富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

この道はいつか来た道……

fookpaktsuen2012-08-14

農暦六月廿七日。朝イチで打合せから忙しかつたが、成り行きで官邸で預かつてゐた熱帯魚がゐて甕に放つてをいたが餌を毎日やつてゐるうちに愛着も沸き、遉がに名前まではつけてをらぬが、誰もきちんと世話する意欲もないやうで甕のなかでは可哀想で水を換へてやるつもりが、つい猛暑のなか近所の水族商店に往き小型の水槽とポンプなど購ひ、きちんと住環境整へてやるとサカナたちも心地よささう。晩に岩波『世界』七月号「特集:橋下維新」やうやく読む。

  • 関一(といつても若い人は知らないか)時代の大・大阪が衰退したのは大阪の問題でなく日本の資本主義の構造変化であり近年の大阪の地盤沈下は企業合併での在阪企業の本社機能が東京に移動したからで大阪に必要なのは「都市格を高めること」(宮本憲一)
  • 近年の大阪府財政赤字は90年代から大量に発行された地方債償還であつて、それに起因する赤字幅の減少は橋下でなくてもさうなること(森裕之)
  • 橋下が支持されるのは有権者(マジョリティ)の意識をそのまま肯定するような主張を彼が行い、それがノーマルに受容された結果にすぎない(松谷満)
  • 市長という立場は橋下氏に票を入れなかった全市民の代表であり、投票した人たちの代表である議員とは違う(藤吉雅春

さらにTwitterで橋下を語る想田和弘による橋下の言葉の「感染力」について……等等、かなり充実した橋下分析が揃ふ。たゞ問題は、それを一掃するやうな政治思想も民度も、日本のどこにもないことか。それと五十嵐啓喜が国立市で前市長を損害賠償で訴へた「政治家の不法行為責任とは」も、日本といふ国で明らかに市民政治、地方自治、それに関する司法判断など成り立つてゐない現実をとくと見せてくれてゐる。
▼「街角の顔映像 容疑者と照合 昨春から非公開運用」と都新聞が一面トップ(こちら)この国、ヤヴァくないですか?「激増する凶悪犯罪」だ、テロだ、通り魔殺人だ、と「怖い/\」で、一番怖いのはこの監視社会。もうジョージ=オーウェルの世界。かういふお上の為すことに、やけに「寛容」なのがこの日本といふ国の怖さ。311大震災での核禍ともなれば有繋に応へたが、この程度だと007の映画で敵方の検索でデータが特定の人間のデータ照合即座に行ふの見て「すごいねぇ」と同じなのかしら。警察よりアタシはこの国民性の方が不気味。

世界 2012年 07月号 [雑誌]

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