富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

fookpaktsuen2012-02-01

農暦正月十日。旧正月に大陸から香港に旅行客押し寄せマナーの悪さも目立ち何でも路線バス(飲食禁止)のなかでオレンジを食べようとして、それも机を出したとか、地下鉄でマナーに関して罵り合ひになつたとか、香港市民の間でもいかにバスのなかで殊に朝食をとる乗客がいかにゐるか、とかが画像つきでネットに掲載され話題になつてゐるが(さういふアタシも数日前に他の乗客の迷惑もいゝことに地下鉄で足を組む迷惑小姐をば日記に載せてゐるが)、かういふ風潮のなかで忘れられぬのがアタシが昨秋に朝の混雑するバスのなかで叱つた「炒麺女子学生」である。あのときは太々しくもアタシの注意も無視し炒麺をば完食した彼女だが今年に入り「車中飲食」がこれだけ話題になると、それを報道などで見るたびに去年のそれを思ひ出すのかしら……いや、意外と反省もなく忘却の彼方か。早晩にFCCで早酒独酌。樓上の中華で北海道から来港中の某新聞記者元香港特派員M氏、その新聞社の支局のヴェテラン助手C氏、それにM氏が1980年代末に武漢大学で留学が一緒だつたといふアタシも二十年来の知己ディスカバリーベイ梅氏で会食。久々に普通話だけで三時間余逸話も面白く笑話款語尽きず。C氏も支局でお会ひしてから二十年余、だいぶ老知識人の風貌。
朝日新聞(国際版では今日)社会面「ニュース圏外」で「ハッテン場怪しい密室」なる記事(奥田薫子記者)。警察が数ヶ月前に新宿のDなる同性愛者の有料「ハッテン場」の経営者をば公然猥褻幇助の疑ひで逮捕した事件があつたが、この記事はこの事件がかうしたハッテン場にどのやうな波紋投げかけてゐるか、社会的マイノリティにとつての憩ひの場にいろ/\制限が、と……その取り上げの視点は新聞として面白い。たゞ一つ気になつたのが警察がいくつもあるハッテン場でこのDをば狙つたのは麻薬絡み、といふ背景あつたさうで警察はこのDに出入りする客への職質で1年で80人を覚せい剤の使用、所持の疑いで検挙、と。警察がそれをしたことは事実だとしても新聞がそれをそのまゝ書くと実際にホモのハッテン場=覚せい剤と読める。果たして実際にさうなのかしら?、80人検挙して何人が本当に覚せい剤所持だつたのか。精力剤とか「ラッシュ」など興奮剤系の脱法?ドラッグなら性行為場所で所持もわかりやすいが覚せい剤=シャブって同志御用達なのかしら。「兄貴〜一本打ってくれよぉ〜」ってか?……まさか。
▼同じ朝日から二つ覚へ書き。アラブの春」論の欺瞞、と板垣雄三先生。国連を隠れ蓑にNATOの肩代わりによる「リビア革命」の実体は植民地戦争であり革命の偽装。もう一つは佐藤優氏のコメント。

人間集団である「社会」と社会を束ねる「国家」との間で両者の折り合いをつけるのが政治家の役割。国家にとって「いざというとき国家のために死んでくれる国民」「きちんと働き納税をする国民」を育てることが教育の究極の目的。国家機能が弱りつつあるなか国家という生き物の生存本能のようなものが橋下さんに乗り移っている。

と。さすが見事な分析。「<国民>の育成」が近代教育の目的といふのは明白だが「国家のために死んでくれる国民を育てること」とは……。寺子屋、近代以前のアカデミーに戻るべき。