富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

重慶騒動、顛末

fookpaktsuen2012-02-20

農暦一月廿九日。曇。去年九月に購入の坊主社のイヤフォンのマイク、音量調節部分が不能に。サーヴィスセンターに持ち込むと即、交換。1.1坊主円だがイヤフォンの場合「修理はしないのです」と。近隣のT歯科医で奥歯工事。歯茎も切開続き今日は義歯のための土台建造。象牙質のなかの歯髄、歯根のセメント質まで除去され外科手術の如し。(日本の歯科が今ではどうなのか知らぬが)今日は一時間きつちり時間割かれてをり歯科医師と二人の看護婦つきっきりの作業だと思へばHK$500が高いとは思へず。それにしても一日八時間半、日曜除き土曜含め週六日してゐると思ふと過酷な仕事。この欠けた奥歯は左の上顎第二小臼歯といふうやつで糸切り歯から二本目。普段は見えないが大笑ひは禁物。
▼山口での十二年前の母子殺害で「元少年の死刑確定」と。死刑の而も冬至、未成年への求刑の可否とは別にマスコミが「なぜこの少年が惨たらしい殺人に至ったのか」などといふ憶測報道は無意味。狂気など何時、誰に起きるかなど誰もわからず。良識ぶつたNHKのニュースキャスターとて今晩遅くに何かがあり猟奇殺人に至る可能性もあり。筒井康隆的にはどんなこともあり得るわけで、いち/\それを善人ぶつて報道し論じられるのが困つたもの。
重慶副市長米国総領事館駆込み騒動。続報。重慶では薄熙來市長市共委書記により更迭された市政府副秘書長後任に江沢民の甥(妹の息子)任命。薄熙來が江沢民閥の扶けで救命稻草狙ひ、と噂あり。重慶副市長による成都での米国総領事館駆込みの顛末も少しずつ明らかに。薄市長市共委書記が昆明訪問中の今月六日、副市長は運転手と二名のSP随行でナンバープレート無し(政府特務車←逆に目立ちすぎの気もするが、笑)のランドクルーザー重慶から成都に向かふ途中、四川省公安庁の知己の某副庁長に電話かけ「相談したいことがある」と。この公安幹部が高速道路の出口で副市長迎へ二人は昼食へ。副市長が成都の米国総領事館のトップと協議したいことあり、だがアポがない、と切り出し米国総領事館とは職務上でやりとりあるこの公安幹部が米国総領事に電話。テロ対策が口実。ご丁寧に副市長をば総領事館まで送り舘外で副市長が出てくるのをSPと運転手と待つたといふ。副市長が一時間たつても出て来ず副市長と総領事の携帯電話は不通。公安庁幹部は四川省の公安トップに通報、公安トップも事態重く見て四川省委書記→北京と椿事伝はる。この中共の伝達ヒエラルヒーは立派(笑)だが米国側も成都総領事館から北京の大使館、大使から華府へと送電。雲南省視察中の薄熙來は「すわ一大事」と重慶の治安当局から四十名の武装した特殊工作員成都に派遣し(これは東京都知事が警視庁の特殊部隊を勝手に横浜に遣るやうな越権行為だが)米国総領事館包囲し副市長の解放要求。成都の公安も「米国総領事館保衛」理由に数十名の工作員を派遣……とこれだけでもお笑ひ映画になるが地元の騒ぎとは別に総領事館に留まる副市長からは北京に向けいくつか要求。この事態に重慶当局でなく北京の国家安全部が介入すること(つまり薄熙來の勝手にさせるな、と)、副市長自身亡命などの意思はなく条件呑まれれば総領事館から出るが身柄は北京に移され調査されること等々、これに北京は一ゝ応へ七日晩には国家安全部の副部長(副大臣)が成都に参つて米国側と交渉、重慶武装した特殊工作員成都の公安を撤退させることとしたが重慶側はこれを一旦は拒んだ、といふ。また副市長は総領事館内から自分の運転手に電話で車内にある三通の書類封筒の所在確かめ、これを指定の国家公安部の職員に渡すよう指示。八日早朝に突然、総領事館の後門開かれ舘外に待機してゐた車両一台が館内に入り副市長は件の書類封筒三通があること確認した上で車両に乗り込み、その車両は総領事館を出て空港へ。副市長の身柄拘束した国家公安部の一行は航路北京へ。重慶では副市長が過労とストレスで病気休暇と発表したが、これも北京の批准なしの由。……以上、蘋果日報の「まるで見てゐたやうな」記事より顛末抜粋。秀逸なる劇画つき(笑)。劇画の拡大はこちら。それにしても何故、敵国の在外公館にか、と思ふが中国でこのテの党内政争に関しての告発などしやうと思へば命捨てても上訴は直接北京中央に非ず、が宿命かしら。