富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

筑波嶺の峰より眺む空の樹に欧債積りて霜となりぬる

fookpaktsuen2012-02-09

農暦一月十八日。チョートク先生が六本木山荘から快晴のなか筑波山のその先に肌色の雲雲……と。筑波といへば陽成院
筑波嶺の峰より落つるみなの川恋ぞつもりて淵となりぬる
だがスカイツリー(空樹© チョートク先生)も視界にござらう、そこで
筑波嶺の峰より眺む空の樹に欧債積りて霜となりぬる
と詠む。早晩にペニンスラホテルのバーでドライマティーニ独酌。マルコポーロホテルの日本料理・西村。商務晩餐で末席を汚す。寄せ鍋がまぁ盛り澤山だこと。銅鑼湾でバーSに一飲。二更のうちに帰宅のお利口さん。
香港大学八一八騒動続報(蘋果日報)。判断誤謬ありとされた学長、学務長、財閥から資金集める官民プロジェクト担当者と並びアタシが気になつたのは北京からの副総理を「龍椅」(大学総監専用の椅子の規格に準じる最高位の椅子の一つ)に坐らせること求めた香港大学深圳キャンパス計画責任者の倪某。37歳で大学幹部、しかも実はこの騒動のあと昨年のうちに辞職の由。で華々しい世界から退き宗教慈善活動に従事、と一昨日だか報道あり何だか焦臭い輩……と思つてゐたら今日の蘋果日報が「港大獻媚事件「龍椅」羭手轉投李嘉誠 協助打理明年開幕大埔慈山寺」と報道あり。なるほど。この倪某、大学卒業だかでカナダから戻り李嘉誠財閥の新城電台節目のキャスターに。でその後、香港大学に加わるが佛教界との関わり強く港大佛學研究中心校友會の会長で、この仏学研究センターの首席(教授)が慈山寺なる寺を有する非営利法人の役員の一人。この慈山寺なる大埔近郊で現在、建立工事の進む巨大寺院が怪しい組織で表面上は香海正覺蓮社なる団体が運営母体。2008年にHK$70mで政府からこの土地を取得、李嘉誠がHK$1b寄進して普請となつたが蘋果日報(←李嘉誠嫌ひ)が調べたところ2009年に「慈山寺有限公司」なる会社組織が設立され、ここの役員が李嘉誠と長男の李澤鉅、他に長江實業の重役がづらり。ここが実際に慈山寺の普請、運営をば仕切つてをり慈山寺の土地契約を見ると「該寺並不需要對外開放,換言之可以成為私人佛堂」と。つまり李嘉誠の私寺。御仏への信心の厚さは立派だが、さすが李嘉誠王だけのことはあり、やりたい放題に呆れるばかり。
重慶騒動続報。昨晩の中央電視台「新闻联播」の報道で中共政治局常委で政法委書記の周永康が昨日、重慶の司法関係視察の由。これが副市長米総領事館駆込みに関係あるやなしや、視察にあたり薄熙來市長市共委書記随行なきことも不思議。通常これほどの政府中央幹部の視察に現地トップ随行が常識。何があつたのか。また2007年に当時、商務部長(大臣)だつた薄熙來が重慶市長市共委書記に異動は胡錦濤と温家寶による「調虎離山」、北京追はれた薄に不利な重慶行きだつたはずが重慶では「唱紅打黒」、毛沢東思想掲げ市民に革命歌歌はせ四川幇と名を馳せた重慶黒社会組織解体に挑み次期、政治局常委入りと噂されるに至る。その腹心の副市長珍事は薄熙來嫌ふ元老の喬石が政法界で周永康を動かし収賄容疑で副市長が狙はれ連帯責任問はれるを恐れた薄熙來が副市長と一線を画し市長市共委書記に裏切られた副市長が米総領事館に駆込んだ、といふ分析もあり。数年前に上海で社会保険に絡む贈収賄上海市党委で中央政治局委員の陳良宇が逮捕されたが、これが実は胡・温による上海閥の江澤民の勢力削減狙つたものであつたといはれるやうに、今回は副市長は脇役で本当の狙ひは薄熙來失脚、と。また副市長は薄熙來の「唱紅打黒」などの仕事が全て中央復帰、政治局常委入り狙つた活動であり、薄熙來の妻(弁護士)は収賄で私腹肥やした財産を不法に海外に移し、海外留学する薄熙來の息子・薄瓜瓜の豪遊問題なども暴露をば企図したが、それを察知した北京中央が身柄拘束であるとか軟禁といつた動きに出始めたことで米総領事館に駆込み、と。これもさもありなむな話。
▼大陸妊婦の来港出産で産婦人科医院爆満、香港市民の出産能はず、の問題で香港政府は大陸妊婦の香港出産制限をば検討するなか香港のYWCAが大陸妊婦対象に高額の香港出産パッケージ(宿泊、食事、保母提供等)販売してゐたことが発覚。YWCAは非営利組織として政府の法人税免除の他、毎年、運営費の5%をば政府援助受けてをり、その団体のこの商売が問題視されYWCAは早々にパッケージ販売中止の由。