富柏村日剩

香港で2000年02月24日から毎日綴り始めた日記ブログ 現在は身在日本

大つごもり

fookpaktsuen2011-12-31

農暦十二月初七日。晴。終日陋宅掃除。老朽化マンションゆゑ掃除より先づモルタル壁の罅を石膏(のやうなもの)で埋めたり壁のソケットの修復から。で書架の整理が一番の難儀。あ、こんなところに……と本の発掘が面白いが今回は、きだみのる著「気違ひ部落周遊紀行」で昭和廿三年の初版本。夕方に掃除機もかけアトは靴磨きだけ、となつたが待ちきれず赤葡萄酒。靴磨きも済ませ三鞭酒抜栓。ドビッシーのピアノ曲聞きながらVeuve Clicquotなのに、ついイケないもの=紅白の始まるところを見てしまつた。「パワーをもらう」「勇気をくれる」……受給表現除くと現代の日本語って成立しない加茂。香港電台のクラシックチャンネルが大晦日ベートーヴェン交響曲8番!、素晴らしい。紅白はジャッキー=チェン、こゝだけチェックしたかつたアタシ。「香港から」でなく「アジアから」と司会(嵐)が紹介。でビデオ出演の成龍は(広東語でなく)国語でメッセージ。「中国から」といふと成龍のイメージで微妙なところで「アジアから」かしら。紅白やつてゐる東京も「アジア」なんですが……Lady Gagaは「アメリカ、紐育から」と紹介したのに。もうすぐ今年も終はり。本当に凄い年になつてしまつた。震災とそして核禍もこれからもまだ後遺恐ろしいがあきらかに日本がこの惨禍のなか間違つた方向に向かつてゐること。自分たちのことなのに何かヘンな人に日本の行き先預けてしまふこのいゝ加減さ。これは今日に始まつたことに非ず、戦後、否、昭和に入つた頃からずつといゝ加減にしてきたことが結果、このへんでもう限界に来てゐる。限界は恐らく自民党政治がご臨終近いときにあつたのだらうが小泉なんて奇人の登場でモルヒネのやうに蘇生したか、のやうに見えたが結果、自民党をぶっ壊すどころか日本をぶっ壊し、そのうえに民主党への政権交代なんて「こゝではヤヴァいよ」が不幸にも実現。で、今年みたいな大変な年がそこに追ひ打ちをかけ……本当に大変だ、こりゃ。毎年慣例で一葉さんの「大つごもり」読む。晩十時半には臥床。早寝。

震災で惨禍のなか国や自治体の救援もまゝならぬなか住民が助け合ひ、支援者が被害地でボランティア活動に従事し、それが「絆」なのは当然。素晴らしいこと。たゞそれですべてが解決せず。将来まで何か「絆」で拓けると思つたら大間違ひなのだがアタシらは漠然と意味不明なものに感動するのに易しいから。
大つごもり・十三夜 (岩波文庫 緑 25-2)

大つごもり・十三夜 (岩波文庫 緑 25-2)