富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

陰暦大晦

fookpaktsuen2012-01-22

農暦十二月廿九日。晦日。朝八時半から面談あり今日のメインの打合せは昼をはさみ夕方まで会館に籠る。朝は雨だつたが午後には晴れ東京タワーがきれい。麻布十番から地下鉄で国立競技場。国立能楽堂を左に眺め明治通り越へGA Galaryへ往き現代建築家のデビュー作品展を見学こちら)。坂倉準三のパリ万博日本館(1937年)のモダニズムが素敵。千駄ヶ谷の路地を抜け裏通りを歩き新宿まで漫ろ歩き。薄暗い路地に旧い和洋折衷のモルタル建築あり何だか怪人二十面相の隠れ家の如し。新宿駅南の紀伊国屋から高島屋のあたりはすつかり再開発されたが昔を知るアタシには、どうもこのへんは悪所の記憶あり歩くのがちょっと恥ずかしい。紀伊国屋でも東急ハンズでも修行のために恐る恐る入つてみるが本当に購買意欲といふものが失せてをり我ながら驚くほど。不買の修行の成果が嬉しいどころか不感症になつたのかしら、と思ふ。結局、官邸で使つてゐたのが割れてしまつてゐたパイロットのデスクペン代替品購ふのみ。丸井から伊勢丹を流すが結果は一緒。Z嬢と待ち合せ三丁目の「鼎」。Z嬢と東京に来ると一晩は此処。鮪赤身、鰯のなめらう、真鯛の昆布〆め。酒は千葉の福祝と横手の天の戸で「あまのとうましね」とあるので「うましね」が何か?と思つたらZ嬢が「おいしいよね」の秋田弁?と。確かにそんな音だがそんな安物の焼酎ぢゃあるまいし。店員に尋ねたがわからず一升瓶を見せてくれたら「美稲」。美味い稲で「うましね」とは……万葉集だ。ところで鼎の店員、全員女子。カウンターで仕切るチーフ格に「男子は使ひ物にならない?」と尋ねるとニヤッと微笑み「女子のほうが根性ありかな?」と。さもありなむ。草食系といふより植物、それも弱々しくZ嬢は「野菊」みたいと云つたが野菊だつて野に咲くだけ強い。かいわれ大根か。思ひ出横町の岐阜屋でラーメンと餃子。まだ日本語も店も慣れぬ中国人の店員、怒られてゐるやうで仕切るオヤジが実に優しい。今晩は陰暦で大晦。明日の春節も休みなく仕事でせうね、新年快楽!