富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

雀仔威念成哥

fookpaktsuen2012-10-10

農暦八月廿五日。晩に中環。ほんとうはもう少し早く来て久々にFCCに寄りたかつたが時間なし。市大会堂の美心MXで快餐してZ嬢と待ち合せ香港ショパン協会=Andrew Freris博士主催の毎年秋恒例 The Joy of Music Festivalあり今晩はIlya Rashkovskiy君(写真)のピアノと倫敦室内楽団(LCO)からの弦。まづはイリア君のピアノ独奏でショパンのバラード2番、英雄ポロネーズ夜想曲8番変ニ長調。このショパンが大変上出来。下手な解釈なし、で楽譜に書かれてゐることをきちんと表現しました、の頼もしさ。ピアノ三重奏曲ト短調(Op.8)はLCOのMagnus Johnston (violin) とPierre Doumenge (cello)でアタシは初聴だが素敵なロマン派の曲。中入り後はシューベルトのアタシの苦手な即興曲 Op.90の1ハ短調。あの主題の繰り返しはだうにかならないかしら、と言つたらZ嬢に「こんなの短い方」と、確かに。曲間に「ねぇ、次のカルテットってシューマン?」とZ嬢に小さな声で言はれ、思はず「玉川、カルテット」と言つて顰蹙をかふ。でシューマンのピアノ四重奏変ホ長調作品47は先ほどのLCOでヴィオラにJoel Hunterなる奏者が加はるのだが、毎年この方のパフォーマンスが一見に値する。この香港ショパン協会の第1回香港ピアノコンクールで優勝したイリア君も随分とピアノが上達してゐるが、このLCOの弦がとにかく美しい音色。このホールはピアノの室内楽曲には最適。この四重奏曲、実力のある若手四人だから、かなり過激に、抑揚を越へた21世紀的解釈のシューマンで「こんなの「あり」なのかしら……」と言つたらZ嬢は「シューベルトも躁な時の曲だけにいゝんぢゃない」と。確かに今日の演奏はシューマンが聴いたら喜んでくれさう。
▼畏友William鄧達智兄の蘋果日報随筆「雀仔威念成哥」(八日)。一読して感嘆。成哥は先週急逝された鏞記の甘健成氏。達智兄が台北と北京からの友だち招き鏞記の八階!で会食されたのは顔本で見てゐたがアトになつて思へば丁度この成哥亡くなられた日の前後、でだうしたものかしら、と気にはなつてゐたが達智兄によれば六日に当たるが達智兄が会食のなか鏞記の部長が「禮哥がちょっと話があるから」と言はれ、禮哥は健成氏の弟の琨禮で達智兄とは親しく、きつと来月の創業七十年のことで何か相談か、と達智兄が思つてゐたら禮哥が「兄貴が昨晩体調崩し病院へ行く途中に亡くなった」と。一週間前に夜遅く閉店間際にベルギーから来た友人と鏞記で雲呑麺食した際に成哥現れ一緒に健成氏愛飲の雀仔威=Famous Gooseウヰスキーの盃を傾けた由。達智兄に兄を無くした弟は兄のことを仕切りに語り兄の逝去が鏞記にとつてどれほどの損失か、兄をどれだけ慕つたか、を語つたといふ。兄が亡くなる前晩いに経営のことで兄弟で集まり見るからに一回りも二回りも痩せた兄を見て身体に気をつけるやう言つたのが最後の一言。外から見てゐると兄弟で骨肉の争ひだが身内には外にはわからぬいろ/\あるのだらう。ところで雀仔威をば健成先生はロック、ソーダ割どころか中国茶の寿眉で割る飲み方をば発見してゐたさうで、それはアタシは知らず。近いうちに試してみないと。
▼今晩はテレ朝で「相棒 season11」の初回スペシャルは題して「聖域」。

香港のホテルの一室。警視庁中根署で念願の刑事になったばかりの甲斐享(成宮寛貴)は、一発の銃声でベッドから跳ね起きる。悪夢のような現実を思い出していた。享は窓から雄大な景色を眺めながら、ベッドでまどろんでいる恋人の悦子(真飛聖)に何かを振り払うように明るく声をかける。しかし、悦子が再び眠りに落ちてしまうと、享に再び昨夜の苦い記憶が甦ってきた…。昨夜、享は香港の日本総領事・小日向(団時朗)の妻、詠美(賀来千香子)の招きで総領事公邸での晩餐会に出席した。そもそもそんな華やかな席には縁のないはずの享だったが、先輩で現在は在外公館警備対策官の根津(山田純大)が詠美に享が警察庁次長・甲斐峯秋(石坂浩二)の息子であることをバラしてしまったことで食事に招かれてしまったのだった。不仲の父の威光をかさに着ることを嫌悪する享にとって、一番に避けたい状況だったが、根津の顔をつぶすわけにもいかない。仕方なく小日向総領事夫妻、三井副領事(小林正寛)夫妻らと針のむしろのような時間を過ごしていた。その晩餐会も終わり、男たちが葉巻などを楽しんでいると、小日向のコレクションルームから一発の銃声が鳴り響いた。なんとその部屋では、三井の妻・絵里花(山崎未花)が胸を鮮血に染めて倒れ、そばには詠美が小日向のコレクションである拳銃を手に立ちすくんでいる。どうやら銃が暴発、絵里花の命を奪ってしまったらしい。そんなころ杉下右京(水谷豊)はロンドンからの帰りに香港に立ち寄っていた。観光を兼ねてのようだ。その香港で右京は享とひょんなことから出会ってしまう。果たしてどんな出会いをするのか?はたまた右京は領事公邸での暴発事件にどう絡んでいくのか?相棒、いよいよ新シーズンの幕開け!

って、どうにかしてよ(笑)。副領事って首席領事、ですね、きっと。副領事は香港総で十名くらゐはゐる「領事」の下のポジションだし。それにしても右京さん(水谷)「ロンドンからの帰りに香港に立ち寄って」ってアンタ、今どきパンナムの南回りか(笑)。どうせだったら十月十日の双十節に絡めて香港で中華民国復興、香港独立を狙ふ旧国民党軍の老人たちのクーデターがっ!とかにしても良かつた鴨。
▼日曜日のIHT=NY Timesに中国の阎连科なる作家の“Words to Soothe Asia’s Tensions”といふ投稿記事あり(こちら)。中文は「让理性成为社会的脊梁」(こちら)。

但我相信,村上说的事情,一定在中国有所发生。中国很大,中国众多的人每天都生活在焦虑之中,连他们自己都无法说清,他们为什么焦虑、为谁而焦虑。这种焦虑,总是在煎熬中等待一个排泄的窗口和渠道。也正是这样,才会发生那些在游行中不光令你们、更令我们感到羞愧的打、砸之事。不过,我作为一个中国作家,一边痛恨那些打砸者,一边又总是理解他们内心的无奈和居多时候的无助。(略)作为一个中国作家,我是多么渴望,让政治归政治,让文化归文化。政治动荡时,千万不要首先掐息文化与文学这根让世界各国人们心灵相牵的血脉和藤蔓。说到底,文化与文学是人类存在的最为深层的根须,是中、日两国和东亚地区人们彼此相爱的根本的脉管。

主張はよくわかる。だが、この時期にハルキムラカミ誉めると何だかノーベル文学賞受賞前のご祝儀にも思へなくもなし。