富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

みーんなダメよ、ダメ!

fookpaktsuen2012-09-23

農暦八月初八。八八。蘋果日報の「東北衝突」は中国でなくて香港新界は上水地区での政府新界開発に反対する住民の抗議。天気も良かつたが外出気分にもならず朝から陋宅に溜まつた雑誌など兎に角目を通して整理、ゴミ出し。晝前にZ嬢と北角。四川料理の小辣椒で担々麺。見世の雰囲気、適度な汚さ、客層……突然ここだけが内地(笑)。この担々麺の下にある雑誌の記事は天下のThe Economistが“Pornography and patriotism - Can’t we all just get it on?”と題して中国での反日で笑へた「釣魚島は中国のもの、蒼井空は世界のもの」伝へた記事(こちら*1。つひに蒼井空が英エコノミスト誌に登場、と話題に。食材購ひ帰宅。午睡。読書。午睡。昨日、上環の正隆行で購入の真空急速乾燥ドリアン頬張る。予想以上に本物のドリアンの香りと食感。昏刻に銅鑼湾。ジムで適当に走つてからハッピーヴァレイ競馬場の内馬場。ランニングクラブで皆さん真面目にインターバルトレーニングといふ趣向。あたしにはさういふ向上心に欠けるが旧知のシャモニーO氏が欧州での山岳ランニングの帰路に立ち寄りだといふのでご挨拶のみ。帰宅して湯豆腐。NHKスペシャル「対立を克服できるか〜領土で揺れる日中・日韓〜」、ニコ生で日本維新の会公開討論眺める。小林一郎「ガード下の誕生 - 鉄道と都市の近代史」読了。
NHKスペシャル「対立を克服できるか〜領土で揺れる日中・日韓〜」は何より先にまづ司会の三宅民夫アナが駄目。完全にビヾってゐる。声が震へ言葉を噛む。テーマがテーマだけにミストークも、ゲストに櫻井よしこがゐるのも怖いのだらう。この人は民草をスタジオに集めての討論会くらゐがニン。で番組は二部構成で尖閣から。冒頭の映像で「あれから一週間、北京は平和を取り戻した」で思はず椅子から転げ落ちさうになる。先週末も18日も北京で荒れたのは大使館周辺で王府井であるとか市街地はほゞ何事もなく平静。まるで北京が無政府状態であつたかの如き印象の押し売り。さらに司会(三宅)が日中国交正常化40周年記念式典の中止で「日中関係は対立は激化、止めを知らぬ悪化が続いてゐます」だかとコメントしてゐたが、寧ろ中国にとつても恩来、角栄の故人の遺徳偲ぶ大切な機会を逸することの深刻さは理解。そこまですることは今回の日中対立の歯止めがこの40周年中止。これを反省として今後の関係見直しを、と理解すべき。マスコミのこの理解力の無さ=世論煽るだけ、が困る。で東大の中国政治、高原先生には申し訳ないが外務省OBの田中均と櫻井で(鼎談にでもしちまへばいゝのに)三宅相手のやりとりで論点噛み合はず毒にも薬にもならぬ内容。第二部は、こちらも冒頭の映像で「韓国の李明博大統領が、突然、島根県竹島に上陸」って(笑)それぢゃ不法侵入だよ、なぜ李大統領を日本政府は捕まえぬ=実効支配してゐないから、なわけで「島根県竹島」といふのは勝手だが実効支配してゐる国の元首が上陸なのだから「島根県」といふ必要はあるまひに。この討論は韓国から韓日関係や歴史など専門の先生三人来られ、互ひのかなり積極的な主張交換となるが、日本側はもつと自らが侵略支配した側、で歴史反省も中途半端、今晩だつて相手の韓国の学者三人は日本語堪能でずつと日本語でのやりとり、日本側は韓国語も話せずといふ「対話」で、それぢたいどれだけ不均衡なことか、が理解できてをらず。結局、日中も日韓も、お互ひ立場といふものがあるから絶対に譲らぬのは当然、何が国際司法裁判だ、国連だ、結局のところ両国が落とし処をどこに置けるか、の肚の探りあひ……たゞそれをする政財界の大物も外交官もをらぬのが現実。有識者とて言論人とて、韓国人なら「大統領の突然の独島上陸は対日関係を損つた」、日本人なら尖閣は日本領といふ主張は譲れぬが民主党政権で外交センス欠けた国有化は中国が受け入れられないものであることは理解、とそれくらゐの誤謬認めねば。
▼橋舌の維新の会、さぞや勢ひあり、と恐る/\ニコ生で公開討論拝見したが身内では茶番、と招聘の田原総一郎センセのこれもあまりにB級の突っ込みに領袖橋舌をまぁ除けばあれよあれよとタジ/\で、これぢゃ一寸日本の未来をば貴方たちにはお任せできませんね、の為体。討論会に出席は幹部のはずで、この下に数百人の即席候補では総選挙も無邪気な民草も何処まで支持するかしら。それにしても「既存政党ではもうダメ」しか売り文句のない維新の会も所詮、同じ窩の狢。
小林一郎「ガード下の誕生 - 鉄道と都市の近代史」(祥伝社)覚へ書き。ブリキとトタンが混同されるが(最近、ブリキもトタンも見ることも少ないが)ブリキは鉄板に錫メッキ、トタンは亜鉛メッキ。後者は舐めたらダメ、でブリキの玩具はあるがトタンのそれは無い。この本、ガード下の(川本三郎的には人生が煮込まれた)飲み屋のやうに、もつとバタ臭いガード下人生模様もアンソロポロジイ的に描かれてゐるか、と思ひきや徹底した建築学的実証と現状のレポートで一寸、想像と違ふ内容。それでゐて赤羽駅の「アルカード赤羽」といふ駅付属の商業施設をW. ベンヤミンまで引用してパリのパサージュと基本は同じと述べてゐる(笑)。
民主党代表選挙が盛り上がらないまま野田圧勝なのは遅かれ早かれ来る総選挙での敗戦投手を決める選挙だから、と(笑)山口二郎(都新聞)。野田政権はあと数ヶ月の命で何をしても所詮、財界は民主党の応援をしないのだし経団連会長の脅しを怖がらず開き直り民意尊重するに遅すぎることはない。次が自民党中心の政権となつても前政権の決定をば覆すには手間かゝり原発社会保障など世論の批判も浴びる。政権交代可能な政治をつくるにはさうしたしぶとさが必要、と。御意。

*1:OF ALL the positions with which Sora Aoi has excited her Chinese fans (and there have been many), this was among the more surprising. As anti-Japanese sentiment flared across China, the former porn star issued an online appeal, in fetching calligraphy, for Sino-Japanese friendship. One placard waved at anti-Japanese protests over the disputed Senkaku/Diaoyu islands read simply: “the Diaoyu islands belong to China; Sora Aoi belongs to the world.”