富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

To Rome with Love

fookpaktsuen2012-09-03

農暦七月十八日。黒シャツで朝お出かけ。すると今日が九月の「開学日」で香港の多くの学校の新年度始業。折からの愛国=愛党教育への反発で黒服で!と反対派呼びかけの日でした。アタシも陛下と同じで「強制は(何事も)良くありません」と思ふ。夕方、銅鑼湾のHysan Centreに用事あり出かけたらオフィスフロアからの絶景。治産獣らの都市開発は醜いが新しいビルが出来て今まで知らぬ眺めを見たときの驚きはアタシも隠せず。地下鉄の銅鑼湾站からHysan Centreの地下に潜りオフィスタワー行きの直行エレベータは9階行き。オフィスフロアは更にエスカレータで10階まで上がつてエレベータ乗り換へるのだが9階は一切表示もないが誠品書店の入り口に続く通路あり。オフィスフロアへのアクセス確保で地階と9階に「誠品に抜けられ〼」の表示してをらず。オフィスアワーに限るが誠品書店に急ぐ方は地下からこの経路が便利。誠品書店でHK$1,000以上お買ひ上げで会員に。六年ぶりくらゐでジャーディン街の移転した「老北京」。Z嬢待ち夕餉。あまりにも旧来の国営企業的大陸漢のオヤヂたちご来店で「焼酎はあるか?」と個室に入ると喫煙御法度の香港でモク/\、暫くしてケヴァい女郎数名現はれまぁ破廉恥機。呆れて言葉もないが一昔前には香港でも日本人がお色気ありの料理屋の個室で一人の客に一人女郎ご相伴で「はい、あーん」なんて始まり酒が回るとトップレスにさせた乳首にプルコギか北京烤鴨のタレなんてつけてペロ/\なんてやつてゐたことおもふと、まだ当時の日本人に比べたら大陸漢のほうがマシか、とZ嬢と嗤ふ。ヰンザーハウスの映画館でウッディ=アレンの“To Rome with Love”見る。ウッディ=アレンの映画は小学生のときに最初に見たのは近所の映画館に木戸御免で『アニーホール』だつたのか東京12チャンネルの深夜映画で“Everything You Always Wanted to Know About Sex * But Were Afraid to Ask”のどちらが先だつたのか覚へてゐないが、やはり面白い。馬鹿馬鹿しくて映画館で思はず笑つてしまへる映画なんて今どきアタシにとつて何本あるかしら。それでゐて人間の深層心理、不条理……真を突いてゐるから。面白い場面、名作のパロディ場面、台詞の妙といくつもあるがAlec Baldwin演じる著名建築家の役割が「ベルリン・天使の詩」の守護天使のやう。
▼「子どものころアールデコが私の周りのすべてを埋め尽くしていました」と長崎で生家がカフェだつた美輪明宏姐さん(都新聞夕刊)。「美術、文学、音楽すべてがアールデコ。貧しかったけれども文化は人類始まって以来、最も洗練されていましたね」と挙げるのは美術はピカソ、ブラック(Georges Braque)、音楽はドビッシーやラベル、文学はカフカコクトー、舞踊ではイサドラ・ダンカン……天才が次々と出てきた。日本も泉鏡花小泉八雲夏目漱石……。この系譜の最後が三島由紀夫澁澤龍彦寺山修司、と明宏さん。それが戦後は米国文化の悪影響で「現代は人類が始まって以来、最も醜いものが流行している」といふ。「戦後の日本人は貪欲、性欲、物欲、名誉欲だけを追い求めてきた。気がついたら中身が空っぽだったのです」。
蘋果日報で左丁山氏が「歓迎自由行」と題し中国内地からの来港者増は歓迎すべき、と。香港に来て香港の自由、人権を見る機会は内地人にもあるはずで香港で内地の人権抑圧や共産党独裁を非難する民主派運動家が内地人の旅行の自由を認めぬのは矛盾。内地からの旅行者制限して香港の小売業、観光業が不振となり失業率高まつたら民主派も民建聯も挙つて内地からの旅行自由化を叫ぶのか、と嗤ふ。