ石原の行動は(この記事で永尾俊彦氏の言ふ通り)都民や国民のためではなく「目立ちたい」が先にあり尖閣諸島購入もこの図式に当てはまり、都知事就任前には国会議員を務め国が出来ないから都がやる、と知事になつたが、それも自分が国会議員として出来なかつたことのコンプレックスで今後、国政に復帰しても同じこと、と。結局、石原といふ人が戦後日本の国家としての「ありもしない勇ましさ」への幻想そのものなのだらう。所詮、勃起した陽具で障子紙突き破り女子を驚かす、その程度の勇ましさ。所詮、トッリクスター的。だがトリックスターの役割はせいぜい物語を面白くするため、の秩序のかき回し程度で演出上は必要な要素だが解決されることが前提で、そんなトリックスターに国家外交が左右され日本経済に大きな打撃与へるのだから、これは石原の罪状でなく日本が国としてどれだけ為体か、といふこと。