富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

筒井康隆の新聞小説「聖痕」

fookpaktsuen2012-07-15

農暦五月廿六日。夜中の二時半に寝たのに、しかもそれなりの痛飲のはずが何故に朝五時半に目覚めるのかしら。酒もすつかり抜けてゐる。朝食はHyatt Regencyのアップルパイと台湾マンゴー。今日も官邸でご執務。真夏の好天。暑いから室内にゐるのは楽は楽なのだが。帰宅して枝豆をアテにサントリープレミアムモルツ麦酒ぐび/\。かなり久々にすき焼き。ウチは関西風なので汁気なし。NHKスペシャル*1でアグネスチャンが訪れるブータン。小学校から国語と社会科以外は英語で。辺境の学校でも同様。その子どもたちの話す英語を日本語の字幕と吹き替えで聞き取る日本人って……嗚呼。
▼420回も沈黙に従はされたアトに始まつた朝日新聞の連載小説、筒井康隆「聖痕」。「1960年代終り近くに東京に生まれた主人公の少年が類ひまれな美しさに恵まれ周囲を騒がせ、その美しさゆゑに或る事件を招く」なんて事前宣伝にあつたが、ゾラ的な実験(筒井)なのださうで、いきなり第3話で少年がいやらしい中年男に性的悪戯されるやうな場面に。新聞小説としては禁断の世界に……と金澤のH君。何とも練りに練つた擬古文が面白いが、それも単に文学的な効果だけでなく「読めない読者は読めないから読まない」といふ「この擬古文表現がわかる人だけで良い」で当世かなりヤヴァい世界を描くという手法なのかも。内容が内容ゆゑに、どうせ文学なのに内容が犯罪的だのモラルに反してゐるだのバカな反発などある……の「だとしたら」周到に計算された超絶技巧凝らしてのギリ/\の表現が期待できるところ。明朝のこの少年が中年男に悪戯されるところをどうこの擬古文で表現するか。文学がこれほど挑戦的であることが本当に珍しく思へてしまふとは。芥川賞のつまらない小説(自称)に飽きてゐるのでこの老大家に期待するしかないのだ。
▼今日、官邸で書類整理してゐたら2005年に董建華が行政長官辞任(更迭)伝へる蘋果日報の新聞あり。20数頁にわたり建華七年の悲劇特集は見事。で後任の貧官曽について(当時はかなり支持率高かつたのだが)董建華の辞任記者会見をば扉の陰で窺ふ貧相さも面白い写真で実は董辞任で自らが襲ふことに意気揚々なのだがボスの辞任に驚いてみせ難題山積みで行政手腕問はれるところ、と。八掛新聞といはれるが指摘は尤も。

*1:NHKといへば「新大久保 国境なき八百屋さん」なる番組でドリアン1個が東京で2,500円……高いが早速このドリアン買ふ妙齢の美人に「どちらの国の方ですか?」「タイです」と当然の答へだが質問はどちらかといふと「性別はどちらですか?」のおネエさんだつた。