富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2012-08-13

農暦六月廿六日。日本は非常識に太陽暦でお盆の入りだが香港は普通の八月十三日。盂蘭盆会は旧暦七月十五日と決まつてゐて今年は閏月があつたので新暦では九月一日。昏刻に中環。かなり久々にFCCに寄りBloody Mary二杯。氷解けて薄まる前に飲むこと。セロリは勿体ないので要らない。ウスターソースもアタシは「だうかしら」と思ふ。湾仔のMonocleのショップ覗きLevi'sでジーンズに本大人買ひ。Levi'sってもはや「アジアから見た米国」の感あり。もう二十年以上はいてゐる501がボロ/\になりヒッピーさんならいゝがさすがに休日のかなりいゝ加減なときにしか穿けない状態で新品で501買ふほどの意欲もなく502は「日本製」で「こんな高いの?」と驚いたが日本でもたかだかジーンズで12,600円(メーカー希望価格)とは。今日からNHKのワールドプレミアムもオリンピック騒ぎ終はつたか、と思へば総集編だか特別番組あり海外は「ご覧になれません」状態。
バングラデシュで貧民救済のグラミン銀行創設しノーベル平和賞受賞の経済学者ムハマド=ユヌス博士来港。香港で講演会あつた由。信報の記事で知る。内容はさてをき、これは信報がNuSkinとなぜか共催の「あの」講演会で、さうなるとあの大前研一の一昨年のちょうど同じ(この日ってNu Skinの何か大切な日?)八月十三日(日剩こちら)の、見事にNuSkin絶賛して見せた話術をば彷彿するところ。ユヌス博士も何かNuSkinについて語られたのかしら。
▼都新聞夕刊で梅原猛の「思うままに」といふ随筆(週一)が面白い。さすがの哲学者もかなり思考が「ゆるい」。呆けとは違ふ。しばらくどぜう首相への苦言がゆるく続いてゐたが今日は首相の能力として「世界情勢に明るいこと」「日本の課題をはっきり認識すること」「巧みな戦略家であること」として近年の首相では、と中曽根大勲位はその能力を備えてゐた、と誉める。大勲位が創設の国際日本文化研究センターの初代所長が梅原翁抜擢なので贔屓目もあらうが大勲位は「思想書を愛読しマルクス主義が決して人類に幸福な社会をもたらさないことを認識した」「米ソ冷戦の時代に西側の団結を重視しレーガンミッテランを仲介し」「国鉄民営化を行い」「風見鶏といはれたが戦略家で」と評価する。それはいゝが国鉄民営化で「国鉄労働組合の力が衰えたことが社会党没落につながった」と梅原先生はそれの甲乙をはつきりとは書いてゐないが文脈からすると社会党没落が悪いことではないと思はれてゐるやうに読める。果たしてさうかしら。結果論だが今の政権交代での民主党の為体見てゐると55年体制がなんて素晴らしいものだつたのか、その55年体制の終焉の契機の一つが国鉄民営化だつたとしたら大勲位の功罪もまた微妙なところ。中曽根は誉めるが梅原翁の小泉嫌ひは徹底的で「オペラに関して玄人の鑑賞眼をもつが(さうなの?富柏村注)、その教養は偏っていて世界の情勢の把握も明確ではなかった」、中曽根の国鉄民営化に倣つて郵政民営化したが「ほとんど意味をもたない喜劇的といってもよい改革であったことが明らかになった」もので「有能な秘書を使って次々と意表を突く政策を打ち出したが、それは日本にとって重要な政治課題を解決するためではなく、自己の政権を永続させるための述数であった」とする。かなり低い評価だが、それでも

小泉元首相は以後の首相に比べればまだよいほうであろう。以後の首相はこの三つの能力をほとんど備えていなかったように思われる。

と。これは確かにその通り。