富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2012-09-01

農暦七月十六日。震災から八十九年。アタシの世代は祖母からどれだけ東都の震災がひどいものだつたか、を何度も何度も、ことにこの九月朔日で聞いてゐるので幼いころの感受性で強烈な印象が今でも残る。土曜の今日は自宅にて机に凭り書類整理だのiTunesApple TVの互換などいぢつてゐたら昼。走らうと思つたが朝から幾度も驟雨で雲が走り去り陽光がさすとまた半時間もせぬ間に遠くが見渡せぬほどの雨となり無聊な午後はiTunesBatmanの“The Dark Knight”借りて(わずかHK$18也)これもホームシアタか、で眺める。この映画、劇場公開で見てはゐたがジョーカー役のヒース=レジャーが公開後に亡くなり改めて見たいと思つてゐたもの。本当に演技を超えて何とも神がかり的。早晩に北角。住家菜に軽く夕餉済ませ新光戯院。広東粤劇院の「紅楼夢」通しで見る。実は初めて。主人公の賈寶玉が粤劇の実力派看板俳優の丁凡でヒロインの林黛玉は蒋文端。原作の紅楼夢の小説を読んでゐないアタシがいふのもなんだが紅楼夢の物語のうち二人の浮世と黛玉が亡くなつてからの悲しみに特化された筋はけして面白いといふものでないが、とにかく三時間余の芝居が歌曲、歌曲、歌曲。漢文の兎に角、喩へ、形容が続くから延々といかに恋しいか歌はれても漢詩の素養でもないとかなりつらい。これをそのまゝ英語で字幕にしたら退屈だらう。その歌曲をどれだけ役者が歌へるか、で丁凡の歌唱力は大したものだが、やはりアタシは広東語で歌はれると、どうも田舎芝居に思へてしまつて……。しかもエンディングなどマツケンサンバの如く大衆芝居でござんした。今日は香港特区政府で午後から反国民教育の集会あり数万の人出。深夜までさまざまな催し続く由。
▼九月九日の立法議会選挙。香港島区はずっと泛民主と親中が6:4の六四比率で議席、得票率分け合つてきてきたが親中御用政党の稚拙ながらそれなりに選挙術覚へ、それに対して泛民主派は政党間での調整できず今回は1増えて7議席ながら親中御用政党の民建聯が固く2、保守葉の葉劉淑儀、財界が基盤の自由党に対して民主党、公民党、人民力量、工党、無所属での票の取り合ひ。公民党が2議席目に置いた現職のタニア陳淑荘と工党の何秀蘭が七議席目争ひといはれ支持層殆ど同じでリベラル派の票の取り合ひ。両議員に多少の面識あり個人的には甲乙つけがたきお二人の選択はかなり難しいところ。たゞ逆説的だが今回の立法会選挙は親中派勝利した方が近い将来の普通選挙実施には好条件といふのが何とも……。