富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

屋根裏烏来

fookpaktsuen2012-07-01

農暦五月十二日。いつものやうに朝六時には目覚めたが宿の朝食は七時半。バジェットホテルで小さな食堂でパンとハム、粥と惣菜くらゐしか供されずセルフサービスで食事終はつたら自分でお皿下げてください、が素敵。この程度でいゝだらう、朝食なんて。ふだんテレビ見ぬが台湾に来ると日本のバラエティなど再放送豊富でつひ「志村動物園」なんて見てしまふ。竹下登の孫が桜と呼ぶ猿連れてバスの旅、なんて数年前のものらしいが、このバスの急がぬ旅はまるでアタシらのやう。朝九時半に宿を引き払ひMRTで中正記念堂。朝とは思へぬ炎天下で白と青の記念堂がやたらに映へる。発烏来行きのバスを待つ。ホテルの近くでも乗車可なのだが日曜だし荷物もあり坐れぬのが辛い。一番早く行くにはMRTで新店站まで行きバスに乗り換へなのだが地下鉄は面白くもなければ新店からでは席も間違ひなく無かろう。バスは中正記念堂始発だと思つてゐたら台北火車站が起点。幸ひに二人掛け一つだけ空いてゐた。台北から新北の市街の街並を車窓から愉しむ。新店を過ぎるとバスは緑の渓谷分け入る郊外バス。烏来に着く。台北市街は摂氏34度だつたが山中、標高も800mくらゐかしら、でも灼熱。馥蘭朵烏來渡假酒店(Volando Urai Spring SPA Resort)に下榻。部屋は午後二時に用意といふので烏来の温泉街まで出かける。タイヤル族の女将、富士子さん営む泰雅婆婆美食店に昼を飰す。猪肉の炒め物、高原野菜。小米酒飲む。トロッコ列車は豪雨落石で運休中。站舎から一応は立ち入り禁止の線路を歩くと最初のカーブで壁面のコンクリ壁の崩壊。その先の車庫に遊ぶ。温泉街で想像以上に美味なマンゴーのかき氷。ホテルで部屋に入る。トップフロアで小さなバルコニーあり屋根裏の如し。風呂からも烏来川見下ろす景観。大浴場も見事。入浴の日帰り客も少なからず、12歳以下のお子様お断り、で閑か。「宿泊者以外の立ち入りはお断り」の徹底。入浴。午後四時、対岸の銅鑼の音に呼応して、の太鼓は羅桑席師によるもの。日暮れ頃から雨模様。美観重視で、風呂場から近眼ならそのまゝ落下しさうな、露天風呂への降り口と間違ひさうな窓、足を踏み外したら怖い階段、部屋に行く外廊下も食堂も雨に濡れる……明らかにこれが理解できる大人だけが自己責任でね、といふ「甘くない」環境哲学に恐れ入谷の鬼子母神。晩餐は創作のウェスタンのいはゞ懐石。ドメーヌフェヴレのピノノワール 09年。 風呂に浸かる。夜更に夜食もあり清粥啜る。
▼香港で七月朔日恒例のデモは今年は2003年に次ぐ40万人(主催者発表)の賑はひの由。貧官曽の退任と不人気なる測量梁の行政長官就任、富貧格差、北京中央の干渉、中国の人権問題等等。