農暦八月初六。香港の邦人の間では何だか今ころになつて「尖閣後日談」でわけのわからぬ危機管理や安全対策など「一週間、十日遅いって」が聞こえてくるから。
事実が見えてくる、怖がるのが遅いのは満州事変の頃から対米戦争、そして三一一の核禍まで何も変はつてゐない日本人の美徳なのか。満州事変といへば陶傑さんが中国人があの九一八を国辱之日とするが日本人にとつても日本が戦争に向かふきっかけとなつた日で災難といふ意味では一緒なのだ、と諭してゐる（今日の蘋果日報「戰爭教訓」*1）。そこまで日本を庇つてくれる論客もゐれば、反対に日本は『週刊現代』など特集「中国が攻めてくる 日本人よ戦いますか」なんて見出しを見ると大日本雄弁会講談社らしい程度低き民草相手の売文行為で（講談社は講談社ライブラリーのやうな良識も少しはあるのだが）何を考えてゐるのかしら、お馬鹿すぎ。英エコノミスト誌はカバーで“Colud China and Japan really go to war over these?”と嗤ひ、海のなかで亀が“Sadly, yes”と嘆いてみせる。“Anyway, the Chinese government has enough problems at home: why would it look for trouble abroad?”はあたしたちの素直な疑問だが
A century ago in Europe, years of peace and globalisation tempted leaders into thinking that they could afford to play with nationalist fires without the risk of conflagration. After this summer, Mr Xi and his neighbours need to grasp how much damage the islands are in fact causing. Asia needs to escape from a descent into corrosive mistrust. What better way for China to show that it is sincere about its peaceful rise than to take the lead?
といふ、この世界で一番影響力のある週刊誌の提言はアタシたちが誤解してはいけないのは中国に自省求めてゐても、これは間違っても「だから日本の立場が正しい」と言つてゐるのではないこと。日本なんて少し優等生なだけで危険視はされてゐない程度。政経ではすでに話題にするほどの価値もなくなつてゐる←この雑誌の日本関連の記事の扱ひを数年前から見てゐれば明白。そんな週末の今日は日本総領事館（香港）より「預言者ムハンマドを侮辱する映画に対する抗議デモに関する注意喚起」発せられる。
当地においては23日（日）午後にセントラルのチャーターガ ーデンにおいて平和的デモが予定されているとの情報がございます。在留邦人の皆様におかれても、念のため留意願います。
……と表現が微妙。「平和的デモ」は民草に保証されている権利。何か安全に懸念があるなら「危険な事態になる可能性もあるため」と書けばいいのに、と思ふ。ちなみにこの安全情報は米国総領事館（香港）の
The U.S. Consulate General in Hong Kong informs U.S. citizens that local Muslim leaders have announced plans for peaceful demonstrations to take place in Chater Garden in Central in the early afternoon of Sunday, September 23. Consulate General personnel have been instructed to avoid the immediate area around Chater Garden on Sunday, September 23, and we advise you to avoid the area also.
の受け売りだらう。対米抗議であるから国務省は総領事館職員同様に米国市民に対しても余計な混乱に巻き込まれないやうにこの一帯に「近寄ることを避けるべき」って内容は明確。それをなぜ属国とはいへ日本が過敏に反応して、しかも安全情報の内容が「平和的デモがあるから留意」なんて曖昧になつてしまふのかしら。このへんの感覚のズレが完ぺきに日本人のダメなところ、これで中国相手に対峙してみよう、といふのだから、そんな力量が民主党どぜう政権にも国民にもあるはずもない……とこゝで〆てしまふと週刊現代的にロクでもない橋下待望論につながるが、更に間違つても中国と対峙できるやうなセンスは橋下や日本維新の会のあるはずは無いことは確か。中共にとつては橋下など官製デモで気勢を上げ溜飲下げてゐる愚連隊と大差ないレベルに映るだらう。
▼ニュース見てゐたら温家宝首相が「对于一个民族，再没有比尊严，自主和独立更重要的了」*2（一つの民族にとって尊厳、自主と独立ほど重要なものはない）と発言。アタシも「ついに中共代表するリベラル派が西蔵、新疆、台湾独立容認？」と驚いたら、さにあらず。尖閣諸島に対する中国の領土権についてのコメントだつた。「一つの民族」って何よ、と思つたが西蔵や新疆も含め「中華民族」と呼んでしまふ無理な説法もあるやうだが*3何が民族の尊厳だ、自主自立だよ、と西蔵人、新疆人は嗤ふだらう。金澤のK先生が「尊厳、自主、独立」どころか「唯我独尊、自分勝手、孤立」と指摘、御意。
▼前立法會議長で全人代常委のリタ范徐麗泰オバサンが行政長官・測量梁に対して、確かに国情教育や公共問題など前政権からの宿題をば引き継いでをり全てが測量梁の失政ではないが時限爆弾ぢゃないんだから政策見直しなどいくらでも才覚を見せる方法はあるわけで「如果你自己無才能，就不要怪別人。無才能又怎樣管治香港？」 とかなり下品な言い方で（英語では "If you are incapable, you should not blame others. How can you run Hong Kong if you are incapable?"となつてゐるが）測量梁に忠言。李嘉誠ら地場財界の後ろ盾もなく今回は中共からの信頼あるリタ刀自の苦言……測量梁ほんとうに秋を前に秋風か。
*1:「九一八」歷史事件，年年紀念，只着眼於侵略的民族仇恨，是很狹窄的視角。讀歷史的人，看「九一八」，會在高一點的角度：九一八是日本走向災劫的第一步──侵略中國東北，得勝太容易，造就了關東軍系的坐大，導致日本犬養毅文官政府遇刺垮台。九一八是日本現代化的轉捩點。關東軍勢力坐大，還不至於令日本滅亡，雖然後來「七七」事變，侵略華北，也是錯誤的一步，中國面積太大，區區日本，是吞不下的。日本因為中國東北與華北侵略，關東軍勢力坐大，坂垣征四郎做了陸軍大將，一九三九年，主張與絀國意大利加強軍事同盟。此時日本的海軍系統不服陸軍坐大，認為加強同盟，會捲入對美國戰爭。日本的海軍系統，本來不想對美作戰，但後來首相換了兩屆，新首相近衛文麿上台，主張進一步聯絀，海軍的將領也換了人，只剩山本五十六一個是舊將，仍然反對，已經無效。軸心國正式盟合，海軍少壯派抬頭，海軍大將加藤友三郎無力駕馭少壯激進勢力，莫名其妙的就讓少壯派主導海軍，海軍主導了戰爭內閣。日本當年有「東進」與「南下」之爭。東進是從西伯利亞打蘇聯，南下是侵略南洋、搶奪英法荷等殖民地。如果東進，蘇聯東西受敵，史達林要在遠東駐防，就守不了列寧格勒。但日本海軍的崛起救了蘇聯一命，打珍珠港，而不是打西伯利亞，鑄成決策大錯。與絀意同盟，又沒有溝通，人家邱吉爾時時飛越大西洋見羅斯福，希特拉與東條沒有直線電話，絀國人的種族主義，妨礙了對日溝通，日本敗於第二次世界大戰，一敗於自己，二敗於美國，而一切皆由「九一八」始。
*2:最近，日本当局导演的一场钓鱼岛的闹剧，全世界都应该知道钓鱼岛是中国神圣的固有领土，我们要维护国家的主权和领土完整，在这个问题上我们要采取有力措施。在涉及国家主权领土完整，这些重大问题上要保持铮铮铁骨，毫不退让。一个民族没有比尊严和自主、独立更为重要的了。
*3:新潟Ｍ氏がこれを「満清の方が、漢民族が立ち入らない一種の排他的な自治権を尊重し、民族自主権もあった。で、満清が倒れて漢民族主体の中華民国が五族協和と称して領域に公然と立ち入る構えとなって、蒙古、ウイグル、チベットとも、民国を宗主国とみなさず、離脱を志向したわけです。中華民国や中華人民共和国が満清と同じ「中華の国＝中国」だというのは、周辺民族にしてみると、漢民族側の恣意的な解釈ということになるでしょうね。日本もこういう理屈を認めていないので、尖閣に対する大明の航海記録が中華人民共和国が釣魚島を領有できる根拠になるというような先方の主張をまったく受け入れられない。ところが先方にとっては、これはほぼ「信仰」に近い。敷衍すると、満清の藩属だった琉球王国の宗主権も行使できるわけで、滅亡した琉球王国の領域に存在する沖縄も中華人民共和国のものだ、という論理にもなる。この種のご都合主義でレコンキスタをやられたら、西はポーランド、東は日本国まで、すべて中華人民共和国のものだということもできる。「えーかげんにしなはれ」という話です。」と指摘されてゐるが本当にこれは極端な笑話ではない。
