富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

岭南通

fookpaktsuen2012-08-10

農暦六月廿三日。昨夕、広州での鼎談で話題となつたのが広東省の「岭南通」と香港のオクトパスが共用カード発行。O君からの情報。共通乗車卡の蒐集が好きな三人、香港のオクトパスが成功し広東省から中国、世界中に普及してゐるシステムだが遂に通貨レートの問題克服して単一カード発行か?と興奮したが、そこまで辿りついてはおらず、なにより始めるとしたらオクトパスと深圳の「深圳通」が需要からして先のはずで(2010年から実現化と話あり)、「岭南通」は「广州、佛山、肇庆、江门、汕尾、惠州、茂名、韶关、云浮、珠海、河源、揭阳、阳江、湛江、清远和中山16个城市应用」と広東省網羅する勢ひだが唯一、深圳がこれから除外されてをり、さうなると単一カード化は困難。このカードもおそらく一枚のカードにオクトパスの香港ドル建てと岭南通の人民元建てが共存なのでせうね、と想像したが、その通り(こちら)。その上、デポジットがないので残高0になる時点で使へず増値に気を使ふし銀行からの自動増値も不可。でそんなカードなのだが1枚HK$98で、それならオクトパスと岭南通をそれぞれ所持した方がいゝと思ふが好事家の怖いところはそれでも欲しい、と垂涎。さっそく昨晩、広州東站で尋ねたら岭南通の服務中心に行け、と言はれ香港に戻り紅磡站では「売り切れ」。で今朝、太古の站で尋ねたら「あり〼」で入手。次に広州に往くときに広州だけの「羊城通」をば取り消して残高を、この岭南通に移せばいゝ。こんなカードが誰に便利か、といへば余っ程、広東省をば縦横無尽に往来する行商人か、珠海と中山の両方に二奶(後妻)囲ふオッサンくらゐかしら。晩にZ嬢と西湾河。何匹が知己の猫を愛でてから景福茶樓に飰す。PumaならぬKumaのスポーツウェアの客がゐた。ちゃんとロゴが熊なのがステキ。日本人にしかウケないのに。食後に明記でドリアン西米露。
▼築地にてZ嬢が薇(ぜんまい)をば探した時の話を聞く。或る乾物屋にて。
Z「ゼンマイあるかしら?」
乾「あるよ、どれくらいいるの?」
Z「これくらい」
乾「うちは1kgだよ」と乾物の薇をば見せられすごい量。
Z「ほんとは生のがほしいんだけど」
乾「うちは生はないな。ちょっと待ってて」と近所の店に尋ねるるが無い。
乾「ねぇ、文ちゃん」と路地で暇そうに一服してる文ちゃんにも尋ねる。「生のゼンマイって、どこにある?」
文「あー、Kかな」
乾「韓国でもいい?」
Z「いいけど。そのお店どこにあるの?」
乾「あすこのさ、……」と説明してくれるが築地場外ぢゃ店が多くてZ嬢よくわからず。
文「俺が連れてってあげるよ。そのかわり手をつないで歩いてくれたら」
乾「こいつ、毒があるよ」
文「毒はないよ、ばい菌だけど」
で文ちゃん、Z嬢の手をつないで場外を韓国食材のKまで連れて往つてくれた由。
K「あれ、文ちゃん、どうしたの、こんな別嬪さんと手をつないで」
文「ゼンマイがほしい、って言うから連れてきてあげたんだよ、それぢゃね」
と、これこそ“It's so cool~!”だらう。
▼工事現場で14歳バイト死亡 社長「中学生20人雇う」8年前から(都新聞)中学生が中学校の耐震工事の現場で死亡、この会社も断罪されるのかしら。健次なら、これをどう語ってくれるのか。
渡邉恒雄著『反ポピュリズム論』(都新聞)私は平成の今でも「維新」と聞くと五一五事件(略)を思い出す。(この書は)まず橋下徹氏に読んで頂ければ嬉しいことだ……と読売のナベツネさんの弁。さすがナベツネさんだ!
▼水戸の精神科医渡邊千秋さんの朝日新聞への投書。「私の責任で原発を再稼働させます」といふどぜう首相の発言に違和感を感じていた投書子はどぜうが「私の責任の下でしかるべき時に対応する」と発言したと聞き、やつと理解できたことは「首相は「責任」と「権限」を混同して使っている」ことで

「責任」とは他者に配慮し、万一の時には責めを負うということだ。一方、権限とは法律や規則で定められた相手を従属させる力のことだ。ところが首相は、原発再稼働という万一の時に責めの負いようがない問題で「責任」を使い、解散では「私の判断で」あるいは「私の権限で」と言うべきところを「責任の下で」と言う。民意を身に引き受けるのが責任であり、民意を抑え込んで自分の意思を押し付けるのが権力や権限だ。混同してほしくない。

と分析してみせる。じつに見事。しかも無駄のない素敵な文章。
▼李怡先生が「蘋論」で「劉翔是在舉國體制之下演一場戲嗎?」と中国陸上の劉翔を語る(蘋果日報)。

國家不會讓劉翔這個國家「偶像」如此灰溜溜退場,會在最後關頭以「頑強拼搏」來歌頌他,送他光榮退場。

国家主義の悲劇……。十年前の体操オリンピック金メダル選手が引退後に北京で大道芸といふのも悲惨な話(蘋果日報)。