富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2012-10-21

農歴九月初七。この季節ありがちな鼻っ風邪だと放つておいたら鼻水、嚔に喉痛とひどくなり朝イチで近所の年中無休C医師の診療所に診断請ふ。バンコクでの健康診断の結果見せ香港では公立病院での高血圧と糖尿の処方薬のこと話すと公立病院の薬など本当に安いもので、多少高値だがきちんとした薬があるのだから今度、公立病院の薬を携へて朝食抜きで一度来るやうにいはれる。一度帰宅して晝前にZ嬢と太古坊のIsland East Marketなる今月開催の日曜市に出かける。先週、Z嬢がかなり上質のオリーヴ購ひ葡萄酒なども試飲ありでお値打ち、と聞く。確かに葡萄酒やチーズ、オリーヴなどのほか、いはゆるロハス系の出店が並び盛況。葡萄酒三本ほど購ひ平日のオフィス街ゆゑ日曜は飲食店が軒並み休業のなか印度料理のTulsiに飰す。此処は昔はMother Indiaでそのあと亦た別の名前になり店員もがらりと変はるが印度料理屋であることは変はりない。インド人のオーナーがゐて、の店ごとの貸出か。いづれにせよ近所でそれなりの印度料理屋が一軒あるのは有り難い。帰宅して読書。NHK菊花賞の中継を見る。香港ではサイマルキャストなし=馬券買へず。昨晩がフランケルなら今日はゴールドシップゴールドシップの強さは置いといてパドックで16番のスカイディグニティなる馬が目立ち馬券買へれば買ひたいところだが香港でサイマルキャスト無し。ゴールドシップが後尾から上がつてきたのは認めたが最後の直線でハナをとつてからの粘りには驚くばかり。で一瞬、ゴールドシップに並ぶか、とも見えて二着に入つたのがスカイディグニティといふ結果に。これが買へてゐれば昨晩から複勝一点買ひ三連勝となつたのに。早晩にZ嬢とミニバス乗り継ぎ香港大学。Loke Yew Hallで香港フィルなどの慈善演奏会。香港フィルのメンバーの一組のご夫婦の息子が白血病で、かなり快方に向かふと思はれたなか合併症が始まり呼吸系のかなり重症、更なる治療は海外で肺の移植手術、でこの治療にかゝる募金集めのコンサート。この一人の子のためにホール埋め尽くす数百人の共感者。世の中は不公平だと思ふ。この子は偶然にかうして澤山の人々の善意でかなり困難な手術をしてまで生き残れる可能性があるが同じやうな難病の子でも、あるいは先天的な、後天的でも偶然のやうな発病でなくとも貧困や不衛生な環境で身体悪くする子もいれば内戦や戦争で怪我をして満足な治療もされぬ子もゐる。不公平。たゞ今晩思つたのは、先づ医療に関しては年寄りはいゝから先ず子どもの医療から公平に、そしてコスト低下を図るべき。たゞこんな肺移植なんて手術は日本円で億の単位のカネが集まらないとも出来ないのだから、さすがにこゝまで公共医療に頼ることは出来ず(そんな源泉があつたらもつと多数を対象にした公共医療に投資されるべき)、それでもかうしたケースはこんな難病にかゝる子は少なく白血病は大人に比べ多いが10万人あたり3名程度だといふ、だから知己の者を中心にした慈善活動となり数千人が1人の子を何らかの形で救へばいゝのだらう。今回はさうした善意がきちんと実を結んだケース。感心したのは敢えて此処でお涙頂戴にならず、もう今回がどういふ慈善コンサートでこの子や家族の環境や背景などきちんとわかつた上で皆さん来ているから、さうした「振り返り」無しで、募金集め賛助企業のオークションなど競りの入札があり、さらり、とコンサート始まること。香港フィルの室内楽でグリークのホルベルグ組曲から前奏曲、第4曲のアリア、第5曲のリゴドン。前奏曲では香港フィルも室内楽構成でこのくらゐのホールだと弦楽の音がいゝと思はされたがアリアは上手ぢゃない。あっさりしすぎ。楽章の途中で拍手が入るのは、このテの音楽会では当たり前のことだがアリアの途中の第1主題のアトの展開に入るときに拍手が入つたのには一寸、驚いた。そのあとモーツァルトフィガロの序曲を3人のフルートが演奏、アタシの苦手なTan Dunの現代曲“In Distance”をピコロとハープ、ドラムで演奏があつたが、これは今晩の演目としては選曲ミス。楽しい男性アカペラ四人組“Metro”が前半の最後で中入り。葡萄酒等のお振る舞ひあり。後半はドボルザークロッシーニチャイコフスキー室内楽があつたが盛況で立ち見となり開演前に二階席も開放され席は確保出来たが天井の送風口からの冷房にすつかり冷えてしまひ、用心して肌着の上にヒートテックの薄手のハイネックのセーター、さらに厚手のマフラーまで持参してTシャツやポロシャツ一枚の客とは季節呆けの厚着だつたのに、この冷房には役立たず。もと/\冷え性の上に風邪の悪寒ではどうしやうもなく中入りでLoke Yew Hall辞す。坂を下り水街の光記飯店。相変わらずのご盛況。すでに少しは顔なじみで常連の客にも「なんでこんなところに?」と冷やかされる。美味い店だがわざ/\香港島でも東区から来た、と聞くと「まへはこのへんに住んでゐたのか?」等と聞かれ「どれくらゐ香港に住んでゐるの?」といつもの問ひが発せられ「廿年以上」といふと「それぢゃお姉さん、こんな子どもの頃から住んでゐるんだ」とだい/\寅さんみたいな突っ込みが入る(笑)。西湾のこのへんからだと空港からのA12だかのエアポートバスが東方面への帰宅に便利。空港からはHK$45だかと高いが香港島に入るとHK$8也。明日が母の誕生日で日比谷花壇から花を贈つたらお礼のメールいたゞく。
▼昨晩の備忘その①:NHKスペシャルで「シリーズ日本再生“国際人”がニッポンを救う」見る。呆れるばかり。「国際人として云々」なんて言つてゐるかぎり日本の再生は無理。どうしたら「国際人になれるか」なんて番組を日本以外ぢゃ制作する発想すらなく中国の四川省やインドの バンガロールでも往つて「国際人になることについてどう思ひますか?」とでも尋ねてみれば?きつと「質問の意味がわからない」と言はれるだけ(笑)。日本企業で今どきロクな就職先もないのに「留学すれば就活に影響が……」と心配する大学生、東京で社内で日本人しかゐないのに「国際化のために」と日本人同士で「マーク」とか「セルジオ」と呼び合う企業……いかりや長介的に「だめだ、こりゃ」。この番組的に定義する「国際人」に当たる日本人は香港にも何人もゐますが全然「日本を救う」なんて考へもなければ実際に日本を救つてもゐない。金澤のK先生曰く「ニッポンを救う」といふタイトルの発想がヒーロー待望の他力本願の現れ、橋下か、山中か、あるいは「国際人」か、その「国際人」は日本を「だめだこりゃ」と思へば「次、行ってみよう」ってさつさと去つてしまふから日本を救つてくれない、と確かに。
▼昨晩の備忘その②、夜遅く英国アスコット競馬場からの中継を見る。国際G1が続きQE II Stakesは断トツ人気のエクセレブレーションが最後直線で前が壁のところ「きちんと」外に出て優勝。全く勉強不足だつたがパドックで見たエルーシヴケイトといふ馬が良さげで複勝だけ慌てゝ購入で三着(2.0倍)。女王陛下のカールトンハウスは四着。続いてチャンピオンステークスはどん尻からスタートのフランケルがビュレットトレインに誘はれるまゝ好位置に上がり、ちょっと仕掛けたのが早いか、と思はれシリュスデゼーグルに差されるか?といふところ粘り強さ格別で優勝。デビューから十四戦全勝で栄光なる引退の四歳場。このレースもフランケル単勝は香港でも1.1倍だかでシリュスデゼーグル複勝の一点買ひで1.65倍。アタシなりに確実な予想が出来た。